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3/11

何で、こんな所にいるんですか?

 夜---------


 夕日が暮れて、間もない頃---------


 私は今、城下町に侵入した狼型の魔物の駆逐を終えようとしていた。


 学園の寮を抜け出した際、急に、急襲を知らせる王都の鐘の音を聞いた時は、何事かと、思ったが、駆け付けるなり、王都内に侵入した魔物が住民を襲っていた。


 正直、こういうのは、何度見ても慣れない。


 それどころか、吐き気がする程の嫌悪感が腹の底から込み上げて来る。


 それを吐き出すように、殴ったり、蹴ったり---------私怨が度々、入っている所為なのか、避難している住民の顔が、引き攣っているが、それは仕方ない。


 許せないものは、許せないのだから………。


 で、これで、最後か………なっ!?



「がぅぅぅ~………」



 最後の一匹に、とどめの一撃をお見舞いして、辺りを見渡すと、城下町の広場に数匹の魔物の死骸が、これでもかと転がっていた。


 とりあえず、これで最後だろうけど………………なんで、こんなに、あっさりと城下町に魔物が入り込むんだ?


 城門の衛兵は、一体、何をしているんだ?


 少なくとも、周りの魔物を数を数えても、三十匹以上はいるのは、確かだ。


 基本、この世界に於いて、王都は堅牢で、巨大な城壁で、円を為すように囲まれている。


 通るには、東西南北にある城門を開くしかない。


 なら、考えられるとすると---------



「………………城門が破られた?」



 考えても仕方がない。


 ここは、一度、向かってみるか。


 そう思い、城門のある方へ向かおうとしたのだが---------



「動かないで………」



 背後から首筋に剣を向けられた。


 そして、この聞き覚えのある声は………………。



「あなた、一体、何者かしら? ここに、転がっている魔物は、あなたが倒したの?」



 何で、あなたがここにいるのでしょうか?


 ()()()さん。



「質問に答えてくれるかしら?」



 それも、声からして、何か、怒っていらっしゃるようで………って、こんな事をしている場合じゃない。


 私は無言で、首筋にあった剣を弾くと、そのまま、近くの屋根に飛び移り、城門のある方へと走り出した。



「待ちなさい!」



 やっぱり、追って来るよね?


 ってか、何か、投げて来た!?


 投擲!!?


 二本程、投擲物を手にして、確認してみたが、何か、小型の短剣? いや、クナイとかいうやつか?


 大昔、異世界から召喚された勇者様が、言い伝えで残したとされるジャパニーズ・ニンジャが愛用したあの武器か?


 何で、そんなもん持ってんの!?


 というか、刃に、何か、痺れ薬みたいなもんも塗りたくられてるし………。



「止まりなさい! 止まらなければ、敵対の意思があるとみなして、あなたを拘束します!」



 それは、遠慮させて貰います。


 私は、外套の袖に仕込んだ煙玉を、背後から追って来るシズクに向かって投げた。


 案の定、私が投げた煙玉を、シズクは手にした剣で弾こうとして---------



「っ!?」


 

 ---------その目前で、煙玉が弾けて、辺りに黒い黒煙が立ち込める。


 その隙に、屋根から飛び降り、近場の路地裏に逃げ込むなり、私は《変身アイテム》を解除。


 元の姿に戻ると、外套を捨てて、何食わぬ顔で、今も逃げ惑う街の人達の中へと紛れ込んだ。



『奴はまだ、この近くにいる筈よ! 探して!』



 遠くからシズクが、後を追って来たであろう騎士達に、指示を出している声がする。


 こんな事もあろうかと、外套の下は、城下の人々が着込むような平服にしておいて、良かったと我ながら思う。


 木の葉を隠すなら森にってね。


 さて、とりあえず、このまま、人に紛れながら、一度、城門の様子を確認しますか。



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