58チュン目
精霊さんが喋った事に思わず音を立てて立ち上がってしまったミコです。
「み、ミコ様?」
「いや、この子喋れなかったのに……」
「え?え?」
「マスターの魔力たくさんもらって成長したの!ピナはもう大精霊にも負けないの!」
精霊の事は精霊に聞きましょう。
「出ろー!駄位精霊!」
パチン!
指を弾く。
「呼ばれて飛び出てじゃj!?」
「おっとそれ以上はいけない」
必殺、超音速パンチ……っ!
テーブルの水差しから駄位精霊を召還したがちょっと雲行きが怪しかったので物理で黙らせていくスタンス。
ってか駄位精霊は基本出オチだと思うね。今後も大事な伝統芸としていきたいと思います。
「と言うかちゃんと呼んだら来るんだね」
「それは勿論。私達はマブですから!」
「ねぇ、人間と精霊の友情は成り立つと思う?」
「貴女、本当に人間なんですか?」
「正直、最近は自信無いね」
薄々気が付いてるけど多分、わたしって精霊側だよね。
「それで呼び出したのはピナの件なんだけど」
「ピナ?」
「大精霊様、お久しぶりですなの!ミコ様からピナの名を頂きましたなの!」
「あら?やっと名前貰ったんですね」
「いや、その節は申し訳ない……」
出会ってから半年程名前つけてないからね……。
「ミコ様、今お名前付けたんですか?」
シェリルちゃんからちょっと非難する様な目が……ちょっとダメージ大きいかな……。
「兎に角、ピナが喋るようになったんだけど?」
「精霊は成長すれば喋りますよ?私だって話すじゃないですか?」
何故か駄位精霊とピナが揃って首をかしげる。
「そう言うものなのね」
「?人間も成長すれば話すでしょう?」
「そうだけどさ。大精霊が特別だとか思うじゃん?」
「この子はもう大精霊ですよ?武具の大精霊ですね」
「は?武具の大精霊?」
「そうなの!マスターが望めばどんな武具にも姿を変えれるなの!」
「はぁ?」
「試してみるなの!」
ふわりと飛んできたピナが手に触れる。
「えーっと?リボルバー?」
シュッと一瞬光ったかと思うと手には元のと言っていいのか……シングルアクションリボルバーが手の中に。
「レバーアクションライフル」
やはり一瞬にしてライフルに姿を変える。この世界に来てから長く共に戦った相棒のそれだった。
うっ、ちょっとウルっときた……。
「そっか。思えばピナもわたしがこの世界に来てから一番長い付き合いだね」
「なの!」
「うん。改めてよろしくね、相棒」
「いい話ですがマブは私ですよ!」
「……ピナ、ロケラン」
地球でも有名な対戦車ロケットランチャー。成程、本当にわたしの思い通りの武器になるんだね。
「試し撃ちも必要だよね?」
「……え?ミコ……それは冗談ですよね?」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと加減はするから」
銃器はどうやら本体だけで弾自体はわたしの魔力結晶で作る必要があった。銃本体を精製しなくていい分、かなり魔力の消費が抑えられた。
さて狙いを定めてっと。
シュボン!
「!?」
「ミコ様、冗談が過ぎますよ?」
「どうせ怒られるならわたしの起こした行動で怒られる!それが自由と責任だ!逆に理不尽なお叱りには屈しないぞ!」
「はぁ……」
わたしは現在街の真ん中で正座させられている。
壁と一緒に駄位精霊を吹き飛ばし、秒で直したが結局シェリルちゃんの報告によりシャーリーさんにしこたま怒られ罰を受けている最中である。
遠巻きに見守る住人達。やめて!わたしの尊厳はゼロよ!
そもそも正座はその程度で足が痛くならないわたしにとって罰にならなかった。
いつまでもケロッとしていた為、諦めたシャーリーさんが夕飯の時に開放してくれた。
わたしはついに理不尽に勝ったのだ!勝利の晩餐はいつもより美味しく感じた。
「今日はピナも手伝ったなの!」
長くわたしを見守ってきたピナはわたしの好みを完璧に把握しており、それをコック達に指示していたそうだ。美味しい訳ですね。
「今度から野営ではピナが作るの!」
「それは楽しみ」
本当に楽しみですね。
お風呂ではシェリルちゃんとピナに挟まれ前後一緒に洗われた。これがまた無茶苦茶恥ずかしい……洗われるのにはもう慣れたと思っていたのに。
なんて言うかちょっとイカガワシイ事を想像してしまった。こればかりは女の体になっていて助かったなぁとちょっとアレな事を考えてしまった。すいません。
夜はピナは瓶に戻っていった。なので魔力液を補充。
そっか、これからは鞄に付けるんじゃなくて、身に着けていないとなぁ。ピナと離れるのは絶対嫌だし。
どうしようかな?と考えていたら自然と眠りについていた。




