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38チュン目

 天を貫く巨竜。いやぁファンタジー。

 巨大生物連戦だったがラストでとんでもない物が出てしまった……ラストだよね?

 しかし、ここでわたしに天啓がひらめいた。

 もしかして対抗できる物作れるんじゃね?

 幸いにもふざけたレベルで魔力は有った。

 よし、やったるぞ!


「我魔力を糧にかの巨竜を打ち倒す力をここに創造せん……メガクリエイション!」


 詠唱はノリです。

 右手を天に掲げる。

 わたしの中の膨大な魔力が碧い光として周囲に放出され、螺旋を描きながら空へ上っていく。

 あまりの光の量に何も見えない。

 ふわりと体が浮かび上がる感覚。

 次の瞬間、光は弾け視界が戻る。


 球体のモニターに囲まれた座席に座っていた。

 座席はピッタリサイズで、アームレストには球体の制御装置がついている。

 とても見覚えが有ります。アニメで。20mぐらいの人型機動兵器のコックピットです。白くて2つ目で額にV字のアンテナが付いてるやつ。

 意識するとその姿が脳内に浮かぶ。

 純白の装甲に金の縁取りが入った巨大な甲冑騎士。

 右手に身の丈を超える大剣。

 左手に全身を覆う程の大盾。

 背中に翼の様なパーツが付いている。

 さらに意識を切り替えると、全身の感覚が鎧とリンクする。自分の体と同じ様に動くのだ!

 巨竜に対してまだまだ小さいが、それでも生身よりは全然良い。

 いや、むしろこれなら勝てる気がする!否、勝てて当然なのだ!

 何故なら勝つための姿を作り出したのだから!


「海竜風情が!このアストラルナイトが成敗してくれる!覚悟!」


 この姿でもスーパークルーズは可能の様だ。

 瞬時に距離をつめムービングフィールドを斬撃に乗せる!

 ガァン!

 しかし、一太刀で切り裂く事ができない。何て硬さだ……わたしが過去に戦ったどんな魔物よりも硬い!

 海竜はブレスを放ってきた。

 膨大な水流が押し寄せる。凄まじい範囲の面攻撃に回避が間に合わない!

 咄嗟に盾を構えさらにフィールドを展開する。

 ブレスをフィールドで切り裂き、盾に角度をつけて反らし何とか耐える。でもめちゃくちゃ重い!


「うおおおおお!」


 ピシピシと盾にヒビが入り始める。このままじゃ盾どころか腕ももたない!

 斜めに下るようにして何とか範囲外に出た。それと同時に盾は砕け光となって消えてしまった。

 海竜はブレスの反動か動きが止まっている。

 両手で剣を握り、速度を乗せた渾身の一撃を叩きつける!

 パキーン


「……あれぇ?」


 剣は中ほどからポッキリと折れてしまった……え、嘘でしょ?

 剣を投げ捨て、殴る!蹴る!

 しかし、触れると砕け消えていく。

 距離を取り魔力を使って再生。能力で作り出したからこの点は便利だ。

 さてどうする?

 海竜の体はわたしの魔力結晶よりも硬いのか?

 それとも物質を脆くさせる力が有るのか?

 後は、魔力を拡散したり吸収したりしてしまうとか?

 そもそも倒せないやつとか?

 一番目だと詰みだなぁ……四番もか。


「おりゃあああ!」


 剣を全力投球。クジラを貫いたビームの巨人版だ。

 が、やはり触れた瞬間に霧散する。

 盾を正面に構えると盾が展開、変形し巨大な魔方陣が完成する。


「光の嵐よ!敵を滅せよ!レイストーム!」


 無数の大小七色の光線が盾から放たれ海竜を飲み込む。

 それは数秒続き、撃ち切ると盾は光となって消えてしまった。


「やったか!?」


 うん、ダメだから言ったんだけどね……。

 あれぇ?一応、切り札っぽい技だったんだけど。

 何事も無かったかの様に存在する海竜。

 次だ!

 背中の翼状のパーツが展開し魔力が噴出する。

 両手で握った剣の刀身が光に変わり雲の上まで伸びていく。


「うおおおおりゃあああああ!」


 光の刃を叩きつける…が、ダメ!やはり光の刃は霧散してしまう。

 そして剣そのものも力を使い果たした様に消えて無くなる。


「これならどうだ!」


 アストラルナイト乗り捨て自爆特攻させる。

 大爆発するが……やはり無傷。


「……これ……無理!倒せないって!」


 海竜の顔が……口が迫ってくる。

 ちょっと待ってよ……そんな巨体でこんな幼女食べてもお腹の足しにならないと思いますよ?

 冗談抜きに本気で死ぬー!?


「……ムリ!ムリムリムリカタツム……ぎゃああああああ!」


 ゴッ

 ドッ


「ガボッ!?」


 説明しよう!

 無茶苦茶に暴れたわたしの手が偶然にもわたしを食べようと接近した海竜にヒット。

 そして何故か一撃でノックダウン。

 倒れた衝撃で発生した大津波に飲み込まれたのだ!

 この間僅か……何秒か分りません。


「ぶはぁ!」


 咄嗟にフィールドを展開して耐えたけど……納得はできない。

 折角、殆どの魔力使ってアストラルナイトを作り出したのに、そっちは無駄でワンパンキルってどう言う事だ!


「あーもう訳分んない……」


 雲の上に持ち上がっていた体が徐々に海面へと落ちているため津波が止まらない。

 被害を少しでも減らす為に海竜を吸収した。

 ……何か3千円の焼肉食べ放題をムキになって食べまくった後の様な気分……。

 何だか何もかもが面倒くさい、そんな気分。

 どうでも良くなってしまい、仰向けにプカリプカリと浮かんでいた。

 あぁ……なんでこんな無力なんだろう……。

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