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18チュン目

 本日2話目

 はい。

 と言う訳で昨日に引き続き怒涛の半日が過ぎてパーティの時間になりました。夜に吸収してなかったら途中でくたばってたな。

 音楽の中、エドとリリィが踊っています。流石、王族。完璧……じゃないかな?知らんけど。やった事ないからね。

 わたしは小柄な体躯と持ち前の身体能力を生かして人の間を抜けては色々と摘んでいきます。流石王宮のパーティ。料理がおいしい。

 最初はやはり定番の壁の花でもやるかと思ったら、やっぱりお使い様とか王族と一緒ってことで絡まれまくったので面倒になって逃げました。ディスクワークのもやしどもではこのスピードについてこれまい!

 いよいよやっていないのは王子様とダンスと悪役令嬢ぐらいでしょう。まぁダンスはこの後やりますけど……予告入ってるんですよね……。

 と言う訳でリリィと交代でエドと踊ります。


「……ごめんね。先に謝っておくけど踊った事ないから」


「うん。大丈夫。任せてよ」


 うわ!?なんだこの自信。これが王子様の余裕か!?眩しい!

 緊張で力が入ってうっかり足を踏み潰したりしないように気をつけよう……。リラックス、リラックス。

 結論から言えばエドのリードは完璧でした。多分。右に左に導かれるようにくるくる回ります。

 わたしは持ち前の身体能力と反射速度でついていきます。


「うん。うまいうまい。でも、もうちょっと笑おうか?その……狩りをする時の目やめないかい?」


「えっ?」


 どうやら戦闘モードだったようです。すいません。


「それとも楽しくなかったかな?ボクと踊るのは嫌かい?」


 う、うわー!?こ、これが王子様オーラ!?こんなの見てたら輝きで目が潰れてしまう!

 至近距離で高貴なオーラを浴びすぎて恥ずかしさに顔真っ赤でしたが何とか踊り終わりました。疲れた。体力的にではなく精神的に。

 メイドさんにジュースのグラスを貰って一息。いやぁ慣れないことはするもんじゃないね。

 と、眺めていたらこちらに来る女の子が数人。大体同じぐらいの子達かな?お友達になれるでしょうか?


「ちょっとあなた!お使い様?だったか何か分らないけど、殿下と2番目に踊るのはわたくしでしてよ!」


 悪役令嬢キター!ムネアツ展開。そう言えばリリィも最初こんな感じだったなぁ。

 くるくるとウエーブのかかった栗毛にぱっちりとした赤みがかったブラウンの瞳。ちょっと魔力の気配を感じます。

 元は優しいであろう垂れ目をキッっと吊り上げて声を荒げます。ひかえめに言ってかわいい。


「2番目の予定なら今踊ってなくていいの?」


「うっ」


 完全に出遅れてしまったようです。エドは別の子と踊っています。お相手の子も可愛らしくここからでも分るぐらい顔は真っ赤。きっとあのオーラで数多の子を落としているのでしょう。エド、おそろしい子!


「な、生意気なのよ!えいっ」


 パシャ

 手に持っていたグラスからジュースをかけてきました。ぶどうジュースです。お酒は二十歳になってから。

 えいって言っちゃうところに尊みを感じますね。

 わたしは普通に避けました。


「……」


 絨毯に広がるジュースの染み。

 気まずい沈黙が流れます。

 さっと周囲をうかがうとこの事に大人はまだ誰も気がついていません。きっと子ども達同士交流を深めていると思っているに違いません。知らんけど。

 大きな瞳が潤んできました。これ泣いちゃいますね。

 泣かれたらそれに気がついた大人が何するか分りません。立場的にはおそらく彼女よりわたしの方が上。この場を上手く誤魔化してなかった事にしましょう。

 持っていたグラスをドレスの袖で隠しながら吸収。

 さっとしゃがみ、絨毯から染みとなっているジュースだけ吸収します。染み抜きは早さが肝心。

 次に彼女から空のグラスを抜き取り微笑みかけます。


「まぁ、わたくしにジュースを下さるんですか?ありがとうございます。丁度、喉が渇いていたのもで」


 とわざとらしい台詞をつけ、グラスをあおるふり。

 空のグラスを横で呆けていた子に押し付ける。何かよく分らないけどって感じで受け取ってくれました。


「このジュースは特別おいしいわね。きっとあなたが持ってきてくださったからね」


 そしてそっと彼女を抱きしめるのです。よしよし。大丈夫だからねー。何も怖くないよー。

 しばらくそうしてから離すと、潤んだ瞳がこちらを見上げています。元の優しげな垂れ目に戻ってますね。

 朱に染まった頬と潤んだ瞳の上目使い……えっろ。マジで?この年齢で?西洋美人おそろしいな。

 そして彼女は慌てて走り去っていきました。取巻きの子達もはっとして追いかけていきます。

 やれやれ何とかなったか。


「どうかしたの?」


「んー?ちょっとお話してただけ」


 挨拶回り?の終ったリリィと合流。数人の女の子を紹介してもらいました。あれ?リリィ友達いるじゃんと思ったら、将来補佐してもらう子達だからお友達とは違うんだって。もう上下関係が有るらしい。貴族は難しいなぁ。

 リリィ達と一緒に居たからか、様子を伺っていたキッズ達も近寄らなくなりました。まぁ親の命令で仲良くなってこいって言われても困るよね。

 そうして、子ども達はここまでと言われるまで会場で過ごした。

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