13. 春菜への手紙とあの夏の日
(春菜への手紙とあの夏の日)
もう、遠い昔の出来事のように感じる。でも、ハルのことは一時も忘れたことがないよ。
何をしていても、ハルの姿が目に浮かぶ……、でも、それは遠い昔の思い出のハルの姿ばかりだ。
あの夏の日も……
「お待ちどう様……」
ハルは、大きなバッグを両手で下げながら、お店の奥から出て来たね。
大きなブリムの麦わら帽子で、紫外線を気にしているのは分かるけど、それでは前が見えないんじゃないかと思ったよ。
でも、細かな花柄の白っぽいパフスリーブのワンピースは、大きな麦わら帽子に似合っていたね。
「……、奇麗だよ……、いつもより増して……」
「そうー、……? ありがとう」
ハルは、僕の傍まで歩いてきて、床にバックを置くと、少し体を折り曲げながら、襟を摘まんで浮かして見せてくれたね。
「服の中、裸よ。外は暑いから……、この方が涼しくて好きなの……」
「えー、え、……、そんな大胆な……、こと……」
「いいじゃない、どうせ向こうに着いたら、すぐに脱ぐでしょう……」
「いや、でも、そんな海水浴じゃないし……、でも、嬉しいよ。楽しくなりそうで……」
ハルの悪戯っ子のような笑顔が、覗いたおっぱいの膨らみと共に僕の心に焼き付いているよ……
僕は、ハルの大きなバックを持って、ハルは、昼食が入ったバスケットを持って、車に急いで、でも歩いて行ったね。
夏休みに入る少し前だったね。
雲ひとつなく、太陽が容赦なく照り付けていたね。
私設天文台の敷地は広く、望遠鏡のあるドームと、宇宙線を捉える電波望遠鏡のパラボラアンテナが並ぶ広大な敷地に分かれている。
僕たちは、このパラボラアンテナの群れの中にテントを張った。
何故、こんなところでキャンプに来たかと言うと、施設内は関係者以外立ち入り禁止で、パラボラアンテナはあっても、この広大な敷地の中は、僕とハルの二人だけなんだ。
早速、テントの前にクッション付きのグランドシートを曳いて、炎天下の太陽の下、ハルを後ろから抱きしめて、ワンピースを捲り上げて脱がした。
太陽に熱せられた風が、僕たちを妬いている様に、吹き抜けていく。
「ヒロも裸になりなさいよ……、……」
「これでは、アダムとイブだね。楽園追放だ……」
「私、イブの気持ちが分かるわ。こんな気持ちのいいこと……、楽園を追放されても、止められないわ……」
ハルはグランドシートの真ん中で、大の字になって仰向けに寝そべって太陽を仰いだ。
「太陽がいっぱいね……」
「そんなセリフの映画あったね」
「ここは、海の上ではないけどね……」
「同じようなものだよ。草原の海さ……」
僕は、仰向けに寝そべっているハルの横に座り、大きな乳房を撫でて遊んだ。
「北欧では、裸で日光浴をする習慣があるわよ」
「裸じゃないけどね……、北欧は冬の日照時間が六時間七時間と短いんだ。だから天気の良い昼間、温かい日に外に出て少しでも日の光を浴びるんだ……、日光浴は日の光の刺激でビタミンDを体内で生成する作用があるから……、大切な事なんだよ」
「じゃー私、全身でビタミンDを作っているのね」
「そうだね……」
「ビタミンⅮには、どんな働きがあるの……?」
「カルシウムやリンの吸収を助けて、骨を作るんだ。免疫や筋肉の働きも助けているよ。それから、神経伝達物質のドーパミンやセロトニンの働も助けている。だからハルが外で、裸でいるのが気持ちのいいのは、ビタミンD のお陰かも知れないね」
「私、分かるわ……、太陽の下だと、凄く興奮して、部屋にいるときよりも感じて気持ちいいのよ……」
「いや……、そんなに早く効果が表れないと思うけど……、ピクニックの食事と一緒で、外で食べるのは気持ちのいいもだから……」
僕は、ハルの大きな胸を両手で大きく揺らすように撫でた。
ハルは、大きく体をくの字に反らした。
「ヒロ、UVオイルとマッサージして、マッサージしてからだと、もの凄く感じるのよ」
「太陽の下よりも……?」
「ビタミンDとマッサージのダブル効果よ」
「それは凄い……、でも、全身オイルまみれになっても、お風呂はないよ」
「いらないわ……、ずーっと裸でいるから……」
「風邪ひくよ。夜はそれなりに、冷えるから……」
「いいじゃない……、夜は、体が温かくなるまで、裸と裸で擦り合わせましょう……」
「火が付きそうだね……」
「夜は、星が奇麗に見えるかしら……?」
「残念……、今日は満月だ」
「じゃー、月光欲ができるわね」
「だから、寒いって……」
春菜への手紙……
ハル……、愛しているよ。
愛と言う言葉だけでは、この気持ちを表せないよ。
ハルは、僕のビタミンⅮだ。色気がないね。
この問題は、また今度会った時に……
逃亡者の僕は、あれから簡単に空港で、国防軍に捕まってしまったよ。
考えれば、簡単に分かったことだけれど、逃亡者が出国なんかできないよね。
それで、北海道で抑留されて、また逃亡したんだ。
今、親切な北海道の牧場から手紙を書いている。
ついでに、この牧場自家製の製品を詰め合わせで送るよ。
まだ当分帰れないけれど、ハルのことは一日一分一秒たりとも忘れたことがないよ。
その証に、結婚資金を三億円くらい国防軍から頂いて帰るから待っていてください。
ハルがお店を直すんだと言って買っていた宝くじの三億円くらい……
僕たちをこんな目に合わせた罪滅ぼしに……、
僕は勇者ペルセウスだから、怪獣を倒して、必ずアンドロメダ姫のもとへ帰ります。
それまで、スワンでおとなしくお店を手伝って待っているように……
僕のビタミンDの春菜へ……




