任務継続ですか!?
帰任の挨拶で研究所を回るという先輩と別れて、私とゴードン君は第一研究室へと向かっている。
「もう、本当に肝が冷えたよ。よくもいきなり誰もが聞いてみたいな〜聞きづらいな〜と思ってる事をぶち込むよねぇ?」
「…私って残念?何か最近似たようなことあった気がする」
「ん〜……時と場合によっては、ね。だいたいさー、先輩が結婚しないのだって……」
「しないのだって?」
「あ〜………何でだろうね……」
そんな会話を交わしながら研究所のドアを開けたところで、ガードナー副所長が仁王立ちしていた。
「…コールデン、来い」
副所長が個室に向かって顎をしゃくる。
「…わかりました」
ゴードン君にヒラヒラと手を振って、副所長の後を小走りで着いて行った。
「単刀直入言う。任務は継続だ」
「!!!」
どうして…と言う気持ちで瞳が揺れる。
「確かに、邸の主の生存は確認できた。正直言って、1ヶ月で成果を挙げられるとは思ってなかったから、そこは大金星だ」
こくり、と頭を縦に振る。
「だが、最初にお前に伝えた真命は二つだ。覚えているか?」
そう言われて、私は副所長の厳つい顔に付いている、本当は優しいその瞳を見つめた。
「…邸の様子の変化の観察と、邸の主の生存確認」
「そうだ。後者は間違いなく確認できた。邸の主の名は、アレン。…アレン・クロノス。お前の言う通り、銀髪、いけ好かない優男だ」
あぁそうなんだな、と思った。
「やっぱり副所長は、アレンさまとお知り合いなんですね。この間の報告の時、彼を呼び捨てにしていました」
「……あぁ、そうだ。もう数え切れないぐらい長い付き合いになる」
「…どうして私に生存確認の任務を?副所長は最初からアレンさまが生きていることはご存知だったのでは?」
副所長は溜息とともに目を瞑る。
「…そうだな。正確には、死んでいると思いたく無い、と言う方が正しいが」
「……………。」
「俺では邸に入れない。俺だけじゃないんだ、セレス。魔法使いはあの邸には入れないんだ」
久々に紡がれる懐かしい呼び名に、私はじっと副所長の顔を見る。
「邸の観察の方が重要だった…?」
「…あぁ。お前には邸を見て来て欲しかった。俺たちとは違う感覚を持つお前に。それで感じて来て欲しかった。…違和感に」
「……わかりました。今度は変だなぁと思ったことを観察してきます」
そう言って副所長をじっと見つめる。
「…でも、私、邸で何したらいいですか?アレンさまの前で堂々と何してたら……」
「安心しろ、そこは任務継続には全く問題ない。あの邸は3階まである!」
「……えーーーーーーーーっっっ!!!?」
言われた言葉の意味が脳味噌に届くと同時に、叫ばずにはいられなかった。




