144.ファーマーさん、異変
「結構、深くまで来ましたね、マスター」
「そうだな……」
ジサンとサラは樫の森に来ていた。
サラの言うようにこれまで探索していなかった森の深部に訪れていた。
残り二日……勝つことは難しいかもしれないが、他にやることもないし、オークでもテイムするか……という単純な理由である。
「付き合わせて悪いな、サラ……」
「急にどうしたんですか?」
「……!」
(確かにいつものことか……)
「……ありがとう」
「……とんでもないですよ」
(……)
目を細めてそう応えるサラをジサンはなぜかいつもより大人びて感じていた。
◇
飼育小屋では残ったサイカとトンダがまだ会話していた。
「ゴウワンとはいえ、ランクO……これは結構、すごいことだ……」
ゴウワン系の雄×サワヤカ系の雌。
それはトンダの交配ノウハウメモにはない組合せであった。
「そうなんですかね……」
カスカベ外郭地下ダンジョンから野生のランクOオークを送られてくることもあったサイカはいまいちピンと来ていなかったが、それは一般的にはトップレベルのオークであった。実際のところ、そのまま出荷してもかなりの高級品であったのだ。
「イベントも終盤……ここは一つ、私もワンランク上に挑戦してみようと思う」
「……!」
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ヤワラカ・オーク レベル:50 ランクN 雄(ヤワラカ系)
×
フックラ・オーク レベル:50 ランクN 雌(フックラ系)
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トンダの提示した交配プランであった。
ヤワラカ系とフックラ系の黄金配合。つまりランクNシッカリ系への挑戦である。
「トンちゃん、やるんだね」
「おう」
パーティ:トンダ牧場にとっての勝負の瞬間であり、どこからともなくイルカも現れる。
「ここ数日で何とか辿り着いたランクNの黄金配合の組合せだ。当然、サイカさん達のようにゴウワン系になるリスクもある。というか、私にとってランクNシッカリは鬼門だ。これまで成功したことがない……」
「……!?」
「だが、挑戦してみようと思う」
「はい……」
トンダはメニューを操作する。
すると、ヤワラカ・オークとフックラ・オークが交配の演出で光り出す。
「……」
サイカはライバルチームであるトンダの挑戦に対し、上手くいって欲しいと自然と応援する気持ちになることができた。
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ヤワラカ・オーク レベル:50 ランクN 雄(ヤワラカ系)
×
フックラ・オーク レベル:50 ランクN 雌(フックラ系)
↓
ジンワリ・オーク レベル:50 ランクN 雄(シッカリ系)
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成功であった。
「やったーーーー!! トンちゃん、やったよぉおお!!」
「…………あぁ…………やった……乗り越えた……」
「おめでとうございます」
二人は喜び、サイカはそれを祝福した。
が、その時であった。
「おめでとーございまーす」
「「「!?」」」
背後から別の人物に祝福を受ける。
「お、お前らは……」
「どうもお久しぶりです、トンちゃん」
「っ……!」
それはイベント初日にいざこざがあったリリース・リバティの四人であった。
「何しに来た……?」
「何しにって……はははははははははは」
「「「あははははははははははははは!」」」
他の三名も同調するように高笑いする。
「呑気だな、この″豚野郎″……」
「っ……! 貴様……!」
リリース・リバティのメンバーはトンダを豚に例えて侮辱する。
「言っただろう? “覚えておけよ”……と」
「っ……!」
「つまりこういうことだよ!!」
「!?」
「魔具:魔物寄せ……強!!」




