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魔法少女~クライシス~  作者: 楸 椿榎
第三章 秋の蜂には御用心!
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第十八話

 魔法少女の仕事は、敵の反応が出た場合に現場へ急行、状況を把握し、事態を収束させることにある。


 この日も、担当だったミカとレイは、それぞれの場所から無線連絡をナビにして現地に向かった。


 先に着いたミカが、高層ビルの屋上から現場を観察する。


「……?」


 と、不審な点に気がついた。

 道路のスリップ痕とガードレールに突っ込んだ車、へたりこんでしまっている女性から、事故のようなことになったのは予測できる。

 しかし、怪人の仕業らしさが一切ない。


 会社の警報装置は誤認をすることはなく、絶対の精度で敵の反応を捉える。

 つまり、あの事故は怪人が起こしたもの。

 でも、人は誰も死んでいない。運転手は、恐らく歩道の脇で治療を受けている彼だろう。

 

 怪人は人間を殺すものだ。

 それは星を征服するためだったり、アンデッドに仕立てあげるためだったり、他にも様々な理由がある。


 今まで、初動で人を殺さない怪人など、そしてその場を立ち去る怪人などいなかった。


 ……今回は、何か変だ。


「ミカ! そこから離れて!」


 インカムから聞こえてきた上司の大声。

 体を震わすほど驚き、次いで影に気づいた。

 自分の後ろから伸びる影に。



「ミカさん!」


 レイが到着すると、そこには力なく横たわるミカの姿があった。


「意識はありますか? 大丈夫ですか?」


 ふっ、と。

 ミカの手がレイの胸に触れた。

 レイはほっとため息をもらす。


「よかった……。今担ぎ上げますね」

「レイ、はやく……逃げろ」

「え?」

「私のことはいいから、逃げろ」


 そのとき、ミカの目が大きく開いた。

 レイが振り向きざま、グラディウスを振るうが、その刃は空を切った。

 そして。


「……」


 レイの視界は、天を仰いだ。

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