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学年一の才女を拾ったら癒されました  作者: PPHiT
第二章

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幕間 ストーカー事件の不自然な静寂

 Side:東條 朔也


 俺が恐れていたことは、学校での噂話だけではない。報道やSNSでの情報拡散がどうなるのかが心配だった。

 瀬那が追いかけられたところや、俺が刺された路地裏は、クローズされた関係者しかいなかったので、そこから広まることは心配していなかった。しかし、瀬那と石田……さんが素十範と対峙した時は、駅までの通りということもあって目撃者が多く、噂が広がらないはずがない。

 それがあったので、瀬那の素性や、いわれのない誹謗中傷がネット上で発生しないかずっと心配していた。


 だが、ストーカー事件から数日経ったが、俺の予想に反して瀬那のことが広まることはなかった。もちろん、俺のこともだ。

 検索する限り、『ナイフを持った通り魔がいた!』や『駅前でストーカーらしき奴が騒いでいる!』などのつぶやきは存在する。だが、奇妙なことに、それ以上の情報が全く出てこないのだ。

 誰もがスマホで動画を撮るこの時代に、瀬那だとわかるような写真はおろか、遠目から撮った不鮮明な画像すら一切流れていなかった。事件が発生した通りが暗かったのが幸いしたのだろう……と、思いたいが、それにしても見事すぎる。まるで、ネット上の情報だけが意図的に『検閲』されているかのような不気味さがあった。


 テレビでの報道もそうだ。「通り魔が出て……」や「二人の怪我人が出たとの情報が……」とニュース番組で放送されているのは見たが、『南雲瀬那』や『東條朔也』、そして犯人である『素十範』という名前まで出ることは一切なかった。

 そして、数日も経たずに、その報道自体がパタリとなくなった。


(匿名なのは良いとして、不自然なのは、被害者のことを『女子高生』や『高校生』とも報道していないことだ……。それに、ストーカー男の素性についても一切触れられていない)


 お陰で俺の怪我と事件が関連付けられていないようで、学校でも噂になっていないのは助かっている。

 ――正直、裏で『何か』が動いているのではないかと、邪推してしまうが……。


(俺が知る限り、南雲家も朱門家もそれなりに大きい家だ。報道機関に関しては、何らかの圧力をかけて報道規制を敷いているのだろうか……? しかし、今の世の中、有象無象のSNSアカウントのつぶやきまで、ピンポイントで完全に削除し続けるなんて芸当が可能なのか?)


 それに、瀬那を送り迎えしている時、事件があった通りで取材をしているメディアの人間も見ていない。やっぱりおかしい気がする……。


「どうかしたのですか朔也くん? なにか考え事していますが……まさか! 手に異常が!?」

「いや、安心して。そういうわけじゃないよ。やることもなかったから、どこの会社の株式を買おうか考えてただけだ」

「そうですか、それなら良いのですが……。何かあったらすぐ言ってくださいね」

「あぁ、ありがとう」


 わざわざ俺の疑問を瀬那に伝えて、無駄に不安にさせる必要はない。これは俺だけの心に留めておこう。

 ただ、調べておいて損はなさそうだ。先生にも相談してみようか。


 俺は独自に調査した内容をスマホにまとめるのだった。

 この件が、思ったよりも大きなことに発展することを知るのは、もう少し後のことだとも知らずに……。

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