表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学年一の才女を拾ったら癒されました  作者: PPHiT
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/45

第26話 隠せているようで隠せていない

 勉強が終わり、せっかくなのでと、俺たちは学校近くのファミレスに向かった。須藤先生の所の後に行ったファミレスとは別のチェーン店だ。注文方法は同じなので、瀬那もわかるだろう。


 六人席に案内された俺たちは、俺と和人、残り三人とで別れて座る。男三人は狭いからという理由と、愛莉が気を利かせてか、瀬那の横に男が座らないようにしたらしい。対面の席には、瀬那、愛莉、浩紀の順に座っている。本人が宣言したわけではないので、憶測だが。

 なんだかんだ言って、このカップルは周りがよく見えている。さりげなく人のフォローに回れるタイプだ。


「前に行ったところもそうでしたが、ここもメニューが多いのですね。また迷ってしまいます」

「瀬那はあんまりファミレスに来ない感じ?」

「今回で二度目ですね」

「マジ? それなら、新鮮で良いね」

「そうですね」


 瀬那と愛莉は仲良く話している。持ち前のコミュニケーション能力のおかげか、瀬那とも仲良くなるのが早いな。それに、瀬那も結構心を開いているように見える。野外学習で見た、クラスメイトのやり取りよりいい感じだ。


「俺はやっぱりハンバーグだな」

「浩紀は好きだよね、ハンバーグ。美味しいけどね」

「そうだろ! 和人はどうするん?」

「うーん、迷うよね。朔也はどうするんだい?」

「俺はアジフライ定食だな。魚を食べたい」


 アジフライ好きなんだよね。そのままでもいいし、梅と紫蘇でもいいし。今日はどうしても魚が食べたくて、目に入ったアジフライにしてしまった。こないだ瀬那に作ってもらったアジフライも絶品だったな。


 ◇


 俺たちの品物を持ってきたのが、軽快なメロディを流す犬型の配膳ロボットだったことに、瀬那は目に見えて混乱しているようだった。いつもの完璧な優等生の仮面がはがれ落ちて、驚いたように目を丸くしている。

 他の奴らもそれに気づいたらしく、肩を震わせて必死に笑いを堪えている。


「い、犬型もあるのですね。こないだ行ったお店は猫型でした。それなら、うさぎ型のロボットとかもあるのでしょうか……」

「な、なんでそこで、……っ、うさぎなの?」

「うさぎ、かわいいじゃないですか。って、なんで皆さんは笑っているのですか?」


 愛莉は必死に込み上げてくるものを抑え込んでいるのか、その声は微かに震えていた。

 ……そういえば、瀬那ってうさぎが好きだったんだな。アイシングクッキーの時もウサギを激推ししていたし。


「いや、瀬那はかわいーなーって思って」

「むぅ。それって、世間知らずの子供に向かって言っている感じじゃないですか」

「そんなことないよー」


 美少女同士がじゃれ合っているのは目の保養だなって思いながら、俺は各自の前に料理を配膳していく。全て配膳し終わり、頭の上のボタンを押すと、犬型ロボットが「ありがとワン♪」と陽気な音声を鳴らしながら定位置へ帰って行った。そこの仕様は猫と一緒なんだな。

 途中、瀬那が「はい、どうぞ」っと、何も言わずにテーブルの端にあった小瓶の塩を渡してくれた。俺はアジフライには醤油でもソースでもなく、絶対に塩派なんだよ。この味が本当に癖になる。


「……」


 全員が準備できたことを確認して、一斉に食べ始めた。ここのアジフライも思ったより美味しかったので満足だった。


 ◇


 食べ終わる頃には十九時を過ぎていて、明日も学校なこともあり、そのまま解散する。ちょうどいい分かれ道で、瀬那がここで別れることを告げた。俺の家が歩いて帰れるのはみんな知っている。暗くなっていることを理由に、送っていくことを買って出た。


「では、皆さんまた明日です。さようなら」

「じゃあな」

「朔也……送り狼になるなよ?」

「ふざけんなよ、お前なぁ……」

「ふふっ」


 アホなことを言っている浩紀を置いて、そのまま歩き出した。

 日が暮れて暗くなった通りを二人で歩く。街灯はあるが女性が一人で歩く場所ではない。

 浩紀は「送り狼になるな」って言っていたが、そもそも同じ部屋に帰るからなぁ。その場合どういう扱いになるのだろうか。連れ込んでいるわけではないが。

 ……いや、俺が手を出さないから、どうでも良いか。


「楽しかったですね。たまに皆さんで勉強するのも良いですね」

「思ったより、はかどったよな。なんだかんだ言って、浩紀も愛莉もやる時はやるみたいだし」

「そうですね、教えがいがありますよね」

「ああ。セナチーも良い先生してたよ」

「っ……!!」

 

 ビクッと肩を跳ねさせた瀬那は、さっきまでの笑顔からジト目で俺を見てきた。


「……へぇー、そう言えば裏切りましたよね。明日のお弁当楽しみにしていてくださいね」

「ごめんって、瀬那さん」

「許しません」


「ぷいっ」と擬音が出そうな動作で、そっぽを向く。

 帰り道、瀬那のご機嫌を取るのに時間がかかった。

 最終的にはコンビニのスイーツを捧げることになったとさ。


 ◇◇◇◇◇


 Side:前川 浩紀


 駅までの真っすぐな道。道路の横に並ぶ、雑居ビルのネオンの光と、車のライトが眩しい。朔也たちと別れた俺たち三人は、駅へと向かって歩いていた。

 今日は気になることが多かった。思い出すのは今、別れた二人だ。あの二人の言動でモヤモヤする。

 もし、想像通りなら素直に嬉しい。でも、言ってくれないのは嫌だな。こっちは親友のように思っているのにさ。


「……」

「どうしたのさ、ひろ。瀬那たちと別れてから何か変だよ」

「そうだね。時折ぼーっとしてて、俺も気になってたよ」

「うーん、何て言ったらいいか……」

「えっ!?」


 俺が言い方を悩んでいると、和人がいきなり声を上げていた。まだ俺は何も言っていないんだけど……。和人は、道路を挟んだ向かい側を真剣に見ている。その顔は訝しむような、驚愕したような顔だった。

 そして、スマホを取り出すと、


「……ごめん、用事ができたからここで別れるね。じゃあ、二人ともまた明日」

「あ、あぁ……また明日」


 スマホでどこかに電話しながら、道路を無理に横断して行った。いつもは、マナーを破るようなことはしないのに珍しい行動だ。


「和、どうしたんだろうね」

「わかんね。でも、いつもニコニコしているのに、真剣な顔だったよな」

「うん」


 急にどうしたのだろうかと、心配になる。変なことに巻き込まれていなければ良いけど。

 疑問に思いつつも愛莉と再び歩き出す。


「そんで、さっきはどうしたのさ?」

「うん? あれな。今日の朔也がおかしくなかったか? もっと言うと、南雲さんとのやり取りに、違和感なかったか?」

「朔と瀬那が? うーん、いつも通りって言うほど、二人が一緒にいるの知らないけど、普通? 強いて言えば、図書室で見た二人より、仲良かったかも?」


 やっぱり、愛莉も同じこと思っていたようで、自分の見間違いではないようだ。

 昼休みもそうだけど、南雲さんとのやり取りが、先週と違う。


「だよな! 二人のやり取りが違ったよな。もちろん良い意味で」

「うん、そうだと思う。え? もしかしてなの?」

「昼にもその話したけどさ、否定されたわ。でもな、俺たちが思っている以上に仲いいって。だって、()()()()()()()()()()()()()()()か?」

「あー確かに! 気にしてなかったけど、言われてみれば!」


 思い出すだけでもいくつかある。『アジフライに塩』もそうだが、『セナチーいじり』も、いつもの朔也なら自分からいじりに行かない。仲が良い俺や和人ならともかく、あまり仲が良くない相手なら絶対にやらない。

 ――つまり、仲が良いってことだ。


「でもさー。もし、そうなら俺らに言わないのが、寂しくてさ……」

「うーん、多分だけど、もし本当に付き合っていたら、言うと思うよ。朔の性格を考えると、リスク……と言うか、面倒ごとを避けるために、味方増やしそうだし」

「あーそれあるわ。ってことはまだそういった間柄じゃないってことか。仲良くなっている最中的な!」

「うん、そうじゃないかな」


 納得できた俺がいる。そうだよな、もしそんな重要なことを俺たちに言わないはずがないよな! 愛莉に言われ、妙に納得した。

 気持ちがすっきりした。


「ねぇ……ひろ。今日ってひろの家に誰もいないんだよね?」

「そうだよ。……少しうちに上がっていくだろ?」

「うん♪」


 モヤモヤが晴れて安心した俺は、愛莉と手をつないで帰路についた。


 ◇◇◇◇◇


 Side:南雲 瀬那


 翌日の朝。

 いつも通り教室へ登校した私は、朝からひどく面倒ごとに巻き込まれています。


「ちょっと南雲さん! これ以上、和人くんにちょっかい出さないでくれませんか!」


 登校時の廊下で私の前に立ちはだかり、すごい剣幕で睨みつけてくる女子生徒。

 ええと……たしか野外学習で、朔也くんたちと、同じ班だった女の子です。

 確か、名前は……うめ……、うめ……?

 ……すみません……なんでしたっけ?


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


もし「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、ページ最下部にある『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして評価していただけると、毎日の執筆の大きなモチベーションになります!


ブックマークへの登録も、ぜひよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ