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学年一の才女を拾ったら癒されました  作者: PPHiT
第四章

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幕間 勉強会のその裏で

 Side:――――


 放課後、夕暮れの空き教室で報告を受けていた。

 今はほとんど使われていない一室。念のため電気は点けず、カーテンも閉めている。


「――ということで、計画は順調のようです。あの二人は、ぎくしゃくしているのではないかと」

「本当にこんなことで、南雲を特進に移動させられるのか?」


 赤口の報告に、勝田が腕を組む。私はその顔を見てから、ゆっくりと頷いた。


「すぐには難しいでしょうね。ですが、直接勧めても断られるのです。別の方向から働きかけるのも一つかと」


 文化祭で大きな失敗をした赤口は、何か別のことで挽回したいらしい。


(南雲を特進に移動させても、こいつの手柄にはならないだろうに)


 それでも、何もしないではいられないのだろう。

 こちらとしては都合がいい。動く理由まで用意してやる必要がないのだから。


「彼女の方は、引き続き赤口先生にお願いします。南雲が気にしているなら、接触は続けるべきでしょう」

「わかりました。本人にも伝えておきます」


 赤口が手元のメモに書き込む。それを待ちきれないように、勝田が口を開いた。


「東條の方はどうなんだ? 勉強のコツはわかったのか?」

「それが、特別なことはしていないそうです。間違えた問題を解き直して、わからないところは教科書に戻ると」

「そんなこと、誰でもやっているだろう」


 勝田が鼻を鳴らす。

 期待した答えではなかったらしい。私は机に置いていた指先を、そっと引いた。


「南雲から教わっている、という話は?」

「互いに教え合うことはあるようですが……東條が教えることもあるそうです」


 なるほど。それでは、南雲を引き離せば成績が落ちる、とも限らないか。

 だが、二人の関係が勉強に影響する可能性はある。


「彼女にわからない問題を教わるよう伝えてください。東條なら、頼まれれば断りにくいでしょう」

「それで勉強の時間を削るのか?」

「教えている間、自分の勉強は進みませんからね。南雲も、二人で過ごす時間が減れば気になるでしょう」


 勝田の腕がほどけた。

 ようやく納得できる役割が見つかった、という顔だ。


「では、赤口先生は南雲の様子を。悩んでいるようなら、特進への移動を勧めてあげてください」

「はい」


 まだ何も起きてはいない。それでも、自分が成果を出す場面を想像できれば、人は動く。


「それでは、お二人とも引き続きお願いしますね」

「わかりました」

「あぁ」


 二人が廊下へ出た後、私は閉まった扉を見つめた。

 足音が遠ざかるまで待ってから、カーテンを少しだけ開く。


 順調、という報告を信じるのは早い。

 次は、彼女から直接話を聞いておくべきだろう。

 それに……彼もまた、焚きつけるべきかもしれない。


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