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学年一の才女を拾ったら癒されました  作者: PPHiT
第三章

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233/258

SS 前川 浩紀:The Walking Hiroki

 時は西暦 20xx 年。

 世界には未知のウイルスが蔓延し、各地で感染者が発生していた。

 そのウイルスは、死者を死者のままにしておかない、凶悪な性質を持っていた。


 世界中の墓地から死者が蘇り、生者を襲う事件が多発。襲われた生者もまた、歩く死体(ウォーキングデッド)へと変わっていく。


 それは、ここ日本でも例外ではなかった……。


 オレは前川浩紀。

 どこにでもいる、ごく普通の高校生だ。

 数か月前、世界が変わったあの日から、オレは愛莉を守るために戦っている。


 とある洋館風の家で、なぜか額縁状の飾り枠にショットガンが掛けられていたので、ありがたく拝借。どこかの警察官が落とした 9mm オートマチック拳銃をサブウェポンに、今日も生き抜いている。


 BANG! BANG! BANG!


「くそー! 何人倒しても終わらねー!」

「そんなことを言っても仕方ないだろ。ほれ、浩紀。弾込めたぞ」

「お、おう!」


 今は近くのスーパーから食料品をかき集めた帰り、ゾンビどもの群れに出くわしてしまった。

 今日は弾をあまり持ってきていなかったのでピンチだったのだが……幸い、その辺りの木箱を壊したら、ショットガンの弾が大量に出てきた。

 これで乗り切れるはず!


 BANG! BANG! BANG!


「ほれ、浩紀。ショットガンのなんか特別な弾」

「『なんか特別な弾』ってなんだよ……よし、これでおしまい!」


 度重なるゾンビの群れを倒したオレたちは、物資を持って拠点へと戻った。


 拠点では、三人の女の子がオレたちを待っていた。

 愛莉に南雲さん、そしてエレノア。


 エレノアは、数日前に和人が犠牲になってから、ずっと気分が沈んだままだった。

 当たり前だ。あんだけ「スキスキ」言っていたんだ。落ち込むのも無理はない。


「カズト……カズト……」


 壊れたレコーダーのように、うわ言で和人の名前を呼んでいる。

 見ていて心が痛いぜ。


 オレたちは集めた食料を並べて、無言のまま食事を摂った。


「……」


 エレノアも、少しずつ食べられるようになってよかった。それでも、フォークを握る手はまだ少し震えていた。


「この周辺も、そろそろ食料が尽きそうだからな。明日には隣町に行こうと思う」

「仕方ないよねー」


 それでオレたちは、次の日に出発することに決めた。


 次の日、オレたちは隣町へ向かった。

 しかし、その途中――ゾンビの大群に道を塞がれた!


「浩紀、これを使え! さっき拾ってきた!」

「さんきゅ!」


 RATATATATATATATAT!


 目の前のゾンビが一体、また一体と倒れていく。

 ハンドガンよりも連射力があって気持ちいい!


「ははー! サブマシンガン、すげー!」

「次はこれだ」

「ガトリングガンってやつ!?」


 いや、もうどこから出したんだよ、それ。


 BRRRRRRRRRRT!!


 肉の壁が、別の意味で肉の壁になっていくぅー!


「ヘヴィ・マシンガーーーーン!」

「よし、これもあるぞ」

「これって……なんなの!?」

「グレネードランチャー」


 ヒュー……。


 BOOOOM!!


 弾が着地した場所で、特大の爆発が起きる。

 そこには塵すら残っていないんじゃないかと思うほどの大穴ができていた。


「やべーな、コレ」

「よし、ゾンビへの最終兵器はこれだろ」


 朔也が手渡してきたのは、ガソリンで動くタイプのチェーンソーだった。真顔で差し出してくるあたり、どうやら冗談ではないらしい。


「なんでだよ!」

「……いいから使ってみろ」


 スターターの紐を力強く引っ張ると、凶悪な刃が爆音を立てて、ものすごい勢いで回転を始めた。


 ブルルルンッ! ボボボボボ……ギュイィィィィンッ!!


「よし、行け」

「……待て待て! さすがに接近戦は怖いって!」

「……いいから行け」

「……はい」


 オレは仕方なく、ゾンビの群れに突っ込むしかなかった。


 ………………。

 …………。

 ……。


「はぁ……はぁ……疲れた……」

「おつー、ひろ」

「お疲れー。よく頑張った、頑張った」

「なんか軽くない、みんな!?」


 なんとかすべてのゾンビを倒してみんなのところへ戻ると、やたら軽い感じで労われた。そういや、こいつらの方にはゾンビが一体も行っていなかったけど、なぜだろうか。


「ていうかさ、朔也も戦えよ!」

「いや、結構です。俺は荒事は苦手なんで」

「そんなことを言ってる場合じゃないよね!?」


 理不尽さを感じつつ、みんなが無事なことに安堵した、その時だった――


「HA! HA! HA! HA! よく生きていたな、お前たち!」


 高笑いと共に現れたのは、シルクハットにタキシード姿の男。

 顔には、『オペラで殺人事件を起こしそうな怪人』がつけているような仮面を被っている。


「お、お前は誰だ!」

「ふふふ……まだわからないのかい? 俺だ!」


 バサァッ!

 マントを翻し、高らかに宣言した不審者は仮面を外した。

 そこから現れた素顔は――


「か、和人!?……お前、死んだはずだろ!?」

「そうだ! お前らが見捨てた俺だ! 地獄の底から復讐のために蘇ってきたのだ!」

「そんな、嘘でしょ……!」

「カズトー! 嫌ぁあああああぁぁぁぁっ!」


 ………………。

 …………。

 ……。


 ◇◇◇◇◇


「――って、夢を見た! なんかどっと疲れたよ」


 朝、目覚めた時になぜか鮮明に覚えていた夢を、いつもの二人に教えてみた。

 予想通り、二人ともげんなりした顔をしていた……話した甲斐があったぜ!


「俺は死んでたんだ……」

「違う違う。闇堕ちしてたんよ。あの後、愛の力でお前を洗脳から解放する胸熱展開だと思うぞ!」

「そうなの?」


 和人は反応をくれているが、朔也がまったく反応しない。

 キレていないか少し怖くなって、よくよく見ると、何やら「うーん」と唸っている。

 ……なぜ?


「……どうした?」

「……そもそも日本は火葬が中心だから、ゾンビなんてほとんど出てこないだろ? それになんで、日本のそこら中に銃器が落ちてんだよ。あと、数か月も経ってるのに、スーパーで簡単に食べられる食料が手に入るわけないだろ」

「夢にそんなツッコミされても!」


 窓の外では、いつも通りの生徒たちの笑い声が響いていた。

 今日も平和だなー。




 ― 前川 浩紀:The Walking Hiroki 完 ―




 ごめんなさい、途中で雑になりました <(_ _)>

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