幕間 親友の旅行に茶々入れたい
Side:前川 浩紀
メッセージグループ『HSK』
13:45 ひろ『@朔也 どうなん、雪山は?』
13:45 ひろ『暇だからなんか、話題プリーズ』
13:45 ひろ『@朔也 おーい!』
13:47 Kaz『落ち着いて、浩紀。スノボーしているなら、返事はすぐ来ないと思うよ』
13:48 ひろ『やっぱりそうか』
13:49 ひろ『なんか、南雲さんは愛莉とかに写真送ってるらしいんだよ。オレも写真見たいから送ってほしくてさ』
13:50 ひろ『@朔也 だから、プリーズ!』
13:53 Kaz『確かにエレノアも送ってもらってたね』
13:53 Kaz『綺麗な雪山だったよ』
13:54 ひろ『ずるいな! マジでずるい!』
13:55 ひろ『オレもスノボーしたい!』
13:57 Kaz『スノボーは俺もしたい!……あと、部屋に露天風呂が付いてるらしいね』
13:57 ひろ『なん……だと!』
くそー!
朔也のやつ、部屋に露天風呂ってなんだよ!
羨ましいじゃないか!
それにしても、親友のオレに何も送ってくれないとは、薄情者め!
……まあ、旅行中に親友へ逐一写真を送る高校生男子も、それはそれで嫌だけど。
◇
少し時間が戻って、大晦日の昼頃。
今日のオレの予定は、小さい頃から行っている神社に愛莉とお礼参りをして、そのまま初詣……つまり二年参りって言ったっけな。それを初めてやるつもりだ。
毎年、初詣へ愛莉と行くのは定番になっているが、年越しに神社へ行くのは初めてだ。
これは今まで愛莉のお父さんが許してくれなかったのが理由だけど……まあ、当たり前っちゃ当たり前のこと。
日本はまだ治安がいいとはいえ、娘が夜中に出歩くのを心配するのは、父親として当然だわな。
今年は、父親に対して絶賛反抗期中(自称)の愛莉が交渉したらしい。
(反抗期って言っても、巷で聞くほどではないけどなー)
オレが知る限りでは、おじさんの後に風呂へ入らないってことと、おじさんに「臭い」って言うくらい。
前者はあるあるだし、後者も遺伝子学……だったはずだけど、成長すればよくあることだと聞いたことがある。
どちらにしても険悪な感じではないし、買い物なんかも一緒に行っているので、家族仲が悪くなったわけではない。
……寂しいって愚痴られたことはあるけど……そこは強く生きてください。
少し前置きが長くなったけど、今日の昼は特にやることがないので、今は愛莉が家に遊びに来ている。
オレたち二人は年末とはいえ、やることもないのでダラダラとしていた。
当たり前だけど、オレの両親も姉も愛莉のことは小さい頃から知っているし、ほとんど家族同然に接している。
大晦日という日にオレの家にいても、特に気にした様子はない。
そんな中、漫画を読みながらテキトーに雑談をしていて話題に上がったのが、朔也と南雲さんの二人だ。
「そういや、朔也たちって昨日から長野に行ってたよな」
「そうだよー。瀬那から部屋とか雪山の写真送られてきたけど、いい感じの場所みたい」
「マジかよ。朔也のやつ、オレには全く何も連絡ないぞ」
「朔らしいねー」
朔也の性格上、いちいち写真を送ってこないのは予想していたけど、なんか悔しい。
よし、メッセージを送りつけてやる!
◇
ピロン♪
「おっ、来た来た!」
「朔はなんてー?」
14:21 朔也『今見た』
14:21 朔也『悪い。和人の言う通り、滑ってたから気づかなかった』
14:21 朔也『それで、何が欲しいんだよ』
14:22 ひろ『写真』
14:22 ひろ『あと露天風呂の詳細』
14:24 朔也『後者は断る』
14:25 Kaz『俺も写真は見たいかな』
14:26 朔也『和人が言うなら仕方ないな』
14:26 ひろ『オレの扱い、なんなん!』
14:28 朔也『瀬那が OK って言ってるから、後で何枚か送る』
14:29 ひろ『やったぜ!』
14:29 Kaz『ありがとう』
14:29 ひろ『で、露天風呂は?』
14:30 朔也『しつこい』
『朔也が画像を送りました』
後でと言いつつ、すぐに送ってくれるのも朔也らしいな。
「おぉ! 朔也目線の写真だと、また違った感じになる!」
「見せて!……風景か瀬那が写ってるかの二択なのが、また朔らしいね。あっ! コースの途中でも撮ってる!」
スノボーで滑りながら撮るなんて、また器用なことをするな、親友よ。
動画まで撮ってるし……見てたら余計にやりたくなる!
画面を覗き込もうと、愛莉がオレの肩へ軽く寄りかかってくる。
「綺麗な雪だし! パウダースノーじゃないか!?」
写真に写っているのは、真っ白な雪山。
ゴンドラから見下ろした景色と、林の中を通るコース。
それに加えて、南雲さんが料理の前でピースしている写真や、部屋で食事をしている時の写真もあった。
……金森さんじゃないけど、この写真、オークションものじゃないか?
昔流行った『彼女と旅行なうに使っていいよ』みたいな。
こんな写真を送ってくるなんて、なんだかんだ、あいつもテンション上がってるな。
「……なあ、今更だけど、部屋は同室なんだよな?」
「そうでしょ」
「そして、部屋風呂付きと……奴は狙ったのかどうか……怪しい!」
あのむっつりめ!
愛莉は肩を震わせながら、必死に笑いを堪えていた。
「さあ? それはわからないけど、それこそ今更でしょ」
「……それもそうか」
同棲している時点で、同じ風呂場を使っているのは当たり前か。
……よく考えなくても、やっぱり高校生として特殊だよな、あの二人。
仲良く生活しているから別にいいけど。
ただ、羨ましい。
「それにしても、スノボーっていいなー! 年越しスノボーだぞ!」
「それはそう! 私たちもいつか行こうね!」
「もちろん!」
それがいつになるかはわからないが、まずは愛莉のお父さんを説得しないとな。
一番楽なのは、二人きりではなくグループで旅行に行くことか。
いつものメンツなら、飽きることもなさそうだし。
「それも楽しそうだ」
「?」
不思議そうに首を傾げる愛莉から、オレはさりげなく視線を逸らす。
オレは密かに、いつかやりたいことリストへ加えるのだった。
本編って感じではないけど、幕間にするほど深い意味はない話。SSっていう感じでもない、作者の自己満足な回でした!
幕間っていつもは単独では公開していないですが……そこは、気にしないでください!
また、この話から浩紀の一人称を『俺』から『オレ』に変更させていただきます。
話し手を分かりやすくするって意味以外には、意味はありません。ご了承ください。
※機会があればこれより前の話でも変更するかも?




