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学年一の才女を拾ったら癒されました  作者: PPHiT
第三章

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幕間 文化祭、イベントの裏側で

 Side:梅沢 美津


 私は文化祭を周りながらも、ここしばらく一つのことを考え続けていた。


 東條を和人くんから離したい。

 南雲さんにも、少し痛い目を見てほしい。


 それは、前から思っていたことだ。


 けれど最近は、その考えが妙に具体的な形を持つようになっていた。


『どうやって、東條……いや、南雲を陥れるか』


 結局、文化祭は始まってしまったが、特に何も思いつかない。


(なんで、こんなことを考え始めたんだろう……?)


 そう考えた瞬間、頭の奥がずきりと痛んだ。


(……違う。考え始めたのは私だ。和人くんのために、東條をどうにかしたいと思ったのは、私の意思のはずだ)


 なのに、どうしてだろう。

 最近は、その考えの行き先を、誰かに勝手に決められているような気がする。


(南雲さんを、どうにかしないと……)


 そう思った瞬間、頭の奥に靄がかかったような痛みが走った。


 そんなことを考えつつ、友達とぶらぶら文化祭を周っていた。


「あれ、東條と南雲さんじゃない? なんかトラブル?」


 友達の一人が指をさした先には、見たくもない東條と南雲、そして来場者だと思われる女の子がいた。

 どう考えても、いい雰囲気ではない。


 しばらく観察していると、そのまま三人でどこかへ歩いていった。

 これ以上見ていても仕方ない。そう思って、違うところへ向かおうとした――その時だった。


『弱みを見つけるのよ』


 不意に、頭の奥で誰かの声がした気がして、一瞬立ち止まる。

 その声は、まるで耳元で囁かれたようにはっきりしていた。


 ……弱み。


 その言葉だけが、妙に胸に落ちた。

 そうだ。東條を和人くんから離すなら、ただ悪口を言うだけでは駄目だ。

 誰が聞いても納得するような、あいつの弱みが必要なのだ。


「みっちゃん? どうしたの?」


 友達の声が聞こえた。

 けれど私は、返事をしなかった。


 今なら、何かが見つかる気がした。


 ◇


「良いことを聞いた!」


 私はテンションが高くなってしまい、小躍りしそうだった。


 あの東條がいじめられていたなんて良い情報。

 あのピアスも見栄を張るための物なんて――ちょうどいい。


 これをどうにか利用できないか。

 できれば、これで和人くんから離す方向に持っていけないものか。


「あれ?」


 視線の先にいたのは、先ほど東條と南雲と話していた、中学時代の同級生らしい女の子だった。


「くそ……。鳳に会えたのは良いけど、まさかその彼女に言い負かされるなんて、癪よ」


 せっかくだから……。


「ねぇ、あなた」

「なに……?」

「あの男のことで話があるの」


 私は、たぶん同志になるであろう、その女の子に声をかけた。

 その瞬間、頭の奥にかかっていた靄が、少しだけ濃くなった。

 けれど、不思議と嫌な感じはしない。


 文化祭の楽しそうな喧騒が、なぜだかとても遠くに聞こえた。


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