幕間 九州の友達
Side:南雲 瀬那
「めんどくさいことになった……」
朝食後、電話を受けて席を立ち、自室へ入った朔也くんが、げんなりした顔でリビングに戻ってきました。
「面倒って……どうかしたのですか?」
「あぁ……口に出ていたのか。いや、友達から電話で依頼が入ってな」
「友達!?」
独り言だったらしく、私が反応したことに驚いていた朔也くんの言葉に、今度は逆に私が驚かされました。
友達……前川さんや森田さんなら『浩紀』や『和人』と言うはずです。……他にも友達がいたのですね。
「驚きすぎじゃないか?」
「あ、すみません。その言い方からすると、前川さんや森田さんではないのですよね?」
「あぁ、そうだな。……中学からの友達……うん、友達からだ」
「えっ!?」
中学からというと、あの事件に関係しているのでしょうか……。
自然と、きゅっと彼の手を握ってしまいました。朔也くんの過去に触れる話題は、どうしても胸がざわつきます。今の彼が隣にいてくれるとわかっていても、過去の傷まで消えたわけではないのですから。
「あー、違う違う。心配しなくて大丈夫だ。中学からの友達だけど、別の学校だからあの件とは全く関係ない。むしろ、ああいったことは嫌いなタイプだしな。ただ、九州にいるから、滅多に会うこともないけど」
「そうなのですね、良かったです。……それで、依頼とは何のことでしょうか?」
内容を聞いて良いかわかりませんが、尋ねるだけなら問題ないはずです。
そもそも高校生に『依頼』って……朔也くんだからと納得してしまうのも、仕方ないですね。
「うーん、何て言ったら良いかな。まあ、特殊なアクセサリーってところかな」
「特殊?」
「そそ。一応、前に準備していたものがあるから、そこまで時間はかからないと思うけど……。どうやって送ろうか。そうそう壊れるものでもないしな……」
「?」
歯切れの悪い朔也くんの言葉に疑問を浮かべるも、それ以上話すつもりはなさそうでした。
……特殊なアクセサリー。
その言葉だけで、なぜか嫌な予感と少しの期待が同時に湧いてきました。




