第96話 犯人達
とある倉庫に今回のお店への嫌がらせ騒動を起こした犯人達が集められている。
年齢は比較的若い人が多い。
中には中年も何人か見える。
これなら、作戦通りに言えばなんとかなるかもしれない。
「ど、どこだここは…!!」
「痛いぞ!!」
「ワシを誰だと思っている!今すぐに謝罪して解放せんか!」
んー。
いかにも小物な雰囲気。
当たり前だけど、絵を描いている黒幕はいない。
ここにいるのは都合が悪くなれば切り捨てられるような者ばかりだが、私に接触したとあれば、一旦親玉のところに帰るだろう。
できれば、周りに私達にこれ以上嫌がらせをしないように言ってまわって貰えるのがベストなのだけど。
「皆様、ギルバート殿下の御前ですよ?静かにしてください。」
リュカ様が冷たく言う。
途端に、場が一瞬シーンとなる。
皆の目線は、アレがそうか?という感じだ。
ここにいるのはほとんど、他国の人間なのだから無理はないけど。
「では、コーデリア嬢。どうぞ…」
リュカ様が静かになったところで引き継いでくれる。
「皆様、ご機嫌よう。私の事はよくご存知かと思いますが…」
何人かが目を逸らす。
「まあ!素知らぬフリをなさる殿方もおりますが…」
犯人達に近寄る。
「私の店に散々嫌がらせをしてくださったのです。知らないとは言わせませんわ。」
「しっ、知らんぞワシは!!店など、知らん!無実の、罪で旅行中の他国貴族を拘束するのか?!ワシはエドモン男爵だぞ!良いのか…国際問題になるぞ!」
ちょび髭親父がギャーギャー喚いている。
「ふむ…リュカ様?」
「はい、コーデリア嬢。」
リュカ様は、映像魔石を発動してくれる。
その映像には、1日目に頼んだ料理をコッソリと持ち帰る姿。
そして、1週間程後に現れ、同じ物を注文。
皿を空にすると、腐った物を皿に素早く並べる。
そしてあたかもそれがたった今出されたかのように喚き散らした。
「オイ!この店は逆に腐った食べ物をだすのか?!」
すかさず味方が叫ぶ。
「うわっ…もしかして、俺のも危ないのかな。」
店内がザワザワし、店長がやって来た。
彼が何を言っても聞く耳を持たなかったが…
「では、今から映像魔石を確認して参ります。」
そう言うと何やらゴニョゴニョと言いながら、どこかへいなくなった。
それだけでも悪質なのに、なんとこの男、他の店でも同じ事をやったのだ。
映像が終わり、不利を悟ったのかブルブル震え出したエドモン男爵だが、まだブツブツ関係ない、だとかアレはワシではない、などと言っている。
「他に異議がある方は?…いませんか?それでは裁定を…」
「ワシは知らんぞ!!」
「まあ、うるさい方ですわね。貴方からにしましょうか。」
叫ぶエドモン男爵に手をかざす。
ばさ…と音が聞こえ、男爵の頭頂部が不毛地帯になる。
「ギャー!!」
「ヒッ!ヒイ…」
周りから悲鳴があがる。
「わ、ワシの髪…ワシの髪に一体何が…」
周りの犯人はまだ自分の番ではないのに、ガクガクブルブルと震えている。
「髪ですか?このようにスッキリ致しましたわ。」
優しく鏡で見せる。
「な。な…」
蒼白になり、言葉にならない。
頭頂部だけではなく、頭全体をツルツルにしてもいいかと思ったが、今でも効果抜群そうだ。
「では、皆様にご提案です。今の段階で罪を認め謝罪する方には、髪の毛があるままで帰宅できます。ただし、以下の内容の魔導契約を結んでもらいます。1つ、これ以上嫌がらせや悪評を立てない。2つ、最低一回は、店舗に謝罪に来ること。3つ、本国や、王宮で次に同じ事をやったら、全員エドモン男爵と同じ目に合わせると警告する事。それらを約束してくださいな。もちろん、頭頂部だけではなく、全身くまなくツルツルにも出来ますので、まだ不服がある方はお付き合い致しますわ。」
にっこりと笑いながら語りかける。
「ぼ、僕はやれと言われただけで…2度とやりません!!誓います!契約結びますので、許してください。」
若い金髪の男性が言うのを皮切りに、次々と降参する。
エドモン男爵は放心状態だ。
降参した貴族をリュカ様の部下が解放して、カロンのところへ連れて行く。
最後まで頑張っていた厳しい中年男性は、上半身をツルツルにして、下半身に差し掛かると慌てて止めに入った。
どうやら自分のスキルで再生できると思っていたら無理だったみたい。
こうして、犯人達は恐ろしさを本国に伝える事になる。




