幕間 チャンス
最近、何かとうまくいっている。
何かと面倒な悪女コーデリアを、誰かわからないが攻撃してくれているのだ。
おかげでアカデミーでの居心地がとても良くなっているので、誰かわからないが感謝しかない。
「まあ、私…主人公だからね…こう言うのなんて言うんだっけ?強制力?運命力?とにかく、きっとヒロインに都合が良くなるようにできているのよね。」
ほっとしてソファに腰掛ける。
あの悪女…
コーデリアはやはり日本人だった。
しかも、図々しい事に、話し合いを申し出たにもかかわらず、今後とも攻略対象を誰一人譲らず、逆ハーレムエンドを目指しているようなのだ。
「たしか…バッドエンドの中にいくつか、コーデリアが家の力で強引にヒロインと攻略対象の婚約を破談にするのがあった気がするけど…私、バッドエンド見たくない派だから、好きなエンディング以外はさらっとしかプレイしていないのよね…」
呼び出されて話して見ると、コーデリアの中の日本人は、悪役らしい悪役ではない気がする。
それだけに、せっかくの私が主役の物語を台無しにされたのが、ものすごく腹が立って仕方がない。
楽しみにしていたスチルイベントを体験できなかった上に、ちゃっかり悪役がヒロインポジションに収まっている。
その上、厚かましく協力を申し出られても、到底納得できる状態ではない。
「せっかく…せっかく、ムカつく女だけど…一人くらい譲ろうと思ったのに…」
第一、彼らはヒロインの為に存在しているのに…
「本当だったら今頃、みんなの世界の中心が私になって、ちやほや楽しい学園生活を送るはずだったのに…」
未だに自宅からアカデミーへ通う毎日だ。
「コーデリアは本当に強欲よね…私が許してあげる条件…優しすぎるくらいなのに…逆の立場なら、到底許せないってわかるはずなのに!」
コーデリアへのイライラは募るが、最近入学当時以上の悪評が広まりつつあるので、かなり溜飲が下がる思いだ。
今日も昼間、サリア伯爵令嬢と、アウラ子爵令嬢にランチに誘われて、昼を一緒に食べた。
ヘルマン伯爵令嬢はブロンドに青目、アウグスブルク子爵令嬢は黒髪に茶色のタレ目の少女だ。
思った通り、聞きたいのは噂の真偽だった。
ランチが終わる頃…
ヘルマン伯爵令嬢がこれが聞きたかった!とばかりに話始める。
「ああ…アリア様は本当に素敵な方ね?そう思わない?アウラ?」
「ええ!!本当に…こんなに可愛らしくてウィットもある方がまさか…あら、私ったら。ごめんなさい。」
「あら!いけないわ。アウラ…アリア様はきっと、まだお話できるような状態ではないわ。お気の毒よ?」
2人で芝居を打っているのだろう。
早く教えて!!と目が好奇心でキラキラしている。
「でも…あのように素晴らしい功績を盗まれたとあっては…あっいけませんわね。相手は王家すら恐れぬ公しゃ…」
「アウラ、その辺に…ごめんなさいね。アリア様、傷ついていらっしゃるところに…」
なるほどね。
一言、私から証拠になりそうな言葉を引き出したいのだろう。
あとは、勝手にひどく落ち込んで詳しく話せないようだった…とか色々噂を回してくれるのだろう。
それなら…
どんなコレかな。
「いえ…お2人とも、気にしていませんわ。私、今は美容のお店で忙しくさせていただいていますし…」
否定も肯定もしない。
これなら、後で何か言われた時には、そんな話とは思わなかった!でシラを切り通せる筈だ。
まあ、2人が認めさせたいのは、ポーション作成の功績は私のものって事だろうけど。
「まあ!!まあ、聞きました?アウラ。」
「ええ、サリア。」
「コレは大変な事ですわ。優しく純朴な者から歴史的功績を奪い取るなど…」
「私達、できる限り真実を皆様にお伝え致しますね!」
サリアとアウラはしてやったり、と言う顔になっている。
私にとっては、噂を広められても問題ない。
最近はそれを憐れんだ貴族から、それを口実に縁談やら贈り物やらが絶えないからだ。
それに、いざ製法を聞かれたら、コーデリアに脅されているから言えないと言えば良いだけだ。
だから自分は、いつまでも、功績を奪われた善良な悲劇のヒロインでいられるのだ。
「でも、もうじき時期的に竜の谷へ行く頃よね?ギルバート誘って加護もらいに行かないと…」
もうじき始まるイベントはあの女が邪魔しなければ、オートで開始するかもしれないし…
あの女が追い詰められている今が、まさにチャンスだ。




