↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/121

生徒会①クルル視点

 白と別れ、アレクに聞いた通り職員棟の隣にある生徒会用の建物に向かう。


「白様がお許しになられて良かったですね」

「あぁ、そうだな」


 イリュスの言葉に別れ際に見せた白の寂しそうな顔が浮かぶ。

 白は初めから、リーンを疑っていた。否、確信を持って嫌っていたと言うべきか。これまで何度も思ってきた。何故そこまで彼女を嫌うのか、と。だが、私には聞けない。あの寂し気な顔を、瞳を見るたび、その言葉を呑み込んだ。

 そうして、知る。白が取り乱すほど危険だと、近づくなと言った意味を――。


「イリュス。気を抜くなよ」

「えぇ、心得ております」


 生徒会室の扉を前に、もう一度イリュスへ念を押す。


『我がついているにょだ。何かあれば、すぐにそなたらに知らせるようにするにょだ』


 肩に乗るオリジン様に頷き、私たちは扉を開けた。

 ガラス張りの温室を利用した建物内はドーム状になっており、所せましと植物が植えられている。一見、場所を間違えてしまったかと思ったが、どうやら間違いではないらしく。温室の中央に生徒会のメンバーが使っていると思われる執務用の机が並べられていた。


「来てくれて助かったぞ、クルル」

「あぁ」


 朗らかな笑顔を浮かべ片手を挙げて迎えたアレク。聖女と共に現れた食堂で見た彼の瞳は濁っていたが、今日は濁っていない。その事に気付いた私は、肩にいるオリジン様へと問いかける。


『ふむ、濁りか……あにょ時、共に居た聖女がいにゃいからではにゃいにょか?』

――それもありえます。ですが、先ほど私たちが誘われた際アレクの側には例の聖女が居たのです。薬の効果はそんなに早く切れるのでしょうか?

『それにゃにょだが……、我には薬の効果を感じる事ができにゃいようだ』

――薬の効果のあるなしは、どうやってわかるのでしょう?

『ハクが言うには、別の次元にょ世界で聖女と関わるはずだったもにょに効果が出ると言ってた』

――クルル様。アレク様が……。


 イリュスの声にハッとして、話を切る。薬の効果については後で、白に詳しく確認するべきだと結論付け、観察することにした。


「クルル?」

「あぁ、すまない。余りにも室内が美しくて見入っていた」

「そうか、それで先ほどの話なのだが」

「……生徒会の手伝いの件か?」

「あぁ、できれば常務で頼みたい」


 常務か……。白が反対するのは、確実だろう。それに私個人としても、あの時のようになるのは嫌だ。できればこの部屋で、あの聖女とほぼ毎日顔を合わせるのは避けたい。


「私としては、週に何度かの手伝いなら受けてもいいと考えている。ただし――」

「本当か? 有能なクルルが手伝ってくれるなら、こちらとしても非常に助かる。週に四日ほどでも大丈夫か?」


 話の途中でアレクが割り込み、喜色を露わにする。肩口で嘆息したオリジン様が渋面を作り、私と同じ感想――『相変わらずこのもにょは、話を聞かぬにょだにゃ』と漏らした。

 

「アレク、話を聞け」


 強めの口調でアレクに呼びかけ、言いかけだった条件を伝える。


「まず、何日ここへ来れるかは、私の婚約者と相談してからだ。お前も当然、心当たりがあるだろう? 白はお前を一切信用していない。今日ここへ来るのも嫌がったほどだ」

「なにっ……、そんなにか?」


 驚くことは何もないだろうにアレクは、大袈裟に驚いて見せた。そんなアレクに、私、イリュス、見えていないはずのオリジン様が大きく頷き本当だ、と伝える。


「だいたい考えても見ろ。お前、初めて会った時、白に何と言った? その後は? お前の妹姫の時は? 全て白を貶めた発言をしていただろう?」

「それは……、だが……、あの程度の事、社交界では挨拶代わりではないか!」


 アレクの言葉に私は、わざとらしく大きな溜息を吐く。


「逆の立場になって見ろ、そんな相手をお前は信用するのか? そうならば、お前こそ愚かではないか」


 私本人でさ気づかぬうちに鬱憤が溜まっていたようだ。気付いた時には言葉にしていた。私の言い草に苦い顔をするアレクを他所に、肩のオリジン様が『いい気味にゃにょだ』と笑い。イリュスは俯き肩を震わせていた。


「アレク? どうしたの? 辛い事でもあった?」


 可愛らしい声音が、私たちのやり取りを遮る。小走りする軽い足音がこちらへ近づき、白と同じ色の黒髪が視界を横切ったかと思えば、ふわりと甘い香りが漂った。

 声を聴いた途端、アレクが蕩けたような笑みを見せる。その表情にハッとして、彼の瞳を見れば、色が濁っていた。


「リーン。大丈夫だ」

「本当に? 本当に大丈夫なの? アレクに何かあったらって、わたし心配で……」

「あぁ、本当だ。リーンを心配させるなんてこと、するわけないだろ?」


 リーンと呼ばれた少女から視線を逸らすことなく言い切るアレク。そんな彼の頬に、白く整った指先が触れる。それ見た途端、嫌悪感を覚えた。


 とても嫌な気分だ。大切な宝物をアレクに奪われたような。私のモノを奪ウナ、イライラスル、気分ガ悪イ。アノ子ガ触レテイイノハ、ワタシダケノハズダ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。