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クリシュア救出④

 バーオバから貰った銀の箱をテーブルに置いたあたしは一人、鍵が閉められた部屋の中で悩んでいた。


 さて、どうやってまた抜け出そうかなぁ……。昼間抜け出しただけで四時間ぐらい説教されたし。メアリーさんたちには泣かれたし。流石に、昼間の夜じゃクルル様たちの怒りが想像できないレベルになるよね~。でもクリシュアを早く助けてあげたい。


 朝抜け出して昼過ぎに離宮へ戻ったあたしは、そのまま正座させられ怒り狂うクルル様とドS眼鏡様ことイリュス様に盛大に説教を貰った。

 手紙を渡して貰ってはいたのだけれど、悪役王女の件で攫われでからとても過保護気味になっている二人には通用しなかった。二度としないと言う約束はなんとか躱せたものの室内には、見張りの衛兵さん(女性)がいる。


 あ~、マジでどうしよう。


 抜け出す方法を考え頭を抱えていると、目の前でキラキラと青い光が舞い小人姿のオリジンが浮かんでいた。


『今もどったにょだ』

「おかえり~。オリジン、精霊界の方はどうだった?」

『ふむ。解除方法はわからにゃかったにょだが、人間界に詳しいものがいて、そにょ者がいうには、人の魔道具にょ一種であるスワープボックスを使えばいいと言われたにょだ』

「スワープボックス??」

『うむ。こういった形の、こうにゃった物だ』


 小人姿のオリジンが小さな手を使い形を教えてくれようとするけど……全然わかんない!


 あたしの理解が追いついていない事を理解したオリジンが、頭の葉っぱをゆっさゆっさと揺する。すると目の前で、薄青の線が形を作り始めた。そうして出来上がった形に、あたしは「あ!」と、驚いた声をあげた。

 オリジンがつくったのは正に、今日バーオバから譲ってもらった正十二面体の箱だ。


『どうしたにょだ?』


 不思議そうにコテンと首を倒したオリジンの目の前に、あたしはポケットから取り出したそれを差し出す。


「これでしょ?」

『そうにゃにょだ! 何故ハクが持ってるにょだ!』

「オリジンが居ない間に、バーオバの所に行ったの。で、バーオバからこれならクリシュアが自分で張った結界を破れるんじゃないかって」

『そうか! これで、救えるにょだ!』

「まぁ、そうなんだけどさ……」


 両手でスワープボックスを握るオリジンから視線を外すと、やっぱりアレが問題だよね~と溜息を吐き出したあたしは扉の側にいる騎士に視線を向けた。

 夜までにどうにかして抜け出す方法を考えないと……。


『そう言えば、にゃぜ室内に騎士が居るにょだ?』


 あたしの視線に気づいたオリジンが、騎士の方を見やり聞いて来る。


『それはだな。昼間そのバーオバつーばぁさんに会いに、抜け出したからだ』

『クルルとイリュスがカンカンでね~。ハク閉じ込められちゃったの~』

『主様に非はない。だが、あの者たちは主様の事を心底心配しておったかのう。わらわたちでは止める事ができなんだ』


 あたしが口を開くよりも早く、ノヴァ、ニマ君、グレイシアの順で事情が説明されていた。


『にゃるほど……だが、このスワープボックスは人の魔力がひつようにゃにょだ。ハクが行かねばクリシュアを救えにゃい』

「まぁ、それは解ってるんだけどね~。抜けだしたらまた怒られるし、どうしたらいいと思う~?」


 確かに、バーオバもスワープボックスの使い方の説明をしたときに、これは人でなければ使えないと言っていた。しかも、精霊と契約している者と言う注釈をつけて。

 なので、行くならあたしが行かないといけないんだけど……クルル様たちにどう言えばいいのだろう? 全部を説明して一緒に来てもらう? でも、でも、もし来てもらって解除したクリシュアが暴走していたら、クルル様たちが怪我したりしたら、そうたらればを考えるだけで発狂しそう。

 

「うーん。なんかいい方法ないかなぁ? クルル様たちが安全で、あたしが教会に行く方法~」

『ふむ。それにゃらば、我に考えがあるにょだ!』

「え! マジ?! 何なに?」

『いいか? よく聞くにょだ――』そう言ったオリジンが、小人なのにキリリとした顔でこれからの事を話した。


 オリジンの考えた作戦はこうだ。

 まず、クルル様たちにクリシュアの事を話す。ただし、夜外出したのがばれないように、バーオバに聞いたことにする。これが一番重要かも?

 そして、夜になったらクルル様たちと一緒に、あの教会へ向かう。この時、グレイシア、ノヴァ、ニマ君が二人に結界を張り、クリシュアの結界を解く。

 もし、結界を解いてクリシュアが暴走していた場合、二人を強制的にテレポートで離宮に戻す。


『と言うにょでどうだ? クルルとイリュスには、強制テレポートを伝えにゃければうまくいくはずにゃにょだ』

「うん! それ凄くいいよ。オリジンあったまいい~♪」

『ふん、これぐらいにゃらば、こにょ生命を司りし――』

「あぁ、うん。わかった。その口上はもういいから、早速クルル様たちのとこにいこー!」


 オリジンの口上をぶった切ったあたしは、いそいそとクルル様の部屋に向かった。

また来週よろしくお願いします!

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