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精霊救出作戦 ①

 口走ってはダメな事を口走ってしまったあたしは、オリジンから長時間の説教を貰いガックリと項垂れた。


 説教が終わり夕食の席で、隠し事する方が悪い! と心の中で毒づいてみる。するとオリジンがキッと瞳を上げて『そなたが知った所で、今は何も出来ぬだろう? ハクを危険に晒す事になったかもしぬのだ!』と怒られた。


 分かったよ~。二度と言わないから、もうそんなプリプリしないの! 後で、アップルパイ作って貰おうよ? ね?

『ふん。わかればいいのだ』


 アップルパイと言う単語で、とりあえずオリジンの機嫌を直したあたしは、これからの流れをオリジンに聞いた。

 大まかな流れを説明すると……内容はこんな感じ。

 数日内には、クルル様、イリュス様とオリジンで囚われた精霊を助けに行く。囚われた精霊は、現在の数で二十五人――人で数えていいのかは不明だけど――その全員をとりあえず、王宮に連れて来る。で、ここからがあたしの出番らしい。

 あたしがする事は一つだけ、傷つき弱った精霊を癒す事。


「――は? あたし聖女じゃないから精霊を癒す事なんかできないよ?」

『問題にゃいにょだ』


 小人に戻ったオリジンがフンスと鼻を鳴らし当然のように言った。なんの根拠があって問題が無いと……? 精霊を癒し、救うのは聖女の仕事でしょ? Love with youでその役目をやるのはヒロインなんですけど!?


「あたし、癒しの力とかないよ?」

『にゃにをいうにょだ。そにゃたは我を助けたではにゃいか!』


 なんだとー! あたしが、いつオリジンを助けた? あたしは付属品じゃなかったの? ていうかアレ?ヒロイン二人は居なかったよね?!

 混乱するあたしを余所に、オリジンは大人の姿に変化すると言葉を続けた。


「ハクと出会った時、我は精霊の姿ではなく木の姿に戻っていたはずだ」

「うん……それはそうだけど?」


 頷きながら首を傾げる。


「あの時我は、力を失い精霊の姿になれなくなっていたのだ。理由はよく分からぬが、一年ほど前突如としてこの世界の精霊が好む正常なマナが薄くなってしまったな。そのせいで、あぁして耐えるしかなかったのだ」

「正常なマナって何?」

「そうだな……人族が使うマナは、己の身の内から練り上げ作り出すものだと言う事は学んだであろう?」


 オリジンの言葉に、学者然としたメリル先生の優しい笑顔がちらついた。そう言えば、マナって言うか魔法についても習ったなぁ~。あの授業は楽しかった。あたしにはほぼほぼ使えなかったけどね……。


 メリル先生曰く、人族は魔力の核を体内に宿して生まれる。

 この国では、魔法を覚えるのは十歳になって受ける適性診断の結果で優をつけられた人だけ。王族、貴族は魔核と言うのが大きくて、ほぼほぼ使えるらしい。庶民の人達は、使えない訳では無く体内の魔核というものが小さいため生活魔法程度にしか使えないそうだ。

 その魔核から流れる魔力を身体の内で練り上げ魔法を発動させるらしいのだが、あたしにはその魔力自体がよく分からず不発だった。


 と魔法の授業の内容はこれぐらいにして、オリジンとの会話を続ける。


「うん。確かに聞いたけど……精霊は違うの?」

「そうなのだ。精霊は、大気中に漂う自然が生み出したマナを自分の身に取りこんで魔法を使う。故に、漂うマナが少なくなればそれだけ身体に支障をきたす」

「ふーん。でも、世界に漂うって事は大気中に漂ってるマナってことでしょ? それが少なくなるってどうして?」


 あたしの質問に、手を顎に当て難しい顔をしたままオリジンが黙り込む。

 オリジンの話……うーん。どこかで、似たような症状を見た? 記憶があるような気がするけど、どこだったかなぁ?

 上手く思い出せない…………!!


「あぁ! 思いだした! クルル様のイベントの時にあったやつか! あの死ぬほどめんどくさい高感度上げの!!」


 突然声を張り上げてしまったがために、オリジンを驚かせてしまったが仕方が無い。

 

 確かクルル様が、アリューストの学園に留学した理由が精霊と精霊樹の不調について調べる為だったはず。その為に彼は図書館で毎日調べ物をしていた。そんなクルル様を手伝う事で裏ルートが開かれ、いくつもの謎を解く事で、高感度が上がり。そして、一緒に問題を解決する事で彼の高感度がMAXになり結婚。


 って事は、この謎を先に解いたらクルル様はアリュースト学園に行かなくてよくなるってことだよね? なーんだ簡単じゃん! 


「ハク?」

「あーごめん。えーっとね。ちょっと思い出した事があってね。色々準備が必要なんだけど、その準備が整ったら教えるね!」


 ヒロインとクルル様が出会うのを阻止できると踏んだあたしは、オリジンに自信満々に言いきった。

 

「ふむ。まーいいだろう。それで、そなたが我を癒した件だが……」


 流された。自信満々に言ったのに!! ガチでオリジンに話を流されてしまう。そのまま、オリジンは軽く凹んだあたしを気にする事もなく説明する。

 

 あたしの中にも確かに魔核がある。けどそれは、魔法を使えるほど大きくはないそうだ。

 ではどうしてオリジンを癒したかと言うと、あたし自身が無意識に作り上げた自然が生み出す正常なマナと同等のマナを放出し続けているから。

 それは精霊を正常な状態に戻し、力を与える事ができるらしい。オリジンが人型に戻れたのは、あたしがその正常なマナとやらを放出しつつオリジン自身に触れたからだって。

 で、小人の時に言葉遣いが徐々にまともなってきた理由は、あたしの側に常にいるからだそうだ。


 徐々に回復してるってことかな? 分かったような分からないような説明をその後も、うんうんと頷き聞いていた。

足を運んで頂きありがとうございます。

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