↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/121

お妃修行、敢行中⑧

 あたしに値踏みするような視線を向けるぽっちゃり夫人に、クルル様は「お久しぶりです。カザス夫人」と言った。

 この人が第二婦夫人か……。あぁ、やだ。もう、帰りたい。


「えぇ、えぇ、久しぶりですね。王太子殿下」

「はい」

「それで……そちらの可愛らしい女性が?」

「えぇ、彼女がハク・アマチです」


 クルル様の腕が背に回り、ぼーっと二人の会話を見ていたあたしの背中をポンポンと二回叩く。それに反応した所で慌てて「どうも、天地です!」と同時にガバッと頭を90度に下げた……The 日本流。


「んまっ!! あ、よ、よろしくね……」

「はい!」


 驚いた表情のままたどたどしくよろしくねと言うカザス夫人に、ニッコリ頭を上げて微笑むあたし。その隣でクルル様は、片手で顔を覆い呆れていた。

 とそこに、新たな声がかかる。


「カザス夫人。そんな所でハクさんを独占しないで、こちらへ案内してくださいませんこと?」


 そう言って顔を出したのは、スレンダー? とは言えないほど痩せこけた紺色のドレスを着た王妃様じゃない女性だった。

 その女性に対し、カザスさんは「あら、ごめんなさいね~。オホホホ」そう言うとあたしたちへ向きなおる。

 「こっちよ~」そう言って歩き出す彼女に付いてあたしたちも奥に向かって歩き始めた。

 

 ん~~? 胃が痛い。クルル様が、緊張してるの移った? マジでやだ、こんな緊張感いらないよぅ……これが毎日とか、本当に精神的苦痛で死ぬかも……。

 そう考えるだけで、ブルっと身体が震えた。

 

「王太子殿下、良く来ましたね」

「母上」


 あ、王妃様だ。相変わらずの美人さんだなぁ~。今日は薄赤色のドレスか~、原色でもに合いそう! 優しい笑顔が素敵なお義母様!


「王太子殿下、ようこそお越し下さいました」

「お邪魔いたします。ジュリア夫人」


 名前からしてこの人が第三夫人? てっか、すごい髪が綺麗! 焦げ茶色っぽい色だけど……あの艶やかさはかなり頑張ってる! 髪が映えるようにクリーム色からダーク系にグラデーションがかかったドレスの選択も好み。


「ふふ。お久しぶりですね王太子殿下」

「お加減いかがですか? リーデリア夫人」

「えぇ、陛下にお気遣い頂き、つつがなく過ごしておりますよ」

「それは良かった」


 えーっと、この人が五人目? 三人目? つか、顔色あんま良くないな……ホウレンソウとか、レバーとか食べた方が良さそう!

 少し病弱なのかな? そう心配になるその夫人は、顔は凄く美人で、儚げな感じを見せ笑った


「さぁ、お座りになって……挨拶はそれからでも出来ましてよ?」

「お気遣い感謝いたします。ミリアナ夫人」


 この人は、まぁ、あれだよね……細すぎ。ヒールでこけたら骨折りそう……。

 まるで、ハ○ジのあの眼鏡かけた教育係みたい!


「オホホホ。さぁ、ハク様もこちらへ」

「はぁ……どうも」


 最後は、ミリアナ夫人にそのお肉を分けたら丁度いいんじゃないかと思うぽってりと肥えたカザス夫人だ。その人に勧められるまま、クルル様の隣に座る。

 すると音もなく現れたメイドさん達によって、紅茶が配られお菓子が置かれた。


『ハク、クッキーが欲しいにょだ!』

 あぁ、はいはい。

 

 オリジンにサイドの垂らした髪を引っ張られおねだりされたあたしは、早速クッキーを一枚摘みオリジンに渡した。


「んまっ!」

「あらあら……」

「……ない」

「食欲があるのねぇ~」

「ふふっ。ハクちゃん、お行儀が悪いですよ?」


 自己紹介も済んでいない内からクッキーに手を伸ばしたあたしに対して、カザス夫人、ミリアナ夫人、ジュリア夫人、リーデリア夫人、王妃様の順で、次々驚いた表情や眉をひそめた表情を見せた。


「白?」

「なんですか?」

「母上の許可が出てからに……すると習っただろう?」


 そんなことも覚えていないのか? そう言うとクルル様は、落胆した顔を見せた。

 覚えてるけど、オリジンが食べたいって言うなら食べさせていいってクルル様言ったじゃん! なのに、なんで王妃様たちがいるだけで意見変わってるの? ありえないんですけど……そうあたしが、考えた所で、首をコテンと傾げたオリジンが……。


『食べてはダメだったにょか?』

 寂しそうな丸い瞳をこちらに向けて言う。

 可哀そうなオリジンに同情したあたしは、意見をコロコロと変えるクルル様をキツク睨みつけた。


「ん~。オリジンは気にしなくていいよ~。人間の事なんか気にしないで食べたいだけ食べていいよ」

『そうにゃにょか?』

「うん。こう言うのは食べたい時に、食べるのが一番だ。この程度で、とやかく言う人は人間が出来てない。器が小さいんだってお母さんも言ってたし! 気にしなくていいよ~」

 

 しょんぼりとする小人バージョンのオリジンを励ましつつ、クルル様と王妃様たちに当てつけがましく声に出す。すると、全員がピシっ! そう効果音が付きそうなほど固まる。

 その隙にもう一枚クッキーを摘み、オリジンに手渡した。

 いち早く硬直から復活したクルル様が、止めろと言わんばかり腰に回した手で肉を掴む。


「もう、なんですか?」

「母上たちが困惑しているから止めなさい」

「はぁ……オリジンがクッキー食べたいって言ってるからあげただけですよ?

 あたしが食べてる訳じゃないんだし、クルル様が前にオリジンが食べたいって言うなら食べさせてやってくれって言ったんじゃないですか~?」

「そ、それは……そうだが……」

「クルル様たちが、そう言う顔するからオリジンしょげちゃってますよ?」

「それは……申し訳ないことを……って、まずは母上達に挨拶を!」


 メアリーに持たされた扇を広げ、小声でクルル様とやり取りをする。実際本当にオリジンは、首を下げクッキーを咀嚼するために項垂れているので、嘘は言っていないはず……。


「ん゛」と王妃様が咳払いをしすれば、クルル様が顔を上げそちらを見る。そして、あたしには分からない思念――目配せを使った会話をしていた。

 微妙な空気が数秒流れて、漸くクルル様が頷くと立ち上がる。


「母上たちに紹介しておきます。彼女が――」そう言って、あたしの方に掌を差し出したクルル様。

 その掌を見つめ微笑みを浮かべてみる……どうやら、違ったみたい。

 正解は……手を取って立て! だったらしい……。正解を口パクで言われ、慌てて立ち上がった――。


足を運んで頂きありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。