表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/72

別視点 レレットステウ

アッケンベルテのばばあは別行動するということで、ばばあ以外のメンツでスヴェンのダンナに付き合うことになった。まあ久々に帝都に戻れるし、皆のところへ顔を出しておくとするかな。


なぜか砦の倉庫に集まることになった。プラウドアルターの四人で行ってみると砦の兵士の大部分が集まってるじゃないか。こっから皆と仲良く整列行進しろってか? 

ヴァルターが俺らになんか配った。タリスマンか、これ? おい、ヴァルター、説明しろよ。

やつは何も説明せず、ただ身に付けろとだけだった。そして最初に倉庫の中に入っていった。

ん? この倉庫、中空っぽだし、床になんか仕掛けがあるぞ。


「おい、ヴァルター。ここ大丈夫なのか?」

なんか罠っぽい仕掛けが大規模に仕掛けられている気がするんだが。


「大丈夫だ。ここはただのはかりだ。我ら全体の重さを測っているんだ」

はあ? はかり? そんなもん測って何の意味があるんだ。


「ステウなら噂ぐらい聞いたことあると思っていたがな。まだ全体が腐っているわけでもないようで安心したよ」

ん? どういうことだ? ヴァルターの野郎がはっきり言わないのは珍しいな。


しばらく待機した後、兵士たちがどんどん地下に降り始めた。俺らも兵士について行って最後に地下に下りる。


真っ暗だからかクレイタも少しビビり始めてるな。イプゾーシンは相変わらずだが。どういうことか知ってそうなヴァルターが余裕だから大丈夫だと思うが、やっぱ知らないことは怖ぇな。


壁や天井が光った。その一瞬浮いたような気がしたが、それきりですぐに光は消えた。魔法の明かりを持った兵士が入り口から入ってきて、外に出るように促された。……見かけねー面だな。こんなやつあの砦にいたか?


「気分悪くなったものはいないよな? さあ出よう」

ヴァルターが率先して出ていく。リーダーは俺のはずだが、ヴァルターのやつ、変わったか。いくらわけが分かっているからって俺らを率先することとかほぼなかったはずだ。


倉庫まで上がってきたが、様子がおかしい。さっきの倉庫と天井の造りが違う気がする。それに出入り口まで作りが違うじゃねぇか。どういうことだ? 今度はこの倉庫にたまる必要はないらしく魔法の明かりを持っていた兵士に導かれて外に出る。


「おい、ヴァルター、どういうことだよ。ここはどこだよ?」

倉庫から出たら見たことがない、少なくともあの砦の景色ではない風景が広がっていた。砦内なのは確かみたいだが、全然作りも違うし、空気も違う。気温も違うんじゃないか?


「ここは帝都南の砦だよ。ここから俺たちは帝都を通って北の砦まで行く。兵士諸君には悪いが帝都を迂回して北で合流する予定だ」

「帝都だって? それじゃあれ、テレポート装置か?! 部隊丸ごと?!」

「ああ、そうだ。兵士たちには矛盾だらけだが偽の記憶が付与される。突き詰めて思い出そうとしない限り、それが矛盾だらけだと気づけないと思うけどな。俺たちはさっきのタリスマンのおかげで例外だ」

そういうことかよ。


「テレポーターなんで便利なもんがあるならもっと有効活用したらいいんじゃないのか?」

「残念だがそれは出来ない。費用がかかりすぎるし、悪用されれば大問題だからな。さっき倉庫がはかりだと言っただろう? あれは今頃南国境の砦ラメルキに俺らと同じ重量の物資が同時に送られているんだ。緊急時はただの重りを送るんだが、たぶん補給物資を送ってると思う。あの留守番になったマルガという副官、秘書だったか? あいつシャルンホルスト家の四男だったはずだ。シャルンホルスト家には代々このテレポート網の管理を任せているからな」


「そうなのか。なんでシャルンホルスト家が重用されてるのかいまいち分からなかったが、そういうことだったのか」

「もちろんこれは機密だ。プラウドアルターだから知ることを許可されているようなものだ。でないと俺の都合が悪くなるからな」

ちっ、こいつやっぱカリスマあるよなぁ。俺にないもの持ってやがる。何だよその笑顔。俺みたいなおっさんに美男子が向けるもんじゃねぇぞ。こんな風に言われちゃ裏切ることも出来ねぇよ。まあ元々裏切る気なんかさっぱりないけどさ。


「帝国の巨体で今まで維持できていたのはこれのおかげさ。周辺諸国も知らないとは思わないんだがなぁ。これのおかげで帝国内の移動はコスト度外視すれば迅速に行うことができる。知らない貴族も多いけどな。ステウも知らなかったように」


「へ、俺はドーマーヌ家からとうの昔に出た身だから知らなくても仕方ねぇよ。兄貴ならさすがに知っていると思うが」


「ステウにはその兄さんに会いに行って欲しい。ドーマーヌとランダイオはあまり仲が良くないのは知っているが、事態が事態なのでね。援軍をランダイオに送ってほしいんだ。頼めるかい、ステウ」


「さっき言っただろ、俺は家を出てるって。今の俺は平民だぜ。お貴族様に会いに行けるもんか」


「シャルンホルスト家の書状がある。俺も一筆入れたものがな。これが大義名分になるさ。ステウが兄さんとたまに会ってるのは知ってるぞ」


「あ、そうなのか。兄貴ももう年だからな。たまには顔見せろってうるさいんだよ。家督を譲ってもうしばらく経つから暇なんだろうが、わざわざ帝都にまで出てきて場末、でもないが貴族が入るような店じゃないところを指定して待ってるんだぜ、会いに行くしかねぇじゃん」


「兄弟仲がいいのはいいことだと思うよ。……俺もハインツと仲良く出来ればいいんだが、な」


権力争いをする相手とじゃ難しい気もするが、どうなんだろうな。ヴァルターの婚約者になるはずだった子をハインツ殿下に譲ったってゴシップもあって、今その嬢ちゃんが目の前に出てきている状況で、その嬢ちゃんの一番の敵がハインツ殿下になってるみたいだしなぁ……。まあ、丸く収まることを祈ってるぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ