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シアの考え

『結局シアは、どうなればいいと思うんだ?』


う、痛い所を突いてきますね、ルファは。……そうですね、帝国に関して言えば孤児の問題が大きく残っていましたが、それ以外はそれほど問題はなかったと思います。周辺国との付き合い方以外は。ですから国内で言えば孤児の問題をあんなやり方ではなく、もっとまっとうで効率的な方法で解決、はしないでしょうから少しずつでも良くしていきたいですわね。聖女やハインツ殿下のやり方では悪化はすれど良くはならないでしょう。

周辺国との付き合い方は、周辺国次第な面もありますので、それを知ってからでないとどうすればいいのか想像も付きませんわ。それに何やら兵士の噂を聞いていると、今帝国はどんどん悪化していっているとも聞きます。陛下に何かあったのでしょうか?


『そういうことじゃないんだが、まあいいか。情報収集が必要だな。俺も出来ないことはないが、たぶんシアが嫌がる方法だから、シア自身がしてくれないなと』

けど情報収集って、一体何をどうすればいいのかしら? まだ学校では習っていなかったわ。


『まあいろんな人と話をすべきだな。たぶんシアはそれが苦手だろうが、な』

わたくしが、それが苦手だなんて、なぜそう思ったのかしら?


『シアは人と話を合わせる、ぶっちゃければ自分のレベルを下げるのが苦手なようだからな。だから相手はシアが何を言っているのか理解できていないのに、そのまま突っ走ることが多かっただろう? 今は周りにレベルの高い人が多いから問題になっていないが』


ええ? わたしくそんなことしていましたの? まったく自覚がないですわ。


「どうしたの? シア。お顔、怖いよ」


「あら、フリーダ。そう見えた? ごめんね、ちょっと難しいこと考えてしまっていたわ。エルノも静か、だと思ったら寝ているわね。フリーダも眠そうだし、少しクァルの背中を借りて、このままお昼寝少ししましょうか」


「うん、クァルと一緒にお休みする、ひさびさー。シア、クァル、もう寝ているけどエルノも、おやすみなさいー」

フリーダがだいぶと流暢に喋れるようになってきたのを確認したら、もうフリーダも寝息を立てていましたわ。わたくしに気を使って眠いのを我慢していたのかもしれませんね。エルノはそういうところは正直ですし。


「くぁ」

クァルも寝るみたいですね。最近はルファとお話するのも夜寝る前に少しだけだったから、今の機会でとことんお話しましょ?


『そうだな、環境が激変してきている。話し合ったほうがいいな。もう一度聞くが、まずはシアの意思を確認したい』

わたくしの考えというか、今は流れに乗っているだけですけど、わたくしのお父様が今は軍務大臣として一大事を起こそうとしている、というのは分かります。そしてそれを砦長であるスヴェンさんも一年後に皇太子となられるはずのヴァルター様、賢明そうなアッケンベルテ様がそれを受け入れておられるので、お父様の行いに間違いはないと、思っています。


『ふむふむ、それで?』

お父様がクァルやオークのことを何処までご存知なのか分かりませんが、スヴェンさんの様子を見る限り、帝国内でも相当な戦力なようです。そんなクァルやオークまで取り込むような命令をされているのは、クァルやオークたちの戦力が必要になっている、もしくは必要になると読んでいる、のだと思います。そしてその予想は先程の皆様も出来ておられるのかと。


スヴェンさんは帝国軍が弱体化しているとおっしゃっていました。おそらく帝国軍だけではどうにもならないことが起きているのかもしれません。考えられるのは二つ、どこかでモンスターが大発生するのか、あるいは何処かの国が攻めてくるか、です。


『なるほど、ありうるね』

ただ気になるのは、遠いのに名前が轟いているニンジアも巻き込んでいるということです。ニンジアはモンスターの問題に積極的に動いていると聞きましたが、この前の襲撃といい、国家間の問題、すなわち戦争なのでは、と思っています。ですからニンジアが何故戦争に絡んできているのか分かりません。どんな利害がニンジアにあるのか」


『ニンジアは分からんな、ひとまず置いておこう。戦争が起こるとして、何が原因なんだろうな?』

そこまでは分かりません、が周辺国にはそうしてきてもおかしくはない国が複数あるのは確かです。過去の帝国はそうとうやらかしたようですし、帝国は大きいですからね。以前の帝国でしたら周辺国全てと同時に戦える力はあったようですから、弱体化してしまっているのなら周辺国としてはチャンスだと思います。……ヴァルター様が皇太子にお戻りになられたら、そうはいかないでしょうしね。


『ということは、ニンジアを使ってヴァルターを亡き者にしようとしたのは周辺国だよな? けどそれだとなぜニンジアはこっちに、帝国についたんだろう?』

そこは本当に分からないわね。たぶん聞いても答えてくれないでしょうし。けどニンジアは周辺国についたわけではない、というのは助かるわ。噂に聞くニンジアが本気で帝国をつぶそうとしているのなら、弱体化している今は厳しかったでしょうし。


『だいたいの状況はつかめている感じか。で、その上でシアはどうする気なんだ? このまま流れに流されたままに進むのか?』

失礼ね。このままずっと流されているつもりはないわ。わたくしは帝国自体はどうでもいいのよ。だってわたくしをわけのわからない理由で処刑しようとしたんですから。けど帝国はわたくしの家族が住む場所ですわ。お父様もお母様もお兄様も帝国に仕える貴族ですし。わたくしもそうであった、と思っていたんですけどね。


オークの皆様には報いたいですわ。今の流れはオークにとっては好都合ですし。オークが帝国を救ったとなれば陛下もオークの移住を許可してくれるかもしれませんし、ヴァルター様はそうしてくれると言ってくれましたし。


それとフリーダやエルノ、そしてクァル、それにもちろんルファも、皆でずっと仲良く暮らしていきたいわ。もちろん皆もルファも独立するときが来るかもしれないけど、その時まではね。


あとはハインツ殿下に一発食らわせてやりたいだけですわ。


『だいぶ口が悪くなってきたな、シアも』

「ハインツ殿下関連だけですわ。彼だけはわたくしの人生を変えすぎてしまったわ。その報いはいつか必ず受けてもらいます。そこまであくどい人間ではない、と今でも思っていますが、それはそれです」


ふぅ、と一瞬ためいきをついてしまいます。

「とりあえず、仮定でいろいろ考えましたけど、たぶんスヴェンさんに聞けばある程度は教えてもらえるはずです。まずはその確認ですね」

『軍将になったということだし、一番情報を持っているのはスヴェンだろうな。次はヴァルターかアッケンベルテか? ホンゾもいろいろ知ってるだろうがまず教えてくれないだろうし、スヴェンよりまずはヴァルターから聞いたほうが良いと思うぞ?』

「そうなんですか? よく分かりませんがルファがそういうなら、まずはヴァルター殿下からお話してみますわ」


『そうしてくれ。あとは話を聞いてからだな。話が聞けたら、またこういう機会を作ろう。寝る前でもいい』

「ええ、分かったわ」

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