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未来

ワナッフィさんと交渉して、集落を借りている間のわたくしたちへの生活と安全の保証、それに返せない場合の場所の提供を約束していただきました。けっこう大きな要求のはずですが、王からよほど大きな権限を預かっているのでしょう。商人ということでしたが、もっと地位が高い方なのかしら。

食料などの物資に関しては、お手軽に宝石に変えていただきました。


それと以前お頼みした物資も全て持ってきていただいていたようです。集落を明け渡すので無駄になってしまったものもありますが、先に女性用の服や下着、美容用の油を受け取りました。


「ちょっと試着してみますのでお待ちになって」

「はい、私は王へ報告に行きますが、テグモスが代わりに待っていただけるようですので」

「任せろ、ワナッフィ」


集会場へ服が入っている箱を持って戻ります。

皆の前で箱を開けてみますと、下着はわたくしたちが付けているものと同じ感じのものですわね。けど生地がちょっと見たことない感じですわ。すごくきれいですがなんの生地なのでしょう。一緒に入っていた服を取り出して見ます。

「うーん、すごく素敵なものですが、胸元がちょっと開きすぎじゃないかしら?」

オーク式なのかしら? 帝国でパーティーの時に着るドレスなみ、しかも最大限程度に開いていますが、こちらではこんなものなのかもしれませんね。


とりあえず着てみますか。だいぶと着やすいですね。ドレスっぽいのにドレスみたいに難しくもないですし。あら、これスカートでなくてパレオみたいなものですの? 素足が太ももですらちらちらと見えてしまいますわ。さすがにこれでは人前では着れませんわ。


「シア、まだ箱の中に入ってるぜ」

「あらほんとう、なにかしら?」

広げてみると、入っていた服と同じ生地で出来たボトムスでしたわ。これに合わせて着るもののようですね。

スカートに見えた腰布?の腰回りのサイズが少し大きかったのはこれのせいですわね。腰回りだけ少し緩かったんですもの。

ゆったりとして穿き心地のいいボトムスですわ、ちゃんと長さもくるぶしが隠れる程度にまでありますし、ブーツのところまでたくし上げても問題ないぐらいゆったりとして柔らかいですから、助かりますわ。


……これってもしかするとミルトさんの監修が入ってる?と思えるぐらい人間に配慮されていますわ。胸元が大きく開いているのも中に薄手の胸元がちゃんと隠せるインナーを着ればなんとかなるでしょう。服のサイズもそれぐらいの余裕はあるゆったりさですし。

今はインナーがないので着れませんが、それを用意していただければ制服の代わりに着れそうです。


美容用の油はニ種類あるようですわね。たぶん肌用と髪用ですわ。香りを嗅いでみて髪用と思える方を手に出します。たぶんこちらですわね。間違いはないと思いますわ。もうしばらく手入れせずの洗浄に頼った生活でしたから髪の毛が傷んでいます。これである程度回復すればいいのですけど、と自分でやったことはありませんでしたが、メイドにやってもらっていたことを思い出しながら自分で髪の毛に付けていきます。


フリーダの美しい銀髪にもすりこんでいきます。

「これ、なに?」

「髪の毛をより綺麗に、健康にするものよ」

「そう」


フリーダは大人しく座ったまま、わたくしのされるがままになってくれています。オイルとして手にとっていたときはあんなに芳醇な香りでしたのに髪の毛につけるとほとんど香りは消えてしまいました。これがオークの流儀というか好みなのでしょうか。でも確かに髪の毛用のオイルとしては素晴らしいもののようですわ。せっかくの美しい銀髪にあったきしみが取れていってくれていますし、輝きが一段と強くなりました。今の段階でもとても美しいのですから、このまま手入れをしていけば息を呑むほど美しくなるはずですわ。オークやコボルドには不評でも、人間にはとても評価される目鼻立ちですもの、フリーダは。このまま成長すれば社交界で注目の的間違い無しの容姿になるはずですわ。社交界に出られるかどうかはともかく。


肌用は、また全身の洗浄をしたあとに、と思いましたが、髪の毛用の油がとても良かったから、試してみたくなりましたので、少しだけ自分の顔に塗ってみます。こちらも香りが消えるタイプなのですね。それと鏡がないとさすがに効果が分かりませんね。フリーダの顔にはまだ必要ないと思える若さがありますし。わたくしでも油を使い始めたのは社交界に出ようか、という歳ぐらいからでしたわ。つまりまだまだフリーダには必要なさそう、ということですし、フリーダを実験には使えませんね。効果を信じて使っていきましょう。先程頂いた宝石で手鏡を所望するのはありなのでしょうか。

ちなみにエルノは体に油を塗るのは嫌がりましたので、何もしませんでした。まあそんなに傷んではいなさそうなのでいいです。


いただいた服や油を片付けます。油はわたくしが持ち歩きますわ。フリーダの髪の毛をもっと綺麗にしていきたいですしね。

そうこうしていると、扉の向こうでクァルの声が聞こえました。

扉を開けてあげると、クァルが戻ってきましたわ。今まで何をしていたのでしょうか? あら、なにか持ってますわね。それを咥えてわたくしに渡してきましたわ。一体何かしらこれ。枝についた果物のようですわね。わたくしのためにとってきてくれたのでしょうか? 見たことがない果物のようですけど、香りが甘い果物のそれですので食べられるものですよね。

「ありがとう、クァル。なんだかわからないけど遠慮なくいただきますわ」

クァルから果物を枝ごと受け取ります。クァルはそのまま首をのばしてきましたので、擦ってあげます。


「今はお腹空いてないから後でいただきますわね。けどいいタイミングで帰ってきてくれました。そろそろ出発しようと思っていたのです」

わたくしの背負い袋にいれておきます。

先程外のテグモスさんから王の出発の準備が整ったと、聞きましたし。一緒に移動しなければならないという縛りはありませんが、なるべく近くにいた方がいい気がしますし、ついていきましょう。警備も厳重なはずですしね。


荷物を持って皆で外に出ます。先程頂いた服の箱に着替えや替えのマントなども詰め込んで、運んでもらうよう頼みます。テグモスさんがそれを大きな鳥にのせてひいていきます。

ついていけばオークの進軍に合流させてくれるようですのでついていきます。ふと、足を止めて振り返ります。そんなに長い時間ではありませんでしたが、この集落には思い入れが出来ました。戻ってくることはないと思うと、少し感慨深いです。エルノやフリーダにとっては生まれ育った土地ですから、わたくしなんかよりもっと、と思いましたが、あまりそんなこともなく、平然としているように見えます。過去よりも未来、ということかしら。


わたくしも過去よりも未来をとっていかないといけませんが……。国境の砦に戻ったところで、わたくしは国外追放を受けた身として入れないかもしれませんし。けど、押し通るつもりですわ。

エルノはわたくしについてくる、と言ってくれましたから、わたくしは止まるわけにはいきません。

フリーダはわたくしが生まれ育った地が見たい、と言ってくれました。わたくしはそれを叶えなくてはなりません。そしてハインツ殿下に往復ビンタをしないといけません。それだけのことを、殿下はわたくしの運命を変えすぎてしまいましたわ。そしてそれは今の事態を迎えるきっかけにもなっている感じですし。

今までにこういったものも書いております。


「墓守少女と不死の王」(完結済)

https://ncode.syosetu.com/n4500fe/


「ゴブリンを率いる少女が治癒魔法とゴーレムで世界を変える」(継続中)

https://ncode.syosetu.com/n7663gq/


「夢斬り」

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1802338/


作者名リンクからもいけるはずです

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