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#51 闇を浄化して

 初めてだったのにとか、いきなりとか様々な感情がうずめくが、そこに嫌悪というものは不思議となかった。昔あれだけ男からの見合いをうんざりと感じていたというのにである。


「力は戻っただろう?」

「別の意味で僕は、もうダメです」

「怪我でもしたのか?」

「もういいです」


 しかもアシュタロス本人には、なんの悪びれも感じられないため、ノエルはもう何がなんだかといった感じだった。

 だが確かに彼が言うとおり、先程までは完全に無力だった体に、力が戻ってきていた。いやおそらくそれ以上の力が宿っているように思えた。これならば、この闇の核を浄化することができるだろう。


「じゃあいきますよ」


 自らの足で立ち両手を前にかざすと、それに伴い光属性が放たれ、周囲に溢れていく。徐々に光分子が闇に触れたあたりから、徐々に浄化し始めた。四方八方に光分子が満ち溢れたところで、ノエルは一気に力を解放した。強力な光により、闇の核はまたたく間に浄化した。




「ノエルを、取り出してから消すんじゃなかったのか?」

「……忘れていただけだ」

「珍しいこともあるものだな、まぁ……無事なら何も言うまい」

「ご心配お掛けしました」


 闇の核が消え、元の場所に戻ってきた二人を出迎えたのは、バエル一人だった。アグレアスはまだ、外の様子を見に行って戻っていないようだ。そして彼女がいた場所に、その姿はなかった。


「闇の核が消えると同時に、ものすごい悲鳴を上げて消えていった。やはり同調していたようだな。これでこの世界中を蝕んでいた闇の分子も、おとなしくなるだろう」

「そうだと、楽なんだが」

「すみません、遅くなりました。どうやら終わったようですね」


 そこへ上の様子を見に行っていたアグレアスが戻ってきた。さらにその後ろにはセーレの姿もある。


「どうだった」

「先ほどの揺れで、王宮とその周辺に以上は見られませんでした。引き続き警戒は怠らないようにと指示を出してあります」

「西の湖も全て解決しました。交戦していた敵は全て消え、湖の中の闇の結晶もほぼ鎮静傾向にあります。今ベリアルがあとの処置を行ってます」

「報告ご苦労。あとは西の奴らに任せておいていいだろう。こちらで派遣した兵士たちは帰還させて構わない。あとはベリアルに指示を任す」

「了解です。ノエル、また後でね」

「はい」

「アグレアス、直ちに各位に召集をかけろ。夜には会議を開きたい」

「わかりました」


 バエルからそれぞれ支持を受け、二人は再びその場をあとにした。


「ここにはもう用はない。俺らも戻るぞ」

「はい」


 ノエルたちもまた、それに続くように王宮へと戻った。


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