#27 南の薬師
「お腹痛い――――」
「お前はラッキーだったのだー。ノエちゃん居なきゃ、地獄行きだったのだー」
とある室内。そこにあるベッドの上で、わんわん喚くのはアモンだ。そしてベッドの付近に置いてある机の上に置いてあるカバンの中を漁る、赤い髪の黒いヘアバンドをつけた男がケタケタと笑っている。
「ノエちゃんって誰だよっ。つか何で笑ってんのー?俺怪我人だよ?かわいそうって思わないのー?」
「全然!あ、薬代はいつもどおり頼むのだー!」
そこに扉をノックして入ってきたのが、僕――――ノエルだよ。
「こんにちは、お怪我の具合はどうですか?」
「あ、ノエちゃん」
ノエちゃんって僕のことらしいです。
あれから3日。僕とアモンさんは、なんとか王都に帰ってきました。
僕ではやっぱり、完全に治すことはできなかったようで、出血を止めるので精一杯でした。そのあと僕とアモンさんは、ほかの人たちより先にセーレさんによって王都に帰ったんだ。
そしてこの赤い髪の悪魔――――ストラス(呼び捨てにしてって言われた)――――が呼ばれて、処置してくれたから良かった。
ストラスは南の四大公爵で、昔から腕の立つ薬師をしてるんだって。彼の作る薬はとても効く、すごい薬なんだとか。その分お値段はお高いらしいです。
「でもすごいのだ。属性違うから、普通はあそこまで治らないのに、止血だけするだけでも相当力いるって聞いたのだ」
「多分、これがあったから倒れずに済んだんだと思います」
両手首につけている、アシュタロスさんにもらったブレスレットに視線を落とす。あれだけ力を使ったのに、今もなお元気なのはこれのおかげだ。今度アシュタロスさんにあったらお礼を言わないと。
「そーいえば、アシュタロス来てるんだってー」
「そうそう、珍しいこともあるって思ったのだ」
「珍しいんですか?」
「あいつは滅多に、自分の家から出かけないんだよー。王補佐だけど、自分の家でしか仕事しないんだ。でもその仕事の腕は確かだし、アグレアスも何も言わないしねぇ」
「今日も多分すぐに帰るみたいなこと聞いたのだ。多分もういないんじゃない可能性の方が高いのだ」
うーん……じゃあ今から会いにいくなら、直接彼の家に行くほうがいいのかな。ブレスレットのこととか、聞きたかったんだけどな。
「……あ、そうだったのだ。アシュタロスに頼まれたものがあったのだ。ノエちゃんこれ持ってって欲しいのだ」
「え、僕がですか?」
「うまくいけば、まだ王宮内のどこかにいると思うのだ。僕からだって言えば、わかるはずなのだ」
「はぁ……会えたら渡します。で、いいですね?」
「もちろんなのだ。僕しばらくここらにいるから、無理だったら僕に渡して欲しいのだ」
「アグレアスのところにいなかったら、多分あそこだよ。えっと王宮の端にある――――」
「分かりました。ではしつれいしますね」
ストラスから小さな袋を受け取って、アシュタロスさんを探しに出かけた。




