#25 迫る脅威
寒かったあたりが、暖かく感じられるほど、熱が周囲を支配している。それを未だ入口に集中しながらも、僕は感じていた。それでもなおも現われる魔獣は、あとを絶たない。
もうどれだけの時間が経ったかもわからない。
「やれやれ、やっぱり集まってきてるんだね」
「セ……セーレさん?!なんで出てきて……」
「結界は貼り直したよ。ありがとう、もう抑えてなくてもいいから。もう闇分子は溢れてないでしょ」
そう言われてみれば、確かにもう闇属性は微々たるものになっていた。最後まで抑えていられたことに安堵した僕は、そのまま立ち上がり後ろを振り向こうとした。
「後ろは見ないほうがいいよ。君には酷すぎる」
「え?」
「できればこのまま君だけをつれて移動したいけど、それも今の状態じゃ無理そうだからね。しばらくは振り返っちゃダメ。僕は少し、結界の様子見て来るから、ここから動かないで」
セーレさんがいなくなり、僕はぽつんと一人で立っている。鼻の頭に冷たい感覚がして、上を見上げると、チラホラと雪が降り始めていた。天から降る白い雪がふわりふわりと舞ってくる。
「冷え込んできましたね……。もうすぐ日暮れでしょうか」
「そうだね」
独り言のつもりで、そう呟いたのに返事が返ってきた。ふと横を見ると、さっき行ったばかりのセーレさんが、もう戻ってきていた。
「!セーレさん。早かったですね」
「俺は必要なかったみたいだし」
なんだろ、何か違和感がある……。
「……?セーレさんは、結界の様子を見に行ったのではないんですか?」
「え……あぁ、そうそう。そのあとに第一隊隊長の様子も、見に行ってたんだよ」
違和感の正体がわかり、僕は顔をしかめそのセーレさんから離れるように後ずさる。するとそのセーレさんも、距離を縮めるように一歩前に踏み出す。
「……あなたは、だれですか?」
「何言ってるの、俺は……」
「セーレさんはご自身のことを俺とは言いません。それに、アモンさんをそんな風には呼びません。貴方は誰ですか?」
じっと彼の赤く深い色をした瞳を凝視する。次の瞬間、僕はその場に凍りついた。
セーレさんではありえないほど歪んだ笑みを、その人が浮かべたから。
「ヒカリ……ニクイ」
聞き取りにくい声で、そう言い放ったその人は、すごい勢いで僕の方に手を伸ばしてきた。眼前に迫る黒い手袋。
だけど僕は恐怖で体が、全く動かなくなっていた。




