#17 お小遣い
雪がちらつき始めた。僕らはさらに中心部の奥へと進んでいく。こんなに大勢で行動しているからなのか、暮らしてる人たちの視線が集中している。恥ずかしい。
馬の上からその商店を眺めていると、どうやら家具や雑貨を売る商店が多いみたい。食べ物屋さんはあっても2~3件。やっぱり、この環境じゃ作物は育たないみたい。売ってるのもほとんど寒さに強い作物ばっかりだ。野菜よりもお肉や魚の方が圧倒的に多い。
「あ、見えてきたよ。セーレの家」
「家って……あれですか?」
あれは家っていうより、小柄なお城って感じ。洋館という言葉が合う、それなりに大きく、立派な建物だ。中心部の最奥に建っているそれは、周りの商店や家から少し離れて建っている。
屋敷の北側、ちょうど建物の左横の空き地で馬を降りる。
「寒いから、なかにどうぞ」
「はい」
「お腹すいたけどー」
「君は仕事だろう?戻ってきたら、夕食にするようにするから」
「わかったー。ノエルまたねー」
「はい」
アモンさんは手を振りながら、乗ってきた馬を引き連れ、騎士団の隊員たちがいるほうへと歩いて行った。
あぁ……暖炉が行ってしまった。ほんとにアモンさんがいると寒さも何もなかったのに、今は一気に極寒の厳しさを感じる。本当に寒い。僕は急いでセーレさんの後を追って中に入った。
セーレさんに客間に案内されて、ゆったりとしたソファに腰かける。到着する前から、暖炉に火がともっていたらしく、部屋の中はとても暖かかった。もうコートを脱いでも大丈夫みたいだ。
コートを脱いでいる間に、暖かい紅茶が用意された。それとお茶菓子として出てきたのは、真っ黒に近い色をしたカップケーキ。……焦げてる?
「どうかした?」
「あの……このカップケーキって……」
「あぁ。チョコレートを使ったケーキだよ」
「あ、それでこんな色なんですね。僕大好きなんです、チョコレート」
「そうだね」
「はい!……あれ、僕言いましたっけ?」
「ふふふっ。気にせず、食べて」
なんだろう。すごく気になるけど、僕気づかないうちに話したのかなぁ?それとも誰かから聞いたとか?
「夕飯が終わったら、部屋に案内するよ。こちらの準備と、アモン君のほうの準備が整ったら頑張ってもらうから、それまではゆっくりしてて」
「街を歩いてもいいですか?」
「いいけど……一人で行かないでね?アモン君を連れてくんだよ?」
「ですが、アモンさん忙しいんじゃ……」
「んー、大丈夫だと思うよ。言ってたでしょ?君直属の護衛だって。アグレアスから言われてるんだろうね、それに隊のことは副隊長にほとんど任せるって言ってたから。たぶん今引き継ぎの指示出してるんじゃない?」
「そうですか」
「この街の雑貨屋にはいろいろ売ってるから、きっとノエル君もたのしめるんじゃないかな?気に入ったら買っちゃいなよ」
「でも僕……お金持ってません」
「え、そうなの?んー……どうしようかな……」
今までお金は必要になることはなかったもんな……。まぁ、買わなければ別に今もいらないんだろうけど。
「あの、僕別に買い物しないので……」
「そうだ!じゃあ今回の以来の報酬ってことで、僕からお小遣いあげるよ」
「え?いえそんな、もうしわけないですから!!」
「いいのいいの。それにずっと考えてたんだよ。お礼何にしようかなって。最初はチョコレート菓子にしようかなって思ってたんだけど、それじゃあまりにも釣り合わないから」
そう言ってセーレさんは、僕に金貨が何枚かはいった袋をくれた。




