#13 北の地
シャックスさんに連れられて、着いた部屋にはアグレアスさんと、もうひとり初対面の悪魔がいた。アグレアスさんに、空いていたソファに促され座る。
ちょうど初対面の悪魔の正面の席だ。
白いボブヘアー。それと対照的な褐色の肌。ぐんと惹きつけられるような、赤い瞳は、やや大きく丸みを帯びていて、幼い顔立ちをしている。
まぁ、僕が言えることでもないか。僕も童顔の部類に入るんだし。
「はじめまして。北の四大公爵、名はセーレ。お忙しい中、ありがとう」
「いえ……。ノエルです。こちらこそ、よろしくお願いします」
「さて、早速で申し訳ないけど、本題に入らせてください」
そういうと、セーレさんは突然僕に向かって頭を下げた。予想もしてなかったことに、僕はぽかんと口を開けて固まった。
「先の魔獣の件は、ノエルさんに多いな負担と、ご迷惑をおかけしたこと、北の地を代表し深くお詫び申し上げます」
「え……あの、どういうことですか?」
「調査の結果、先日王都に現れたあの魔獣は、北の地の山奥に生息していたものだと分かったんだ。さらに調べてみると、その魔獣は強大な力を所持していたため、僕が結界を施し、山から出てこれないようにしていたんだけども……」
「どうやらその結界がほころび、魔獣が自分の力で抜け出したそうなのです」
セーレさんが任されている北の地方は、ほかの地方に比べると、魔獣の生息する数もその範囲も広いらしい。それぞれ縄張りを持つ魔獣は、時には群れをなし、時には孤高の存在となり、独自の進化を遂げている者もいるという。
それをすべて管理するのがセーレさんの仕事らしい。アグレアスさんに聞くと、彼やほかの四大公爵も自分が任された地方の魔獣の管理は行っているらしい。
けど一番大変なのは、やはり北の地方が群を抜いてるみたい。
「現在、破られた結界は応急処置で、新たにその上から結界を貼っているんだ。けどやっぱり、しっかりしたものを張りなおそうと思っているんだよ。だけど……」
「あの魔獣に周りの魔獣が触発されたらしく、魔獣たちが暴れまわりその地の気が乱れているようなのです」
「その状態では、とても張り直すことができない。そこで、ノエル君の力をお借りできないかとおもい、今日お話に来たんだ」
「僕の力ですか?」
「アグレアスくんから、話は聞いたんだ。この前の出来事で、僕は王宮に報告書を提出しなきゃいけないくて。あの魔獣の詳細とかは、その場にいたアグレアスくんたちしかわからないし……。そこで君のことを聞いてね、手伝ってもらえないかなって」
僕はしばらく考え込んだ。でも答えは、決まっていたようなものだった。




