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神様モドキの異世界旅行  作者: ほえほえ
最果ての 森
40/40

そして 異形は異界の神の元へ





 大きな入口から、吹き込む風。

 はらり、と。開いていた本の頁が捲られる音に、浅いまどろみから意識を浮上させ。

 長い金の髪の青年は、上体を起こし、周囲を見回す。

 そして、ふ、と視界に収めたのは、黒。






 ――――――奇跡の様に、うつくしい。人型。






「………………マスター」

「うん?起きたの?」


 声を掛ければ応えが返る。文字を追っていた目は金の青年を映して。其の色は何処までも一色の、黒炭を割った断面の様な色だ。


「………………猫は?」

「イヤ猫じゃないからねアイツ。アレでもれっきとした銀天琥でメーレって名前があるからね」

「………………………………猫は?」

「だから………………や、もーイイ。メーレならハラ減ったってごはん調達しに行ったよ」

「…………主を、残して?」

「1人(?)でもじゅーぶん狩れるっしょアイツなら」


 何度言っても呼び方を変えぬ、金の青年に黒の青年は溜息零しつつ質問に答え。

 同時に、ぱたん、と閉じた書に。其れが合図の様に、金の青年は黒の青年へとにじり寄った。

 そして、懐く様に黒の青年の腰に巻き付けられる、腕。


「おろ?どしたの?」

「…………解っていない」

「ダレがナニを?」

「…………あの猫が。主を守らなければ、ならないのに」

「や、こんなトコで、ナニからおれを守ると」

「…………主も主だ。一人になるなら、オレを起こせ」

「いや、だからだね」


 緑深い森の奥。

 茂みに隠れた洞窟の中。


 脚の上に上体を乗り上げて、機嫌悪く其れでも離れようとしない彼の方こそ猫の様。喉を擽れば本当に、ごろごろと鳴きそうだ。

 流石に其れは拙いだろうと、黒の青年は金の青年の髪を梳くだけに留める。


 其の手が、ぴくり、と。動きを止めた。

 気付いた金の青年も。剣呑な目を入口に向ける。


「戻ってきたみたいだねー」

「…………全く、一体何を狩って来たんだあの猫は」


 近付いて来るのは血の香り。夥しい、と。解る程の。


「けっこーな大物みたいだねぇ。今日は一体ナニを作らされるやら」

「…………魔獣なんだからそのまま食ってれば良いものを」

「あはー。でもま、やっぱりごはんは美味しく食べたいっしょ?」

「…………腹に入れば何だって同じだ」

「いやいやいや。ソレはチミ人生の半分を損し――――――」

「まーぬーーーー!!まぬまぬまぬまーぬーーーー!!」


 静かに穏やかに。

 交わされていた会話は名を連呼する慌ただしい声に、遮られた。

 金の青年の片眉がぴくりと上がる。黒の青年は対照的に、小さく苦笑をもらして。


「マヌ!マヌ!見てくれっコレコレ!!」


 がさがさと、茂みを掻き分け乱入して来た、銀の毛並みのうつくしい獣に、2人、目を向ける。


「…………喧しいぞ、猫」

「そんな慌てて、一体ナニ見つけて来た、って……の、さ…………」


 其の、黒の目と蒼の目が、見開かれた。


 視線の先。銀の獣の背に。くたりと担がれているのは、黒。

 随分とみすぼらしく見える、血で汚れた黒い翼。

 力無く投げ出された手は病的な程に白く。顔を隠す長い髪もまた、この世界には稀有な、漆黒。

 そして、何より。


「なあなあ、マヌ。コレってアレだよな?鳥人ってヤツだよな?」

「…………違う猫。鳥人の持つ翼は一対のみだ。そして黒の翼は、堕天族しか持たない」

「えっじゃあコイツ堕天族なのか?」

「………………其れも、違う。堕天族も持つ翼は一対のみだ。そして奴等に角など無い」

「………………じゃあ、コイツ何だ?マヌとおんなじか?」

「――――――………………いや。このヒトは魔物だよ」


 黒の青年の言葉に。

 獣の金の目と金の青年の蒼の目が、集中した。


 けれど黒の青年は、其の事に頓着せず獣の連れて来た異形を、見詰める。

 黒かった筈の其の虹彩は、徐々に薄く赤と青と金と銀とに、彩られていき。






「このヒト、魔物だ…………しかも。元人間の、魔物だ」






どーしたら上手く物語を構成して上手く文章書けるんだろう…

再び充電に入ります。探さないでクダサイ。

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