終章 1 どんちゃん騒ぎ
今さらながら、先週の更新時間がずれておりました…気づいた方は素晴らしいです(汗)
今週は金曜日の朝5時にちゃんとできた…かな?いつもお越しいただきありがとうございます!
「それでは、サムリー家とスカイリア家の発展と繁栄を祈念して乾杯!!」
「「「乾杯っ!!」」」
この短時間でよくぞこれだけの人数が集まった、と思えるくらいの人、人、人。橋の上は即席の屋台やテーブル、椅子が並び橋にくくりつけられたランタンがお祭りの雰囲気を盛り上げている。
見上げれば発光粉の塊をくっつけた魔蜂やたまにキラキラとした鱗粉を飛ばす魔蛾が飛び交い、幻想的ですらある。所々に豪華な花籠が設置されその上で蜜を楽しめるように工夫したのはマーガレットだろうか…。
「スピカ殿っ!」
橋の上を挨拶しながら歩いていると、後ろから声がした。はて?この辺りに知人はいただろうかと思いつつ振り向いた。
「まぁ、大精霊様にお父様。それに……?プリュ」「今日はお忍びだからリュウと呼んで?」
被せてきましたよ、この方は。あらまぁ、目の下の隈は夜会のせいではなかったのですね…。なぜか一緒に現れたのはお疲れ顔の第3王子殿下だった。
「蜂蜜由来の美容液があっただろう?まだ販売前だが、内々に譲って欲しいと打診されていてな。」
「王家の者が顔色悪く表に立つわけにもいかず…スピカ殿の輝きの秘密を知って直談判に来たところちょうど大精霊様方に行き合って…。」
「まぁ!タイミング良く他の素材も見つかりましたので、後で試してご覧になりますか?」
スピカは心の内で『実験体ゲットしたわ、マーガレット!』と喜んでいることは微塵も表に出さず、
「お疲れのようですね?たまには休養も必要ですから…どのくらいゆっくりできそうですか?」
「領地視察と称して2週間確保してきたのだ。何でも手伝うのでお世話になっても良いだろうか…。」
捨てられた仔犬のような目で見ないで欲しい。そんな顔をしなくてもスピカたちは極上の実験体を逃すはずがないのだから。
「もちろん、いろいろと試作品をお試しいただいたり、たくさん手はお借りすると思いますがそれでもよろしければ…。」
殿下はないはずのしっぽをぶんぶん揺らし、
「もちろんだ!この際身分は置いといて、いち領民として接して欲しい。『リュウ』で良いからね?」
と、いうわけでプリュート殿下の滞在が確定した。この土地はのんびりしているし、商売ごとにしかギラギラしない女子だけなので養生にはちょうど良いだろう。
「大精霊様はお祭りの雰囲気、いかがですか?珍しい料理がたくさんありますし、歩きながら食べるのも楽しいですよ。」
「うむ、森の者と人間とがこのような形で楽しんでいる光景は初めて見たぞ。食べ物も初めてのものばかりじゃ。」
良く見ると大精霊様の後ろから両手いっぱいのお酒やら串焼きやらたこ焼きやらを抱えたアルバークが付いてきていた。すでに全員お酒が入って陽気さに拍車がかかっているのか、誰かが鉱山の歌を唄いだしたら瞬く間に合唱の輪が広がっていった。
「何だか夢のような光景ね…。」
ほんの数ヶ月前までスピカは忘れ去られた子だった。石を友達とし、特殊な立場も含めて理解してくれる人としか接してこなかったし、それを『当たり前』だと信じて疑わなかった。
ところが、精霊たちとの出会いから瞬く間に世界が広がり、大切な人との繋がりが増えて隣の領に橋まで架かってしまった。
「どうしたのスピカ?あっちの不思議な串焼き食べに行こうよ〜」
「まぁ、アウディーレあなたお腹がぽんぽこりんだけど大丈夫?」
「もちろん!さっき橋を架けるのを頑張ったからね。いくらでも食べられるよ?」
「じゃあ食べに行きましょうか。この先ずっとあなたたち精霊や森の生き物と協力して仲良く暮らしていけるように、私も美味しいものをたくさん作らないとね?」
アウディーレの微妙な顔を気にしながらもスピカは自分の気持ちを言葉にした。ここでも無意識に『友好』の『保存』をかけてしまうスピカであった。
もう、スピカの無意識がすぎるよね…まぁ、悪いことは願わないから安心してるけど、ちょっとだけブラックなスピカも見てみたいような…。
いやいやそれよりもプリュート殿下どうするの?いろいろな意味で間違いなく骨抜きにされるよね〜。




