領地編 1 領地への脚光
間に合いました~~(涙)毎週金曜日の朝にこつこつ更新しております。お盆だけど、なんとか頑張りました。息抜きにスピカにお付き合いくださると嬉しいです。
文字通り本邸の庭にどろんしたスピカ一行は、そわそわして仕事にならない父レグルスの執務室に報告に訪れた。スピカは主にエスエスト領との橋梁工事の件、大精霊たちからは貴族の反応と第三王子の件を報告した。
「スピカをお守りいただきありがとうございます。」
そう言うと、父はめったに下げない頭を深く下げた。大精霊たちは好戦的な表情をにじませて、得意気にうなずいた。
「お口直しに果実を浮かべた蜂蜜シュワの実水を部屋に用意しております。どうぞゆっくりお休みください。」
うきうき、ぞろぞろ大精霊たちが執務室を後にすると、レグルスは詳しく夜会の様子を聞きたがったのでスピカは意気投合したオリゼの話から新しいお菓子の話、第三王子の疲労ぶりまで微に入り細に入り説明したのであった。
翌朝アルにも報告を入れ、橋を架ける際の候補地を絞っておいた。いずれにせよ着工前には現地調査が必須であるのでその手配もお願いした。
「それでは、オリゼ嬢を迎えに行って参ります。急なことでお手数おかけしますが後程、よろしくお願いいたします。」
いつの間にか本邸にも届けられていたシュワの実を使ったゼリーにハートを鷲掴みにされ、ご機嫌の大精霊をお供にスピカは王都コースマスの旅籠街裏手にある林に飛んだ。
「あっ、スピカ!…だ、大精霊様本日はどうぞよろしくお願いいたします。こちらは昨夜お召し上がりになった菓子でございますので」「うむ、何でも頼むが良い。」
被せてきたーー!そうとう乗り気だったからよほど気に入ったのだと思ってたけど、目がキラキラして前のめりだわ…美味しいは正義よね?
「昨日の今日で準備が大変だったのではない?」
「全っ然、問題なしよ?費用の兼ね合いで最低限の荷物ですぐ出発予定だったし、持参した材料をお菓子に使ってトランクにスキマができて大助かりよ。」
オリゼは見た目に反し、実利的でさばさばとした性格とみた。侍女と思われるすらりとした女性と2人で移動をしているようだが不便はないのだろうか。
「彼女は私の侍女兼騎士でキハよ。多方面で器用だから手伝えることがあったら遠慮なく伝えてね?」
紹介されたキハは流れるようなお辞儀をした。侍女と騎士って兼任できるのね~、そういえばマーガレットやオリビアも職人兼侍女だから同じようなものか、とずれてはいるがひとり納得するスピカである。
「では、移動する。」
あ、大精霊様待ちきれないのね?オリゼたちに素早く移動のことを伝えるといつも通り一瞬で本邸の庭に着いていた。当たり前だが、オリゼとキハは淑女の仮面を落っことしたかのように驚いた顔をしている。うん、説明不足でごめんなさいね?
素早く家令のカストルが近づくと、大精霊様を温室にセットしたテーブルに案内していったわ。いつもながら優秀!
「驚いたわよね…慣れるものでもないけど、便利さには勝てなくてね。」
そんなことを話しているうちに来客用の部屋に到着したのだが、何やら邸内がざわついているみたいだ。入室したら家令のカストルのみ居て、しかも何やら指示に忙しそうなのでオリゼを席に案内した後小声で聞いてみた。
「何かあったの?」
「お客人の前でお恥ずかしい限りなのですが…実は先程から魔鳩やら速達郵便がひっきりなしに舞い込んで、果ては邸に直接使者も来ておりまして…対応が追いついていない状況です。」
ん?何ででしょう?そう考えていると、廊下から足音がバタバタ聞こえてきて、走ってはいけないはずの当主レグルスが猛ダッシュでスピカの元にやって来た。
「スピカ~~大精霊様のお力を借りてありったけの魔糸織を運んでくれないだろうか…!」
あーーー、宣伝効果がありすぎたようですね?スピカはオリゼに中座を告げると温室に最速の足捌きで向かうのであった。
いろいろ注目を集めた夜会デビュー、若い令嬢に加えて付き添いのご婦人たちが見逃すはずはございませんよね……?つやぴかのスピカが身に付けたあれやこれやもギンギラギンの視線を集めておりましたのデス。




