夜会編 1 シャンデリアよりも
やっと、夜会デビューできました!デビューしてもスピカの中身は変わりませんけどね…。
金曜日の朝にこつこつ更新してマス。
怒涛の3ヶ月が過ぎ去った。スピカたちはイースラック領とプレアデス領を行き来しながら夜会準備とお菓子作りに余念がなかった。なんといってもドレスや宝飾品の材料、食材には全く困らないことに加えレグルスの親バカぶりが炸裂し予算の上限が無いときたら気合いしか入らない。
王族を牽制するため、パートナー役は大精霊ペトラノーム、補助役に精霊アウディーレと森の番人ガルディの布陣を引いた。届け出もそのまましたので文句を言われる筋合いはない、と思う。
「スピカお姉さま~!夜会には参加できないのでせめてお着替えの最中お側にいてもよろしいですか?」
スピカは1ヶ月前から本邸に戻り、大精霊復活後初めて家族と対面した。やはり認識阻害の影響は大きかったらしく、母も弟も妹もスピカからくっついて離れなくなった。1ヶ月経ちようやく溺愛ぶりも落ち着いてきたが、妹の懐き具合が半端なく強力である。
「まぁ、メレは退屈ではないのかしら?」
可愛いものが大好きなスピカはくっついて離れない妹のメレルナをひたすら愛でている。自分とは対照的に金色のふわふわ巻き毛とマンダリンガーネットの神秘的な瞳はまるで天使、いつも癒される。
「スピカお姉さまの観察に『退屈』の文字などございません!」
頬を膨らませて怒る姿も可愛い…。まぁ、私も楽しいからよしとしましょう。アウディーレやガルディもすっかり馴染んで、メレルナの肩が定位置となっている。うーん、眼福。
「さぁ、いよいよ本番ですからね!この3ヶ月の集大成を存分に発揮するぞー!」
「「「おーー!」」」
スピカが慣れているマーガレット、オリビアを筆頭に、美容部門の精鋭親衛隊が雄叫びをあげる。スピカ自身もダンス、礼儀作法、貴族年鑑の総ざらいを終え多方面にぴっかぴかである。
「「「整いました…!!」」」
仕上がったスピカは、まばゆいばかりのタンザナイトをちりばめた濃紺の魔糸織ドレスに、結い上げた宵闇色の髪の毛には繊細な金細工で百合を模した髪飾りと小粒のタンザナイトがいいあんばいに配置されていた。
ひときわ目を引くのは清楚さの限界まで開いた首元に燦然と輝く大粒のタンザナイトとフィグリー細工でレース状に編まれた金の組み合わせのネックレスである。
「尊いっ!」
一瞬一瞬を逃すまじとスケッチブックを手にスピカを描き続けていたメレルナの心の声が漏れ出た。そして手を組んで祈りのポーズをしている。…いや、メレの方が天使の限界突破をしているのでは?スピカの思考をよそに周りは大騒ぎとなった。
「「スピカ〜!綺麗だよ(わ)〜」」
見事に声が揃ったのは父レグルスと母スティルナ。娘の支度に涙ぐむ様子を見て、逆に冷静になったスピカは、
「こんなに飾らせていただきありがとうございます。精一杯領地の特産品の宣伝をしてきますね。」
いつの間にか隣に来ていたペトラノームも目を細めながらうんうんとうなずいている。
「虫どもの駆除は任せるがよい。」
「「「「よろしくお願いいたしますっ!!」」」」
綺麗に唱和された挨拶を終え、スピカたちは夜会会場である王都コースマスの王城大広間に隣接する庭に移動した。あらぬ方向から出てきたスピカたちを見て案内係がぎょっとしている。そりゃあそうですよね、ほほほ。
「スカイリア家、大精霊ペトラノーム様、スピカ様!」
あ、届け出通りに読み上げてくださったのね。スピカの気持ちはすでに美味しそうな料理に飛んでいってしまったのだが、会場はそうもいかなかった。
「あのような令嬢は見たことがない…」
「なんて神々しい…大精霊??」
「輝きすぎて直視できない...」
どよめきがさざ波のように会場に広がっていく。2人はまるで神話の中からそのまま出てきたような出で立ちでシャンデリアよりもまぶしい、と思う。そうしているうちに人の群れがぱっかーんと割れて奥からきらきらしい青年が進んできた。
キタキタキターー!これ絶対偉い人でしょ?大精霊様、威嚇お願いしますよ!




