序章 15 再びのびっくり報告会
金曜日の朝に更新できるようこつこつ進めています。たまに遅れたらごめんなさい。
翌朝もすっきりとした快晴。移動の心配がないとはいえ、やはり嬉しい。そういえば寝具がつるつるしていると思ったら、全て魔糸織にしてみたらしい。昨日「実験よ~!」と侍女衆が張り切っていたけど、結果を聞き忘れてしまったわ。
「スピカお嬢様~お支度させていただきますね。」
ちょうど良いタイミングでマーガレットが入ってきた。あ、マーガレットが驚いた顔をしている。
「昨日の実験結果を聞きそびれてしまったけど、何か効果があったのかしら?」
「よくぞ聞いてくださいました!こちらの鏡をご覧くださいませっ。」
マーガレットが素早く運んできた姿見に全身を映すと、髪と肌がつるつるになっている。おぉ…これはどういうことだろうか。
「私どもはスピカお嬢様からヒントをいただきましたので魔蜂の蜜を食べる班、塗る班に分け、さらに魔糸織のグローブと顔に巻く班も用意いたしました。その結果、魔糸織が肌に直接触れることが一番効果あり、次に魔蜂の蜜を肌や髪に塗ると少量でも艶ぴかになることが判明いたしました。」
マーガレットはどや顔で説明する。可愛いわね~。確かに実験の通り寝具を変えただけでつるつるになるならば、婦人方からの注文が殺到しそうである。
「お嬢様も実感していただけましたよね?」
「えぇ、美容に疎い私でもわかるくらいの効果が出ているし、今日のお父様への報告に追加するわね。」
マーガレットはさっ、と分厚い紙束を掲げると
「こちらに結果をまとめてあります。原本は兄に渡してありますからご安心くださいませ。」
おーーっ、この兄妹はとても仕事が早い。そして話しながらも手早くスピカの支度をし、仕上げに甘い香りの水を吹きかけた。こちらも蜜を溶かした美容水とのこと。商人はスピードが命らしい、脱帽。
朝食に出した森のブルーベリーパウンドケーキはロックタウンの酸っぱいブルーベリーをごろごろ混ぜて焼き上げたのだが、ペトラノーム様は3回もおかわりしていた。…うん、定番台帳にメモしておこう。
「では、参るとするぞ~。」
いつもの流れで本邸の庭に出現すると、お父様が小走りでやって来た。満面の笑みでそわそわする様子はわふわふした大型犬?いや、さすがに当主の威厳が...。
「スピカお帰りぃぃ~~。」
親子の再会を(数日ぶりでしかない)邪魔しないように、家令のカストルが王都のお菓子コーナーに大精霊様を案内している。……朝ごはん食べましたよね?まぁ、精霊の胃袋のことは未知の世界である。
「ただいま戻りました。今日もたくさんご報告することがありますので…」「お茶を用意させているから執務室へ行こう。」
父が私の手を引いて案内していく様子を使用人たちが笑顔で見送ってくれる。到着した執務室は執務にならないほどお菓子であふれており、これは…大精霊様対策よ、ね?
「スピカがなかなか来ないから王都中のお菓子が集まってしまったよ…。どれから食べる?」
私のためだったーーー!しかも娘に甘い!こんなに食べたら太ってしまうでしょう?スピカは存在が認識されたのが今で良かった、と心から思った。一応父の顔を立ててゼリー菓子を選んでみましたよ。
「順序立ててアルバークから説明させます。後半の部分は私が補足しながらお伝えしますね。」
父はさっと当主の顔に戻して聞く体勢になった。ひと通りの説明が終わると椅子の背もたれにぐでーっと体重を預けた。
「驚きすぎると、人間は一周回って全てをなかったことにするようだ。」
ん?お父様、仰っている意味が良く分かりませんが?でも横でアルが深くうなずいているからそうなのかしら?
「情報が多すぎて、もはやスカイリア家の手に余るのだが…かといって秘匿するのにも限度があるなぁ…。」
うーん、と唸りながらスピカを見る。そしてアルバーク、アウディーレ、ガルディを見る。おや?みんな私を見てあきらめ顔だけど何もしてないわよ?
「よし、とにかく夜会でスピカをお披露目して大精霊様に丸投げしよう。スピカ、夜会ための作法をおさらいするぞ!」
父のスイッチがオンになり、伯爵モードになったらしい。スピカはスパルタ式の教えをぎっちり詰め込まれましたとさ。
夜会が見えてきた~!みんな着飾らせて自慢したいけど、貴族の力関係って難しいのだよ(父)




