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序章 14  ブルーベリー事件②

レアな連日投稿です。ブルーベリー事件が長くなりまして、一生懸命後半を書き急ぎました…早く夜会の場面に行きたいな~でもスピカだからまだまだ無理かな~ 次回は金曜日の朝更新に戻ります。

ガルディがホバリングしている子に指示を出すと、どこからかわらわら魔蜂が集まってきてブルーベリーを3粒ずつ抱えて飛び立った。どうやら領主邸まで運んでくれるようだ。アスランにお礼のおやつを用意してもらわないと!


魔蜂が飛ぶ姿を目で追っていると、頭上に大きな影がさした。見上げると見事な魔蚕の成虫、「魔蛾」が集まってきていた。しかもスピカと同じ濃紺色の鮮やかな羽である。なるほど、ここのブルーベリーを食べたから濃紺色の繭になったのね…。


スピカが手を伸ばすとグローブの上に止まり、頭をすりすりしてきた。可愛い。


『お主は仲間か?』


あ、このくだり既視感が...スピカが答えようとする前にガルディが慌てて間に入った。


『この者は人間である。』

『森の番人よ、この者の布から懐かしい揺らぎを感じるのだが?』

『そなたの子どもたちが紡いだ繭から織られた布と聞く。』

『なるほど、子どもたちの居場所にこの布を敷いたらさぞ穏やかに成長するであろう。』

『それならば、魔蚕を育てている場所に布を敷き詰めましょう。そこに卵を産みに来てくださいませ。』

『そうか、それならばそうするとしよう。』


魔蛾は羽をひと振りし、鱗粉をキラキラとスピカの手のひらに集めた。そしてそのまま優雅に飛び去っていってしまった。


「「はーーーーっ……」」

ガルディとアウディーレは揃って大きく息をはいた。今回は命名と祝福を阻止できただろうか…。悪いことは何もないのだが、スピカの無自覚でことが大きくなることを体験している2人はアル兄さんのために少しでも事件の芽は摘んでおきたいのである。


当のスピカは、両手いっぱいの魔蛾の鱗粉に戸惑っているが、思い付いたとばかりアウディーレに声をかけた。


「私、森の実りを入れるために袋を持ってきてるから、取り出してもらってもいい?」


アウディーレはスピカのポケットをごそごそすると、ひも付きの布袋を取り出し口を開けた。そこにスピカはサラサラと鱗粉を入れると口をきゅっと縛った。


「その粉も大昔、人間が目の色変えて取り合いしておったなぁ。魔蛾も気まぐれな性質だから希少らしいぞ?」


「うーん、希少ならば産業にするのは難しいですね。緊急時の献上品にはできるのでしょうが…。こちらもあわせてお父様に相談ですね。それよりもこのブルーベリー、色が身体に付かないように液体で飲める状態にしたいのですけど…。」


その瞬間ふわっと光がブルーベリーを覆い、空っぽの水袋にジュース状の液体が満たされた。


「………?え?どうして…。」


アウディーレは諦め顔で、スピカが目の前の「もの」に「どんな風に」「どのような状態に」なって欲しいか願うのは『保存』の応用であると説明し、そっと麦の茎を差し出した。まだよくわかっていない顔をしているが、その液体を吸い上げて目をまん丸に見開いた。


「あ、甘い……。薄めたいかも…。」


「シュワの実なら不思議な味の水だが、そこの木になってるぞ。」


ガルディの声にアウディーレがひとつ実をもぎってきて近くの魔蜂に針を刺してもらい、袋に注ぎ込んだ。魔蜂を穴あけに使うなんて…と考える常識人はここにはおりませんのです。


「あっ!シュワシュワして面白いけど、ちょうど良い甘さになりました!」


ペトラノームはすでに麦の茎を持ってスタンバイしていたので袋を渡すと夢中で味わっている。気に入ったようで何よりだ。ガルディによれば、シュワの実は水がわりによく利用される実で森のどこにでも生えているから好きなだけ採っても問題ないとのこと。魔蜂さんたちにお運びをお願いすることにした。


「森は逃げぬ、時間も頃合いだろうから一旦戻るぞ。」


ペトラノーム様はブルーベリーのお菓子が楽しみなのだろうなぁと考えているうちに森の入口に戻ってきていた。早い。実験隊が戻るまで持参のレモンの蜂蜜漬けをシュワの実で割ってみた。ペトラノーム様が黙々と飲んでいるので良しとしよう。


「「ただいま戻りましたっ!!」」


次々と実験隊が戻ってくる。シュワの実で割ったジュースは皆に大好評だったので、お父様へのお土産にしようと密かに決めた。


領主邸へ帰還すると、食糧庫周辺が騒がしかった…あっ!魔鳩飛ばしてブルーベリーの件伝えるの忘れていたわ!領主邸のメンバーも慣れてきたとはいえ、さすがに魔蜂がブルーベリーを運び込んだらうろたえるであろうことをすっかり忘れていたスピカである。


「アスラン!ごめんなさいね…びっくりしたでしょう?運んでくれたお礼に、この子たちにおやつを準備してくれる?」


アスランはきびきびと調理場に戻ると魔蜂の蜜入りカステラ(大)を山盛りにして運んできた。魔蜂は満足気にひとつずつ抱えて森の方へ飛び去っていった。


早速、スピカはアスランと相談しながら超絶甘いブルーベリーを使ってあれこれとお菓子を大量に作り上げ、各所に配って歩いた。アルに渡したとき、「明日領主様のお時間が取れました。この数日のことを報告に上がりますので準備をお願いします。」と言われた。


スピカなりにあれこれと報告書をまとめ、お土産も準備し終わった。まさかこんなに充実した日々になるなんて、先月の私が知っても信じてもらえないでしょうねぇ。そんなことを考えているうちにすとんと眠りに落ちた。

レグルス(父)「やっとスピカ来るの?もう忘れられたかと思った…」

カストル「お菓子を喜んでいただけるとよろしいですね。」

アウディーレ「驚く準備も忘れずにね!」

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