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序章 11  魔物の可能性は無限大

こつこつ金曜日の朝に投稿しています。書きためられれば短編も増やしたいのですが…スピカが無自覚に仕事を増やすのでまだまだ道のりは遠いです。

スピカが無自覚に祝福を増やしていた頃、ペトラノームとアルバークはサクサク調査を進めていた。深度の深い採掘を一瞬で成し遂げる力技は大精霊にしかできないので、大助かりである。


「タンザナイトの鉱脈が満遍なく走っていて、掘れば掘るほど採れるということですね…。大精霊様の見立てではどのくらいの期間で山を休ませるべきとお考えですか?」


「人間の力で少しずつ掘るならば数百年は持つじゃろう。スピカがいる間は手伝ってやっても良いぞ。」


「それはありがたいお話です。先ほどの魔蜂がいれば誰も近づこうとは考えませんしね…。採掘頻度や管理については旦那様と相談いたします。」


アルは魔蜂の厳つい姿を思い浮かべて、またぶるりとした。実は子どもの頃に刺されてから蜂だけはどうも苦手なのである。それにしても金に加えてタンザナイトまで……ロックバードの未来がとんでもないことになりそうな気配でこっそり背中に汗をかいた。実際、スピカの夜会デビューで魔糸織をはじめとする数々の装飾品に注文が殺到し、観光地のごとき賑わいに鉱山の親衛隊が駆り出されるのは近い未来の話。知らぬが仏とは格言である。


「それにしても、お嬢様が魔蜂と交渉したのには肝を冷やしました…。」


「まぁ、私の加護持ちなら攻撃はされないだろうが…魔蜂の蜜のお菓子は楽しみじゃな?」


そう2人が話しながら山の横穴から出てきたのを見つけたスピカはたたっ、と走り寄ってきた。?ん?精霊が1人増えてる?


「調査はもう終わったのですか?」


声をかけながら2人に蜂蜜キャンディを握らせて、スピカも1つ口に放り込んだ。自然な甘さが沁みる、幸せ。


「うむ。採掘は任せよ。」「大精霊様のお陰で驚くほど早く終わりました。」


「まぁ、それはありがとうございます!待っている間にガルディと仲良くなれました。」


喜怒哀楽の少ないペトラノームが目を見開いて驚いている。アルは目を泳がせて尋ねた。


「その……ガルディとはどなた様ですかね?」


「森の番人と呼ばれているそうよ?ガルディと呼ばせてもらったらこんな可愛い姿になって…。」


「可愛い姿になって…というと、この姿ではなかったと。」


「ほら、最初に蜜を分けてくれた魔蜂よ?」


ペトラノームはすぐ気づいたらしいが、びっくりするくらい驚いている。大精霊が驚く姿を見ると一周回って...一周回って...いや、驚くわ!!


表情を消したアルを見て、「あ、アルは蜂が苦手だったわ…」と斜め上の反省をするスピカは魔糸織が仲間の揺らぎを感じて心地よいことや甘味が好きであることなどを一生懸命説明した。さらには人型になったことで針は無いことをガルディをつかみながら補足した。


「ほら!この通り針はないでしょう?騎士様だから剣は身に付けているけど…ガルディは刺したりしないから大丈夫よ?美味しい蜂蜜も分けてくれるし…。」


え?食べ物くれたら誰でも良い人?皆、内心突っ込んだ。されるがままのガルディは……諦めて無の表情をしているが、アルバークやペトラノームと目があった瞬間全員が同時にうなずいた。「「「危ういスピカは我々で守ろう!」」」


強力な親衛隊が増え続けるスピカは「魔蜂の蜜をかけたアイスクリームが食べたいなぁ」と、お菓子に心を飛ばしていた。


調査にも移動にも時間がかからなかったため、午前中いっぱいスピカは思う存分お菓子を作り続けた。魔蜂の蜜は透明度が高く、雑味がないのでどのお菓子にも相性が良かった。爽やかな香りは濃いミルクアイスクリームにぴったりで、アウディーレとガルディの顔がアイスまみれに、ペトラノームはこっそりおかわりをしていた。


「可愛いわね……。」


夜会準備疲れのスピカにはこれ以上無い癒しの時間となった。


「そういえば、森の番人を連れてきてしまったけれど森は大丈夫なのかしら?」


「魔蜂の仲間もおるし、迷いの森に住まう他の生き物でも威嚇になるから大丈夫じゃ。ほれ、魔糸の原料の成体なんて害は無いのに見た目は怖いから、ちょうどよいぞ。」


スピカはガルディとアウディーレの口を拭きながら考えた。魔糸は魔蚕の繭から紡ぐけど、ひと抱えくらいの大きさがあったから…そこから成体が出てくるとなると…うん、確かに近づこうとはしないかな?


「今度、森の中に入ってみたいのだけど人間は大丈夫かしら?」


「スピカは加護と祝福持ちだし、他の人間も魔糸織を身に付けていれば仲間みたいな雰囲気になるから問題ない。どちらにせよ、私が付いて行くから安心せよ。」


「まぁ、ありがとうガルディ!後でマーガレットに魔糸織をどっさり持ってきてもらうわね。」


ウキウキ、キラキラのスピカを見て皆が「しょうがないなぁ」の表情になるまでが当たり前になりつつある今日この頃。さすがにアルも慣れてきた……いやいや、慣れたら終わりだと1人踏ん張っているものの、迷いの森探検は確定したようである。合掌。

名誉会長 ペトラノーム

後援会長 レグルス(父)

 副会長 リゲル

事務局長 アルバーク

終身会員 アウディーレ

終身会員 ガルディ

増える未来しか見えない…。美味しいは正義だね!

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