第125話 ブルーVSカーラ
「君臨せよ、カーラ!」
オリヴィアが悔しそうな顔をしている。
あの感じ、『ディバインシールド』は頭の中になかったかな。
「カーラ、『悪魔の祝福』『悪魔の囁き』『ナイトメア』!」
【ラグニア DOWN】
カーラの必殺コンボをラグニアじゃ耐えられないか。
でも、ここで『悪魔の祝福』を使わせれたのは大きい。
安全にブルーを召喚できる。
「出でよ、ブルー!」
プル!
うん、気合い十分だね。頼むよ!
「ブルー、『鳴神』『スカーレットアロー』!」
「カーラ、躱してください!」
やっぱり、相殺じゃなくて回避を選択したか。
カーラは物理、魔法とバランスよくスキルを取得している。
だから、ブルーと正面から魔法を撃ち合うことができない。
この距離感を保ったまま、デバフ・状態異常さえ付与されなければ、ブルーが優位。
逆に詰められると一気に不利になる。
カーラは、空を飛び回り、縦横無尽に動く。
ブルーの攻撃もなかなか当たらない。
『雷霆』が当たれば、追加効果でカーラの動きを僅かな時間だけ止められる。
ただ、一回じゃ追加効果は発揮しない。
二回目以降の直撃でようやく効果を発揮する。
「カーラ、『ダークトルネード』!」
「ブルー、『フレイムフォース』!」
範囲攻撃の『ダークトルネード』がブルーに迫ってくる。
それを全体攻撃の『フレイムフォース』で迎え撃った。
闇が蠢く竜巻と炎の奔流がぶつかる。
それによって生じた煙により、視界が遮られ、カーラを見失う。
きっと、この間にカーラは距離を詰めて来る。
でも、ブルーならどんだけ視界が悪くても、カーラの位置を正確に把握できる。
煙が晴れるとカーラは地上付近で、キョロキョロと辺りを見回していた。
今、カーラがいる場所には、さっきまでブルーがいた。
だが、既にブルーはそこにいない。
フィールドの反対側に移動し、カーラの背後を取っていた。
「ブルー、『霹靂神』『雷霆』!」
『雷霆』を確実に当てるために、全体攻撃の『霹靂神』を使う。
これで、カーラが『雷霆』を回避しづらい状況を作る。
オレの作戦通り、カーラに『雷霆』は当たった。
『霹靂神』も当たった。
正直、思っていたよりもダメージが入った。
オレが思っているよりもカーラの魔法防御力は高くない。
このまま、『雷霆』のクールタイムが明けるまで、時間を稼ぐ。
そしたら、もう一回『雷霆』を当てて、追加効果による麻痺で動けない隙に『八雷神』で倒す。
「カーラ、『ダークウェーブ』!」
ヤバっ、『ダークウェーブ』の存在を忘れてた。
全体攻撃の『フレイムフォース』、『霹靂神』と既に使って、クールタイムに入ってる。
他に全体攻撃スキルはない。
通常の魔法で相殺するしかないか。
いや、それで失敗すれば、オレの勝ち筋が消える。
後のことを考えて温存したかったけど、仕方ないか。
「ブルー、『ディバインシールド』!」
ブルーの『ディバインシールド』なら、ラグニアが『コピー』して使ったのと違い、攻撃を完璧にシャットアウトできる。
押し寄せる漆黒の波を透明なシールドが食い止めた。
「カーラ、『闇刺突』『水刺突』!」
「ブルー、『サンダーアロー』『サンダーボール』!」
できれば、カーラに接近を許したくない。
今、攻撃を放っても回避されるのがオチ。
ギリギリまで引きつけて、『サンダーアロー』と『サンダーボール』を放った。
しかし、それを『闇刺突』と『水刺突』でそれぞれ打ち落とし、相殺した。
そのままカーラはブルーの眼前まで接近する。
この時、オレはブルーにどっちの指示をするか迷った。
『電光迅雷』の高速移動を利用して、再びカーラから距離を取るか。
それとも、これをチャンスと捉えて『八雷神』を撃つか。
元々、『雷霆』の追加効果を狙っていたのは、カーラに確実に『八雷神』を当てるため。
ここまで接近されると、回避は困難。
でも、オリヴィアのことだからなにか策をあるかもしれない。
無策でカーラを突っ込ませるとは考えにくい。
接近して、攻撃を当てないとブルーにデバフ・状態異常を付与できない。
それができないと、『ナイトメア』がクールタイムから明けても使えない。
他に取れる選択肢がないから、一か八か接近している。
そう考えることもできる。
「カーラ、『深淵への誘い』!」
「ブルー、『電光迅雷』! それから『八雷神』!」
どっちかを選ぶことはできなかった。
だから、『電光迅雷』でカーラの攻撃の軌道上から即座に逸れる。
そうして、至近距離で『八雷神』を叩き込む。
「『悪魔の囁き』『ナイトメア』!」
ただ、オレの指示が僅かに遅かった。
『電光迅雷』で動いているブルーにカーラの『深淵への誘い』が掠めた。
それにより、ブルーにデバフ・状態異常を付与された。
ブルーのHPバーでそれを確認したオリヴィアは即座に『ナイトメア』を指示した。
それとほぼ同時に『八雷神』がカーラを呑み込んだ。
【カーラ DOWN】
【ブルー DOWN】
気づいたら、ブルーとカーラ2体とも倒れていた。
どっちの方が早かったのか。
正直、わからない。
恐る恐る電光掲示板に目を向ける。
そこには、勝者と敗者が表示されていた。
それと同時に実況席のステラさん、輝夜さんの声が聞こえてきた。
「白黒学園学年別個人トーナメント1年生の部、優勝はオリヴィア・ブラウン!!!」
「どっちが勝ってもおかしくない決勝戦に相応しいバトルだったわね」
オリヴィアは、ガッツポーズをし、喜びを前面に表していた。
それを見てオレは負けたことを実感できた。
最後、迷わずに『八雷神』の指示を出すべきだったのか。
あそこで両方のいいとこ取りをしようとしたから、最後『ナイトメア』でやられた。
「新垣さん、勝敗を分けたのは、やはり最後の決断でしょうか?
「結果だけ見ると『電光迅雷』を使った回避が余計だったように思えるけど、回避せずに『八雷神』を使ったら、カーラに回避された可能性もある」
「確かに。確実に勝ちに行く。そういう観点で考えると、回避する選択は正しかったということでしょうか?」
「勝負に確実なんて言葉は存在しない。私は蓮くんの判断が間違っていたとは思わない。ただ、想定が甘かった。それで最後に決断が遅れた」
輝夜さんの言う通りだ。
いろいろと失念していたことはあった。
ラグニアで作戦通りにアルマを倒して、カーラに『悪魔の祝福』を使わせた。
カーラじゃブルーと魔法の撃ち合いはできない。
だから、どこかで距離を詰めてくる。
そこまではわかっていた。
なのに、その対処を考えることを怠っていた。
あの場で考えたから、指示が遅れた。




