第123話 シグレVSカーラ
「君臨せよ、カーラ!」
ソレイユはアルマを倒すのに全力を尽くした。
余力など残っていない。
唯一できるのは、カーラに『悪魔の祝福』『悪魔の囁き』『ナイトメア』の必殺コンボを使わせること。
『悪魔の祝福』は召喚直後しか使えないが、残る二つは違う。
これらがクールタイムに入っている状態でエースを召喚できるのは理想的状況。
オリヴィアとしては、ソレイユ戦に時間をかけたくない。
まだ未知のスキルがあるかもしれない。
「カーラ、『悪魔の祝福』『悪魔の囁き』『ナイトメア』!」
アルマ戦で少なからずダメージを受けていたソレイユはカーラの攻撃を耐えられなかった。
【ソレイユ DOWN】
この展開に青天目はホッと一息つく。
少し間を取って、思考をリセットし、仕切り直して、シグレを召喚する。
「出でよ、シグレ!」
決勝戦に進むのはどちらか。
このエース対決で全てが決まる。
「カーラ、『ダークウェーブ』『ダークボール』!」
先に仕掛けたのはカーラだった。
範囲攻撃の『ダークウェーブ』でシグレの選択肢を狭める。
その上、シグレの死角となる『ダークウェーブ』の背後に『ダークボール』を放っている。
カーラを相手にエルナ戦みたいに受けに回るとデバフ・状態異常でどんどん弱体化していく一方。
そこでシグレは受けではなく、相殺を選択した。
「シグレ、『天嵐の破滅』!」
『ダークウェーブ』と同じ範囲攻撃の『天嵐の破滅』で全てを薙ぎ払う。
それだけに留まらず、『天嵐の破滅』はカーラにも牙を剥く。
「カーラ、闇刺突!」
『天嵐の破滅』は、『ダークウェーブ』と『ダークボール』で威力が削がれていた。
迫り来る刃をカーラは、『闇刺突』で相殺することには成功する。
しかし、すぐそこまでシグレが迫っていることに気づいていない。
「シグレ、『天嵐の一閃』!」
横一文字。
予期せぬ所からシグレが風に乗って現われ、すれ違いざまに斬られる。
カーラは、シグレがエルナ戦みたいに防御的に来ると考えていたのもあり、反応が遅れる。
「シグレ、『天嵐落とし』!」
「カーラ、躱して『霞連槍』!」
ここでカーラは目測を誤る。
エルナとシグレのバトルをモニター越しにはなるが、しっかりと見ている。
だから『天嵐落とし』がどういう攻撃スキルかも把握している。
もちろん、攻撃範囲も。
だが、モニター越しで見ていたからかカーラの想像よりも遙かに攻撃範囲は広かった。
躱してから『霞連槍』で一気にHPを削り切る算段だったが、その前に『天嵐落とし』によって地面に叩きつけられる。
シグレはこのチャンスを見逃さない。
「シグレ、『天叢雲』!」
『天嵐の破滅』が比較にならないほど強力な嵐がカーラへと迫る。
先ほど背中から地面に叩きつけられてまだ体勢を立て直せていない。
回避も防御も不可能。この攻撃は通った。
誰もがそう確信していたが、カーラはあっと驚く方法で乗り切る。
「カーラ、『深淵への誘い』!」
体勢を立て直し、立ち上がるのが間に合わないのであれば、そのままの体勢で空を飛べばいい。
仰向けのまま地面から数センチほど体を浮かび上がらせて、『天叢雲』を『深淵への誘い』で迎え撃つ。
これが衝突したことで衝撃波が生まれる。
それによってカーラは意図せずにシグレと距離を置き、仕切り直すことに成功する。
シグレは衝撃波をものともせずにいるが、カーラへの追撃はしない。
『深淵への誘い』は『天叢雲』と相殺する形になった。
シグレはノーダメージだったが、下手をしたらあれでデバフ・状態異常が付与されていた可能性すらある。
できる限り、カーラに『ナイトメア』を使わせたくないシグレとしてはデバフ・状態異常の付与を避けたい。
ここは無理をすべき局面じゃない。
シグレは大きく後退し、カーラの様子を見る。
「カーラ、『ダークトルネード』!」
「シグレ、躱して『疾風突き』!」
「っ!」
カーラには苦しい展開が続く。
バトル開始当初、積極的に攻めてくるかと思われたシグレだが、かなり慎重な攻め方をしている。
デバフ・状態異常の付与ができていない以上、『ナイトメア』は使えない。
今まであまり相手に攻撃を当てることが大変だと考えたことが無かった分、打開策が見つからない。
カーラへのダメージだけが蓄積していく。
「カーラ、『ダークウェーブ』!」
「シグレ、『天嵐の破滅』!」
「カーラ、『ダークボール』!」
「シグレ、躱して『天嵐の一閃』!」
オリヴィアはシグレがカーラに接近するのを待っていた。
遠距離から攻撃を繰り返しても、相殺される。
これまでの攻防でそれを理解していた。
逆に青天目は、気づいていなかった。
物理攻撃をオリヴィアが待っていることを。
「カーラ、『ダークランス』!」
「シグレ、躱して突き進んで!」
ギリギリまで引きつけてからの『ダークランス』ですらシグレには当たらない。
これはオリヴィアの予想通りの結果。
ここまで攻撃が一度も当たっていない相手。
これくらい躱せる。
『天嵐の一閃』がカーラを捉える。
その時、カーラの反撃開始の狼煙が上がる。
そもそもカーラはこの一撃を回避するつもりがない。
直撃してもHPが0になるほどのダメージは受けない。
既に一度、『天嵐の一閃』で斬られているのでわかっていた。
だが、タダでは斬らせない。
「カーラ、『水刺突』!」
「回避は……間に合わない」
最初から被弾前提のカウンター。
発想がぶっ飛んでいるが、オリヴィアにはこれにしかなかった。
これが見事に決まった。
『水刺突』にも闇属性が付与されているため、シグレにはデバフ・状態異常が付与される。
こうなればやることは一つ。
「カーラ、『悪魔の囁き』『ナイトメア』!」
「くっ!こんな手があるなんて」
今の攻防でシグレのHPは一気に5割を下回る。
だが、カーラもかなりHPが減っている。
お互いにこれ以上はあまり、攻撃を受けられない。
シグレは、このままだと『ナイトメア』を受けられてもあと一回。
二日目は倒される可能性が高い。
ここに来てシグレはバトルの決着を急がなくてはいけない理由ができた。
「シグレ、『疾風突き』『疾風斬り』『天嵐落とし』!」
「カーラ、『霞連槍』!」
「シグレ、『天叢雲』!」
シグレには、決着を急がないといけない理由ができた。
先ほどまでの慎重な攻めとは打って変わって激しい攻めをする。
カーラは、攻撃に移りたかくても防御に専念せざるを得ない。
だが、後先考えずに攻勢に出た為、シグレの攻撃スキルは全てクールタイムに入る。
その間、カーラの攻撃を『疾風の誘い』『水流の誘い』『天嵐の誘い』で受け流すが、デバフ・状態異常は悪化する一方。
このままだと次に『悪魔の囁き』『ナイトメア』のコンボが放たれたらシグレのHPは0になる。
その時は刻一刻と迫っている。
青天目の焦りもまた積もる一方。
「これで最後。シグレ、『天嵐の破滅』『天嵐の一閃』!」
「カーラ、『ダークウェーブ』『ダークボール』『ダークランス』『闇刺突』!」
オリヴィアもわかっていた。
これを凌げば勝ちがほぼ決まると。
シグレの放った『天嵐の破滅』は、『ダークウェーブ』『ダークボール』『ダークランス』で相殺した。
また、『天嵐の一閃』は『闇刺突』で威力を軽減して受ける。
結果、カーラのHPは5割ほど残る。
そして、勝負が決する時がきた。
「カーラ、『悪魔の囁き』『ナイトメア』!!」
【シグレ DOWN】
最後まで決して諦めることなく、足掻いたがシグレの刃は届かなかった。
これで決勝戦を戦う二人が決まった。
白黒学年別個人トーナメント1年生の部の決勝戦は鬼灯蓮とオリヴィア・ブラウン。
鬼姫同士の対決となる。




