第121話 リーフィアVSネメア
今日、学園学年別個人トーナメントの準決勝と決勝が行われる。
莉菜が準々決勝で負けたのは意外だったけど、オレはここまで勝ち進んだ。
準決勝で郁斗に勝って、決勝に進む。
今、思い返すとオレ新入生代表トーナメントで郁斗とバトルしよう的な話をした気がする。
あの時は実現しなかったバトル。
ギルドマスター決定戦で実現して、あの時はオレが勝った。
でも、あれから郁斗はかなり強くなってる。
「さあ、待ちに待った時間がやって来ました! 白黒学園学年別個人トーナメント1年生の部。準決勝第一試合、鬼灯蓮VS二階堂郁斗が始まろうとしています!」
時間になったから、バトルステージに入場すると、ステラさんの声。
それから観客席からの声援が聞こえてきた。
思ってたよりも緊張してない。
昨日、蜆くんや海夕に勝ったことが自信に繋がってる。
今のオレなら郁斗に勝てる。
【鬼灯蓮VS二階堂郁斗 バトルSTART】
「出でよ、リーフィア!」
「来たれ、ネメア!」
郁斗の1体目は、予想通りネメアか。
『魔装融合』を使ったネメアは物理、魔法の両刀型。
それに『ゴーストタウン』によるデバフ・状態異常の反射もある。
近接戦と闇属性に特化したリーフィアよりも、ラグニアの方が相性がいい。
だから、郁斗はラグニア対策を一晩かけて考えてると思った。
当然、リーフィアの対策も考えてるだろうけど、まだリーフィアの力の全てを見せたわけじゃない。
ここまで偶々使う機会がなかっただけ。
でも、今回はそれが刺さる。
「ネメア、『ゴーストタウン』『武装召喚・グリムリーパー』『武装召喚・グリモワール』『魔装融合』!」
フィールド上に『ゴーストタウン』が展開される。
その中央でネメアは魔法陣から鎌と本を取り出し、融合する。
ネメアの手には『魔装融合』によって作り出された二振りの鎌が握られていた。
「リーフィア、『空駆』で空へ」
このまま地上にいても、ネメアが有利に戦える。
だから、『空駆』で空へ上がる。
「ネメア、『ブラックホール』で引き摺り込め!」
「リーフィア、『闇閃撃』『ダークスラッシュ・テンペスト』!」
ここで引き摺り込まれるわけにはいかない。
『闇閃撃』と『ダークスラッシュ・テンペスト』の合技を『ブラックホール』に向かって放つ。
多少の攻撃なら吸い込めるだろうけど、強力な攻撃を無数に叩き込めば、キャパオーバーを起こす。
そうなれば、『ブラックホール』は自然と消失する。
「いきなり使うのか……。まあ、こっちとしてはありがたい! ネメア、『ダークランス』『ダークアロー』『ダークボム』!」
「リーフィア、躱して!」
リーフィアは、空中を『空駆』で縦横無尽に駆け回る。
それにより、ネメアは狙いを絞り切れなかった。
結果、『ダークランス』と『ダークアロー』は、リーフィアに当たらず、空の彼方へと消えた。
『ダークボム』は、空中で爆発した。
よし!ここでネメアが使える魔法は全てクールタイムに入った。
思い描いていた展開とが違うけど、この状況になったらこっちのもの。
「リーフィア、『天剣解放』『天空斬り』! フィールドそのものを斬って!」
「はっ!?」
リーフィアは空中を蹴り、フィールド上の廃ビルを斬る。
郁斗はいつもと違うリーフィアの行動に驚きの声をあげる。
いつもなら、ここで相手モンスターに必中効果を付与した『天空斬り』が決まる。
だが、今回は違った。
ネメアが展開した『ゴーストタウン』がフィールドの端から塵のように消えていく。
『天剣解放』は直後に使ったスキルの効果を拡張する。
いつもは、拡張効果に必中効果を選択していた。
だけど、今回は『天空斬り』の特性、スキル斬りを拡張した。
それによって、必中効果はないけど、どんなスキルでも斬ることができるようになった。
フィールドも例外じゃない。
「嘘だろ……。いや、もう一回展開すればいいだけ……」
もうこの試合中にネメアが『ゴーストタウン』を展開することはできない。
『天空斬り』の特性、スキル斬りを拡張したことで、『ゴーストタウン』を封印した。
これでネメアに攻撃しても、デバフ・状態異常が反射することはない。
「リーフィア、ネメアに近づいて! 『ダークスラッシュ』!」
「くっ、ネメア、『ファントムサークル』!」
このスキルは知ってる。
ギルドマスター決定戦でブルーの『ディバインシールド』を掻い潜って、攻撃を当てられた。
リーフィアの眼前でネメアの姿が消える。
それにより、リーフィアの攻撃は空振りに終わった。
「リーフィア、『空駆』で少しだけ上に動いて」
『ファントムサークル』は少しの間、姿を消す。
その後、相手モンスターの正面に現れて、鎌で攻撃する。
だから、リーフィアが『空駆』で空中にいれば、ネメアは姿を現す場所は――。
「ネメア、『影渡り』!」
「くっ」
そうくるか。
ネメアが姿を現すと同時にリーフィアが反射で剣を振る。
だけど、剣が当たるよりも早く、ネメアは『影渡り』でリーフィアの影の中へ移動した。
「それなら、リーフィア、『影走り』!」
「今だ! ネメア、『影斬り』!」
「リーフィア、『魂葬』!」
「……マジかよ」
「『魂葬・断』『ダークスラスト』!」
危なかった。
今、ネメアはリーフィアの影に潜った。
その直後、リーフィアも自分の影に入った。
そうすると、なにもないフィールド上に影は存在しなくなる。
だから、影に入っているモンスターは全て外に弾き出される。
ラグニアがリーフィアから『影走り』について教わっていた時に偶然発覚した。
リーフィアは弾き出されるとわかった上で『影斬り』を使った。
そのため、弾き出された後、即座に体勢を整えて攻撃に移れた。
ネメアは、『魂葬』でダメージだけでなく、デバフ・状態異常まで付与された。
そこに『魂葬・断』と『ダークスラスト』の追撃が加わり、ネメアのHPはゼロになった。
【ネメア DOWN】
「来い、コン」
郁斗とのバトルはここからが本番と言っても過言じゃない。
ネメアも厄介だけど、それ以上にコンがエグい。
「コン、『稲荷狐の祈り』『稲荷狐の祟り』『降臨・稲荷神社』『参の型』『壱の型』!」
「稲荷流狐剣術、『参の型 夜桜』『壱の型 迦具土』!」
フィールド上に狐を祀る神社が出現し、夜の帳が下りて満開の桜が花開く。
これによりコンの全ステータスも1.5倍になる。
そして、刀に金色の炎が灯る。
「コン、『捌の型』!」
「稲荷流狐剣術、『捌の型 爆轟』!」
『捌の型』による衝撃波を伴いながら辺り一帯を燃焼させる範囲攻撃。
『影走り』などがクールタイムに入ってる。
『空駆』では、攻撃範囲外への移動が間に合わない。
ダメージを負いつつ、リーフィアの視界が潰れる。
「コン、『玖の型』!」
「稲荷流狐剣術、『玖の型 流星火』!」
そこに神速の一撃。
リーフィアで少しでもコンにダメージを与えられたら。
デバフ・状態異常を付与できたら。
そう考えていたけど、なに一つできなかった。
【リーフィア DOWN】
リーフィア、ありがとう。
「出でよ、ブルー!」
プル!
ブルーはカイゼル戦を経験して、強くなった。
今のコン相手でもきっと勝てる。
コンはまだ『影分身』に『陽炎』と『蜃気楼』を使ってない。
ただ、最も厄介な『拾の型』をたぶんブルー相手だと使えない。
あれは、オレの予想が正しければ、壱から玖までの型を全て使わないといけない。
ブルーはバフとか自己強化系のスキルがないから『肆の型』が使えないはず。
「ブルー、『鳴神』『天御雷』!」
「コン、『影分身』『陽炎』『蜃気楼』!」
『鳴神』と『天御雷』はコン本体に当たらず、『陽炎』と『蜃気楼』でフィールド上が幻影に包まれる。
前回のギルドマスター決定戦で、『陽炎』と『蜃気楼』発動中にブルーの攻撃の方向が偏った。
バトルが終わった後、リーフィアが教えてくれてすごいことが発覚した。
ブルーは今みたいに幻影に包まれるフィールド上でも相手の位置を正確に把握できる。
「ブルー、『霹靂神』!」
コンとのバトルをあまり長引かせたくない。
ブルーに幻影が無意味だと気づかれる前に速攻倒す。
全体攻撃の『霹靂神』でコン本体だけでなく、『影分身』にも攻撃する。
これで『影分身』が全て消え去り、コン本体だけが残る。
「『八雷神』!」
そうなれば、ブルー最強の攻撃、『八雷神』を放つ。
雷がバチバチに弾け、レールガンのような雷のレーザーがコンを呑み込んだ。
【コン DOWN】




