第97話 遂に始まる第五試合
【第五試合 二階堂郁斗VSルーカス・ガルシア バトルSTART】
「来たれ、ネメア!」
「舞い踊れ、アカツキ!」
バトルが始まると共にフィールドには2体のモンスターが召喚される。
郁斗の1体目にネメアを召喚する。
対するルーカスはアカツキを召喚した。
右腰に一本の刀を刺し、紅い着物を身に纏った女性。
腰まで伸びる黒髪、黒眼。
額には、漆黒の角が二本生えていた。
アカツキの見た目は誰がどう見ても鬼。
正確な種族は見ただけでは特定できない。
妖怪種の鬼はそれなりに種類がいる。
中には変わったスキル、初見殺しに近い強力なスキルを取得している鬼がいる。
郁斗は戦いながら、アカツキの種族を特定しなければいけない。
それができないと、ルーカスに序盤から主導権を握られる。
「ネメア、『ゴーストタウン』『武装召喚・グリムリーパー』!」
フィールドに四方に墓地が点在する廃墟が現れる。
それに加え、廃墟を火の玉や幽霊が飛び交っている。
過去のバトル映像を確認したことのあるルーカスはこの変化に気づいた。
速攻仕掛けようという考えを改めて、郁斗の出方を窺う。
両者、動かないまま時間だけが過ぎる。
ネメアのフィールドは時間経過で消える類じゃない。
郁斗は焦ることなく、動かない。
動く気がないが正しいかもしれない。
ルーカスはそれを察して、先に動く。
「アカツキ、『紅鬼斬り』!」
左手で右腰に刺している刀を抜く。
抜くと同時に刀身が紅蓮の炎を纏う。
左手でガッチリと握る刀に右手を添えて、ネメアへと接近する。
「ネメア、『デスサイズ』!」
アカツキをネメアは正面から迎え撃つ。
ネメアが紫色の靄を纏った死神の鎌を薙ぎ払う。
それがアカツキの刀とぶつかり、火花を散らす。
スキルを発動せずにネメアとアカツキは斬り結ぶ。
数回ほど斬り合った後、地面から鎖が出現して、アカツキを拘束する。
「ネメア、『デススラッシュ』!」
「アカツキ、『紅鬼ノ羽衣』!」
鎖で拘束し、身動きが取れないアカツキに一閃。
目にも止まらない速さでネメアが駆け抜ける。
このままネメアが追撃する。
そう思われたが、鎖が高温に熱され、溶ける音と共にアカツキから煙が立ち上った。
アカツキが紅蓮の炎でできた羽衣を身に纏っている。
「アカツキ、『黒縄紅牢』!」
アカツキが身に纏っている羽衣の熱がフィールド全体に伝播する。
それが形を成し、気づいたらネメアを取り囲む牢獄が完成していた。
「スリップダメージか」
炎の牢獄に囚われたネメアのHPが刻一刻と削られる。
鎌を振り、破壊を試みる。
だけど、鎌が炎をすり抜け物理的に攻撃が当たっていない。
「ネメア、『武装召喚・グリモワール』『ブラックホール』!」
物理的に破壊ができないなら、魔法で対処する。
鎌を消し去り、本を召喚したネメアの頭上に漆黒の穴が出現する。
直後、炎の牢獄はそれに吸い込まれ、消え去った。
郁斗のこの対応にルーカスは考えを改める必要がある。
ルーカスは『影渡り』を使って脱出すると考えていた。
アカツキの影の位置は正確に把握し、いつでも即座に攻撃できる状態でいた。
だが、郁斗はそれを読んでか、別の方法で『黒縄紅牢』を破った。
「ネメア、『魔装融合』!」
「っ!」
ネメアは手に持っていた本を手放した。
本来なら、そのまま本は地面に落ちるところだが、宙に浮いている。
空いた手には先ほど消し去った死神の鎌が握られていた。
次の瞬間、鎌と本は吸い寄せられるようにぶつかり、混ざり合う。
眩い光を放ち、二つの武器は一つになった。
死神が持っていそうな鎌だけど、それが二振りに増えていた。
柄を挟んで刃の反対側には髑髏がくっ付いており、不気味なオーラを漂わせていた。
ネメアの発動した『魔装融合』は武装召喚と同じドワーフ専用スキル。
それも限られたドワーフにしか使えない特殊なスキル。
本来、ドワーフは特定の武器を召喚して戦う。
人類種で唯一リヴィングウェポンを装備できず、解放スキルや覚醒スキルが使えない。
その代わりのスキルがこの武装召喚である。
武装召喚で召喚した武器は特殊な能力を持っていたり、通常の武器とは大きく異なる。
だが、ごくまれにネメアのように複数の武器を召喚できるモンスターがいる
それができるモンスターのみ『魔装融合』が使える。
効果は至ってシンプルで、召喚した武器の融合。
ルーカスがネメアの一挙手一動に神経をすり減らしている。
それほどまでに『魔装融合』を使ったネメアを警戒していた。
郁斗はそれを嘲笑うようにノーモーションで発動できるスキルで翻弄する。
「ネメア、『影潜伏』!』
なんの前兆もなく、ネメアは消えた。
フィールドには『ゴーストタウン』が展開されていて、障害物が多い。
どこかに身を潜めているだけかもしれない。
ただ、『影渡り』特有の地面に潜るようなモーションがなかった。
それもあって、ルーカスはアカツキの影の中にネメアが隠れているとは考えなかった。
「ネメア、『ダークボム』『影斬り』!」
次の瞬間、アカツキの影が爆発した。
それと同時に影から斬撃が飛んできた。
「アカツキ、『紅鬼嵐』!」
どこから攻撃されているのかわからず、アカツキは刀を振り上げて、全方位をまとめて炎の竜巻で薙ぎ払う。
「ネメア、『ダークランス』『ダークアロー』『デスサイズ』!」
アカツキはネメアの居場所をわかっていない。
影から飛び出したネメアはアカツキの背中に『ダークランス』と『ダークアロー』を叩き込む。
その後、間髪入れずに『デスサイズ』で斬り裂く。
「アカツキ、『鬼火結界』『紅鬼乱舞』!」
火花を散らしながら、アカツキを覆うように結界が貼られる。
ネメアはアカツキに近くにいるだけで、スリップダメージを負う。
アカツキは、背後にいるネメアに舞を踊るかのように刀を振い、攻撃する。
「ネメア、『ファントムサークル』!」
アカツキの猛攻をすり抜けるように背後へ回る。
再び、背後からネメアがアカツキを攻撃。
「アカツキ、『鬼火爪』!」
振り向きざまにネメアを右手の鋭い爪で引き裂く。
2体の攻撃はほぼ同時に決まった。
だけど、ネメアの攻撃は僅かにアカツキのHPを削り切れなかった。
【ネメア DOWN】
ネメアが倒れた直後、アカツキは状態異常のスリップダメージでHPがゼロになった。
【アカツキ DOWN】




