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完食後。俺としてはオムライスが美味しく大満足だったので、もう帰る気マンマンだったのだが
「アタシ、ゲーセン行きたい!」
「はぁ、仕方ないな……」
新見はゲーセンをご所望の様子。まぁ、秋葉原はオタクの聖地だからな。最大限楽しんで帰ってもらうのも悪くないか。
「あ、めっちゃ広い……これ、何階あんの?」
「たしか6階建て。地下も含めると7階ぐらいじゃなかったっけな」
「秋葉、やば」
「ちなみに、これレベルのゲーセンが他にも5つほどある」
「秋葉、やっば!」
たしかに、これほど多くのゲーセンがある街は少ない。今じゃオタク文化のイメージが強い秋葉原だが、こういうところに元である電気街の文化を見ることができる。
「そんで、なにかやりたいゲームとかないのか?」
「や、アタシ普段ゲームしないからさ……詳しくないんだよね」
あまりゲームをしないのにゲーセンに行きたがるとは、好奇心の強い新見らしい。
「意外だな。金髪ギャルはクレーンゲームとか得意そうなイメージあるんだが」
「どんな偏見だし。てか、アタシあれめっちゃ苦手。あ、でもプリとかは得意だよ!」
「プリクラはゲームじゃないだろ。まぁそれなら……STGとかにしとくか」
「えすてぃーじー?」
「シューティングゲームの略だ」
「あれでしょ。いんべーだー?ってやつ」
「うん、間違ってはいないんだが……半世紀ぐらい遅れてるな」
機械音痴のおばちゃんレベルな知識だ。デジタルネイティブ世代としての自覚をもうちょい持ってほしい。
「うぉわぁぁぁぁ! ちょ、鹿野。敵来てる来てる!」
「はいはい」
「ひょぇぇぇぇぇぇ! 痛い痛い! めっちゃ血出るじゃん。グロ! てかゲームだから痛くないし! あっはははは!」
「うるせぇー……」
協力タイプのゾンビゲーをプレイすることになったのだが、新見はこの手のゲームが初めてのようで超絶エキサイティングしている。
「って、あー! アタシ死んじゃった!」
「そりゃ、あれだけ騒げばエイムもブレれるしな……よっと」
「え、めっちゃ殺してんじゃん。てかその手の動きやば!? 上手い通り越してキモいんですけど!」
手首のスナップだけで狙いをつけ、引き金を引く。これを敵が現れる位置を予測し最速で行うことで、効率的なプレイができる。この際、大きく手を動かすのは無駄なので避ける。二の腕までで動作を完結させるのがポイントだ。
画面の敵は全滅し、YOU WIN! というメッセージがでかでかと表示された。
スコアボードを見ると1位。新見という初心者を抱えてプレイしてこれだから、腕は落ちていないようだ。
「まぁ、こんなもんか」
「鹿野、やばっ。ぷろげーまーじゃん!」
あれ、俺、なんかやっちゃいました????
普段バカにしてくる新見が尊敬のまなざしを送ってくる。今世紀最大に気分がいいな。
「まぁ、STGは堪能しただろ。他の階行くか」
「りょ!」
その後、一時間ほど俺たちはゲーセンで遊んだ。
驚いたことに、新見は音ゲーのセンスは抜群だった。最高難度の知らない曲でもやすやすとフルコンボを達成するあたり、その才能がうかがえる。
「――あー、楽しかった!」
「まぁ……そうだな」
一階から外に出ると外は明るく、まだ昼の3時にすらなっていない。しかし、まるで一日の終わりのような疲労感がドッと押し寄せてきた。
俺はこのゲーセン特有の疲労感が好きだ。最近のスマホやPCゲームの進化は凄いが、ゲーセンにはゲーセンの良さがあると思う。
「あれっ、このゲーセンってフィギュアも売ってるの?」
「いや、そんなことはないが。どうしてだ?」
新見の視線の先――たった今出口から出てきた男性の手元には、このゲーセンの袋に入ったフィギュアがあった。
「いや、あれはプライズ品って言ってな。クレーンゲームの景品で手に入るんだよ」
「はえー……」
またも関心した様子の新見。
これは別に秋葉原でなくとも、ちょっと大きなゲーセンならどこでも見かけることができる。
「って、あれ」
「どしたん?」
「財布がない」
「マジ? 落としたの?」
「多分そうだ」
最悪だ。どこで落とした?
一瞬焦る……が、ちょっと待て。よくよく考えてみれば簡単な話じゃないか。ゲームプレイの代金を払っていたんだから、最後にプレイしたゲームからこの場所までを探すだけでいいんだ。よし。
「目星はついてる。すぐに戻るから待っててくれ」
「ちょ、あたしも――」
「大丈夫。行ってくる」
新見に探させるのは気が引ける。それに、どうせすぐ見つかるだろうしな。
俺は新見をおいてゲーセンに戻った。
24話の終盤に致命的な文章ミスを発見しました。修正済みです(2021/1/13)。
混乱してしまった方がいましたらすみませんm(__)m




