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結局断れなかった俺は、ありあわせの物でサンドイッチを作り、それを新見に食べさせて帰宅させた。
俺、ガチで押しに弱いんだな……。強い精神力が欲しい。瞑想でも始めようかな、流行ってるし。
「疲れた……」
風呂上がりの火照った体のまま、ベッドに倒れこむ心地よい疲。労感が体をつつむ。
スマホの電源を付け、日課であるニュースサイトの巡回をする。
……お、あの作者新刊出るんだ。明日にでも本屋行こうかな。いや、面倒だし通販でいいか。
予約ページをタップしようとすると、不意にスマホが震えた。
『ちわ』
簡潔な二文字。思わず気が抜ける。
詩織はこんなLINEを送ってこない。これは今日連絡先を交換した新見からだろう。
「無事、帰れたか、っと」
一応、自宅に帰れたのか心配するメッセージを返信しておく。
『無事に帰れたか?』
すると5秒にも満たない超速で返信が来た。返信、早っ。
どうでもいいが、陽キャは『超早い』を『ちょっぱや』と略すらしい。結構前に新見が使っているのを耳にした。
……けど、あれってどう考えても死語だよな。
『過保護すぎ』
『おかんじゃん』
なんとも新見らしい返信だ。
というか、これって過保護なのか?
『もちもち』
『鹿野ママでちゅよ』
なんとなく悪ノリしたメッセージを送る。
『ウケる』
『キモすぎてガチ爆笑した』
『おもろいからクラスグループにも拡散しとく』
「――っておい待て」
多分冗談だと思うが、新見ならやりかねない。そう思わせる『凄み』があいつにはある。
『冗談だよな?』
またもやちょっぱやで返信がくる。
『もち』
もち――モチ――餅――ああ、もちろんの略か。わかりづらいんだよ。なんでも略すな。
若者言葉にキレる老人みたいなことを考えつつ、返信しようと指を動かし――たところで、原稿のことを思い出した。
こんなことしてる場合じゃないな。
『もう遅いから寝る。お休み』
原稿を書くなんて言えないので、適当にはぐらかしたメッセージを送る。
『り。おys』
???????
勘弁してくれ。ダイイングメッセージじゃないんだぞ。
……調べてみたが、どうやら『りょうかい。おやすみ』の略らしいな。
なんでも略すな!




