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「まぁ、お互い悪かったってことで。とりあえず、片付けるか」
「う、うん」
あまりのショックで放心状態だが、この惨状をどうにかしなければ。
倒れているメタルラックを立て直し、新見と協力して床に散らばったフィギュアを拾い集める。
幸い、ラックは壊れていなかった。フィギュアも元通りに配置するだけで、これといって問題はない。
5分程度で惨状は片付き、いつもの俺の部屋が戻った。
「あれっ」
新見の素っ頓狂な声。なぜだかそれには不穏な響きが混ざっているような気がした。
「ど、どうした」
「このキャラって、腕一本しかないの?」
「――おい、ちょっとまて」
新見が指を指すフィギュア――水色ショートカットにメイド服が特徴的な、双子の妹キャラ――に目をやると、腕が、一本しかない。
腕が。
一本しか。
ない。
「あ、あ、あああぁぁぁぁぁぁーーー!」
「ちょ、どうしたの鹿野っ」
「お、俺のレムちゃんの腕が、腕がっ」
何が起きた? いや、答えは明白だ。落下の衝撃で腕が折れたんだ。それしかない。
急いで他のフィギュアに目を走らせる。
幸い、というのは抵抗があるが、ダメージを負ったフィギュアはその1個――いや、1人だけだった。
「嘘だろ……」
半泣きで落ちていた腕を拾い上げる。
「あぁっ……」
彼女の体を持ち上げると、今度は足が折れた。
熟れた果実が木から落ちるように、彼女の足が床へと落ちていく。俺の涙もその後を追った。
痛かったろう、苦しかったろう。助けてやれなくてごめんな……ごめんな……。
「ちょ、アンタ、泣いてんの? たかがフィギュアで――」
「――たかが?」
「っ!?」
抑えられない激情が言葉にこもる。たじろぐ新見。
「なぁ、新見。ペット、飼ったことあるか」
「あ、あるけど。小さい頃、一度だけ」
「そのペットが死んだとき、どうだった」
「そりゃ……悲しかった。ギャン泣きしたよ」
「そうだよな、悲しいよな――たかがペットだなんて、思えないよな」
「そりゃ、そうでしょ」
「一緒だよ」
「え……」
「フィギュアも、ペットも……同じ生き物で、愛すべき対象なんだ」
「た、たしかに……!」
新見はそのくりっとした目を見開き、新たな気づきに驚愕する。
が、すぐに
「って、あれっ? それってどうなの。犬は生き物だけど――」
「――新見、愛の形は人それぞれなんだ。だから、そっとしておいてくれ」
「は、はぁ」
「お休み、レム……また逢う日まで……」
空き箱に無残な姿となった彼女を戻し、クローゼットに仕舞う。
「マジでなにこれ……」




