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「ここが俺の部屋で――」
「うわっ、すごっl!」
「ふっ。そうだろうそうだろう」
「めっっっちゃ、キモオタっぽい部屋……」
「一言多いな、お前」
新見はオタク部屋というものに足を踏み入れるのは初めてのようで、驚嘆半分、ドン引き半分といった様子だ。
まぁ、そういった反応になっていしまうのも無理はない。
俺の部屋は六畳程度の広さで、入って右側に本棚とローテーブルがあり、窓際にデスクが設置してある。左側にベッドとメタルラックが配置されている。
壁一面を覆うように設置された本棚に所狭しといった感じにひしめき合うラノベ・漫画。部屋の角に備え付けられたメタルタックには、フィギュアや模型がバラエティ豊かに配置されている。もちろんタペストリー・ポスターも完備。ちなみに抱き枕はクローゼットの中。
「……これ、いくらぐらいかかってるの?」
「それは聞かないでくれると助かる」
俺も直接計算したことはないが、二桁万円は間違えなくかかっている。ギリ3桁には届いていないはず。
一高校生でしかない俺が、ここまで多くのコレクションを購入できる理由は二つある。一つはラノベの印税。もう一つは、人付き合いに金がかからないからだ。飯や遊びに行く友人がいないからな。悲し。
「はぇー……」
感心した様子で新見は部屋を歩き回る。本棚からラノベを取り出してみたり、ラックのフィギュアを手にもって眺めたりしている。
「触って壊すなよ」
「いや、大丈夫だし」
「そうか」
いまさらになって気づいたが、俺の部屋に来客用のクッションとかないな。それも当たり前のことで、この部屋に友人を呼ぶことはこれまでになかったからだ。
仕方ない。
「よし新見、帰れ」
「はぁ!? そりゃないでしょ」
「いや、うちに来客用の家具とかないからな。居心地悪いだろうし」
「別にそんなの気にしないし」
「チッ……」
「舌打ち、聞こえてるんですケド……」
なんやかんや押し切って追い出そうとしたが失敗に終わった。
仕方がないので、新見にクッションを投げる。
「ほれ、クッション」
「ありがと。てか、鹿野のは?」
「俺はデスクに座るからいい」
新見の横を通り抜け、PCデスクの椅子に腰かける。
「その椅子、めっちゃオタクっぽい……」
「うるせぇなかっこいいだろ」
俺が今座っているこの椅子は、このマンションに引っ越したときに新調したゲーミングチェアだ。黒を基調とした生地に赤いラインが迸っているデザイン。中二っぽいとか馬鹿にされそう、というかたった今馬鹿にされたデザインだが、買ったことを後悔していない。いつ見てもかっけぇ……。
「てゆーかさ」
「なんだ」
「鹿野、女子力高くね?」
「そうか?」
「めっちゃ片付いてるし、家具とかオシャレだし……部屋に芳香剤置いてる男子高校生とか初めてなんですケド」
俺は根っからのインドアなので、休日のほとんどを自室で過ごす。いや、帰宅部なので平日もそうだ。となれば部屋の雰囲気にこだわるのは当然と言えるだろう。
「まぁ、半分引きこもりみたいなもんだしな。部屋には気使うんだよ」
「めっちゃ納得したわ」
「それはそれで腹立つな……」
「うけるw」
よし、ちょっと反撃するか。
「新見、お前、部屋の片付けとか苦手だろ」
「……いや? 別に苦手じゃ無いですケド」
「隠さなくてもいいんだぞ」
「は、意味わかんないんですケド」
わざとらしく目をそらす。
やはり図星らしい。




