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「クラスメイトと一緒に飯食べると死ぬ病」
「え、マジ? うける」
うけないだろ。
「……てか、それって嘘じゃね?」
「当たり前だろ……」
とはいっても、真っ赤な嘘ではない。根っから日陰者な俺は、仲良くもない人と強制的に接し続ければストレスで心が崩壊、死に至る。というか、友人相手でも長い時間一緒にいると息が詰まってしまう。
相手が新見ともなればなおさらだ。
「それで、何か用か?」
そんなわけで、早めに用を済ませてもらって解散したい。
「や。特に用はないし」
「……まじで帰ってくれないか」
「え、普通に傷つくんだけど」
と言いながらも、かすり傷一つ負っていない様子の新見はパンの袋を開け、その中をほおばり始めた。メンタル鋼過ぎだろ。
「てか、鹿野ってホモなの?」
「いくらなんでも唐突すぎないか、その会話展開は」
「そう?」
あまりにも唐突な会話展開。俺でなくとも見逃してしまうね。
しかし、当の彼女は欠片も自分の会話に疑問を抱いてない様子だ。
「だって、アタシみたいな女子が話しかけてるのに、まったく嬉しそうな表情しないし」
「そりゃ嬉しくないからな」
「ほら、やっぱりホモじゃん」
あれあれ、異星人と会話している気分になってきたぞ。
まぁ、確かに、新見はかわいい。端正な顔立ちに、琥珀のような輝きを秘めた瞳。今は染色が落ちかけて黒とまじりあっている金髪も、まるで本物のブロンドであるかのような自然さを伴っている。
もちろん、男子からの人気も飛びぬけて高い。これまで何人もの男子が突撃し、全員玉砕したという話はクラス事情に疎い俺でも知っているぐらいだ。
実際、新見が俺の席で昼食を取り始めた時から、クラス中(主に男子)から視線が注がれるのを肌で感じている。つーか一松、顔が怖いんだけど。普通に漏らしそう。いじめられたりしないよな、俺。
心がストレスに浸食されかねないので、視線について考えるのはやめよう。それより、今は目の前の新見だ。
「あのな、他に可能性は思い浮かばないのか?」
「というと?」
「俺に彼女がいるとか--」「--ないないwww」
そういって新見はけらけらと笑った。
あれっ。俺、馬鹿にされてる?
新見の心底ナメ腐った態度に、思わず「www」を幻視してしまった。現実の会話なのに。
「鹿野みたいな陰キャに彼女がいたら、少子化問題とか発生してないっしょ」
「ぐ……」
実際正論なので、ぐうの音もでない。
……ていうか、少子化って言葉知ってるんだ。そこに一番驚いたわ。
それは置いといて。
「いや、彼女ならいるぞ」
「えっ、マジ!?」
彼女の瞳が驚愕に開かれる。
「え、校内にいんの?」
女子というのは恋愛話が好きな生物だ。それはこの新見も例外ではないらしい。
「いや。そもそも、住んでる国が違うし」
「国際恋愛ってやつ? アメリカ、それともイギリス?」
「トリステイン王国」
「トリ……そんな国あるんだ。どんな人なん?」
「髪はピンクで、瞳は鳶色」
「地毛でピンクってマジ? ウィッグじゃね?」
「それが地毛なんだよな」
「うっそ……そんで、性格はどうなん?」
「結構キツめだけど、子供っぽいところがまた愛おしい」
「へぇー……他の特徴は?」
「伝説の魔法系統である『虚無』の使い手」
「?」
「CVは釘宮理恵」
「??」
「二つ名は『ゼロの--」
「ルイズじゃん」
左斜め後方からツッコミが入った。ナイス詩織。




