↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/49

15

「ねぇ、鹿野(かの)

「…………」


教室の勢力図は変わったが、表立って争いが起きるなんてことはない。というか、みんな困惑している様子だ。なんせ、「イケてる女子」の筆頭であった彼女が、突然あそこまで変貌してしまうなんてこと、信じられなくても無理はない。

実際、罰ゲームを疑っている人間も数人いる。


そんなこんなで昼休み。


「ちょっと話があるんだけど」

「……今日の昼飯は、っと」


うちの学校は購買のメニューが充実している。そのため、弁当派の人間は少数派だ。

しかし、いくらメニューが充実していると言っても、購買はコスパで自炊に劣る。

ラノベの印税があるとはいっても無駄使いは避けたい。そんなわけで、俺は弁当を作ってはそれを学校に持ってきている。

それに、手作り弁当を作れるのって、2000年代後半のラノベ主人公っぽいしな……。


「卵焼き、失敗した……ちょっと焼きすぎたな」

「ちょっと、聞いてんの?」

「……」


当たり前だが、一緒に食べる相手はいない。自分、陰キャなので……。

詩織は? と疑問に感じるかもしれないが、そこはお互い日陰者。「飯は一人で黙々と味わうほうが美味い」というポリシーのもと、別々で食べることに合意している。

そもそも、女友達と一緒に飯食べるとかハードル高すぎだろ。


「いただきます、と」

「ねぇ」

「……」


失敗作の卵焼きを口に運ぶ。

出汁と卵の風味が口いっぱいに広がる。しかし、焦げ付いたせいで食感が悪い。

まぁ、味はいいからセーフだな。不幸中の幸いって感じ。


「さて、唐揚げの出来は……」

「もしもし? 無視とか、ちょっと感じ悪くネ?」

「おっ、こっちは成功だな」

「ねぇってば!」

「……はぁ」

「なにその『うわ、ダルっ』みたいな目?」


うわ、ダルっ。

勘弁してくれないかな。飯ぐらい静かに食べさせてほしい。

普段の俺なら、こんな塩対応はしない。不要なトラブルを生むだけだし、なによりそこまでの度胸はないからだ。ただ、空腹でぴりついているのと相手が新見なことも相まって、かなり冷たい対応をとっている。


「……後にしてくれないか」

「なんで?」

「ほら、飯食べてるし」

「アタシも食べるよ」

「いやいや……」

「一緒に食べればいいじゃん」


そう言って彼女はそのへんの椅子を持ってきて、俺の机にパンとミルクティーを置いた。


「いや、俺って病気でさ」

「え、病気って、なんの?」

「クラスメイトと一緒に飯食べると死ぬ病」

「え、マジ? うける」


うけないだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。