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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード13:扉を開く前に
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扉を開く前に - 2

朝の光が、広間に差し込んでいた。

ヴェイルは、静かだった。

武器の点検音も、足音も、必要最低限。

皆、言葉にせずとも理解している。


今日、王宮へ向かう。


イリスは装備を整えながら、まだ夜の余韻を引きずっていた。


「……イリス様」


振り向くと、リオが立っていた。

鎧は身につけているが、剣は鞘に収まったまま。


「眠れましたか?」

「……少しだけ」


その答えに、リオはわずかに目を伏せる。


「もし……途中で、あなた様が立ち止まることがあったら……」


リオは一歩前に出て、片膝を地につけた。

騎士の礼。

そして、イリスの両手を、静かに取る。


「私は、待ちます」

「……待つ?」

「イリス様が、前へ進むと決めるまで」


昨夜のノクスとは、違う答え。

逃げろとは言わない。

引きずることもしない。

ただ、立ち止まる時間を許す声。


「……ありがとう、リオ」

「当然です」


少しだけ困ったように微笑み、

リオはイリスの手の甲に、そっと口づけた。


「私は、剣ですから」

「……剣?」

「振るうのは、イリス様です」


その言葉に、胸の奥が静かに定まる。

逃げ道はある。

背中を預ける場所もある。

イリスは、ゆっくり顔を上げた。


「行こうか」

「はい」


リオは立ち上がり、一歩下がって道を譲る。

その背中は、迷いなく前を向いていた。

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