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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード12:祈りの先で
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祈りの先で - 4

「母上は、それ以降、行方不明だ」

「……気配感知の能力者にも手伝ってもらったけど、ダメでした」


ノクスに続いて、エリシアが言葉を続ける。


「……ただ、母上の行方は、あいつが知っている可能性が高い」

「国王陛下か……」


アルベルトの言葉にノクスが頷く。


「母上が力を使っていた部屋に行けば、なにか分かるかもしれない。もしかしたら、扉もそこに……」

「そこってもしかして……私とイリス様が行った……」

「“お母様の部屋”だな」

「あいつは、あの部屋とイリスだけを使って、扉を開こうとした」


リオが言葉を継ぐ。


「……セラ様の力を補助にして」


セラが息を呑んだ。

隣にいたフィオも明らかに苛立ちを隠せずにいた。

ノクスはイリスを見ながら口を開く。


「世界と世界を結ぶ“扉”は、どこにでも現れるわけじゃない。力を定着させる“場所”が必要なんだ」

「……それが、あの部屋だったのか」


イリスは、静かに息を吸った。


「……だから王は、母上の部屋を封鎖し、時間ごと閉じ込めた」


ノクスの声は、淡々としていた。


「僕と母上が戻る可能性と、扉の存在、両方を封じるために」

「……最悪だな」

「王様にとっては、最善なんだろうね〜」


フィオの言葉にロイが口を挟んだ。

リオが一歩、前に出る。


「これで、陛下の目的は明確ですね。あの方の望む異世界への扉を、完全に開くこと。そのために……イリス様とノクス様の力を使う」


イリスは、拳を握った。


「……私を、“鍵”として」


沈黙。

やがて、ロイが軽く手を叩いた。

全員の視線がロイに集まる。


「はいはい、重いのはここまで〜。つまりさ……王宮に行くって話でしょ?」


ノクスが頷き、イリスは顔を上げた。


「……王宮に、戻る」


イリスの言葉に、誰も反対しなかった。

リオは剣の柄に手を置く。


「突入は、夜」

「正面からは行きません」


フィオが不敵に笑う。


「裏道なら、いくらでもある」


セラは、そっとイリスの袖を掴んだ。


「……一緒に、行きます」


ノクスは、最後に言った。


「これは、あいつ……父上と母上の因果の決着だ。そして……」


イリスを見る。


「僕たちが、“鍵”じゃないって証明する戦いでもある」


こうして、ヴェイルは決断した。

王宮突入、全ての始まりの場所へ行くことを。

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