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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード12:祈りの先で
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祈りの先で - 3

エリオネは、その後すぐに礼拝堂を後にした。

どこに身を潜めているのかは分からない。

けれど時折、まるで確かめるように、彼女はノクスを連れて礼拝堂を訪れた。


「この子にはね、双子の妹がいるのよ」


そう言って、エリオネはノクスを優しく抱き上げる。


「先日、王が発表されていました。イリス様のことですね。でも、ノクス様のことは何も……」

「ええ。もう死んだと思っているのか、それとも、最初から存在を隠したいのか……」


哺乳瓶でミルクを与えながら、エリオネは静かに続けた。


「イリスを置いてきてしまったこと……それが、私の後悔よ」


エリシアは、何も言えずに黙り込む。


「でもね……きっと、この子が大きくなったら……」


エリオネは、ノクスの額にそっと口づけた。


「イリスを迎えに行ってくれるはずよ。だって、お兄ちゃんだもの」

「……エリオネ……」


沈黙を破るように、エリオネはふっと話題を変えた。


「あのね、この間、面白いお店を見つけたの」

「……え?」


エリオネは腰元に手を伸ばし、2つの仮面を取り出して、エリシアに差し出した。


「……不思議な感じがするお面ですね」

「でしょう?この子たちを守るためのお面なの。私の願いも、ちゃんと込めたわ」


ミルクを飲み終えたノクスの髪を、エリシアがそっと撫でる。

その手を見つめながら、エリオネは静かに言った。


「エリシア……もし、私がいなくなったら……この子のこと……お願いね」


それが、エリシアがエリオネを見た最後だった。

翌朝。

エリシアの部屋の外には、ゆりかごに入れられたノクスがひとり、静かに眠っていた。

仮面はひとつだけ。

ノクスの傍らに、まるで託されるように置かれていた。

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