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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード12:祈りの先で
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祈りの先で - 2

「……っ」


エリオネが目を覚ますと、そこは見知らぬ天井だった。

柔らかな布の感触。身体は重いが、確かに生きている。


「……ここは……」

「お目覚めになりましたか?」


すぐそばから、穏やかな声がした。

視線を向けると、修道服姿の女性が、そっと微笑んでいる。


「……!? ノクスは!?」


エリオネは反射的に身体を起こし、叫ぶように子の名を呼んだ。


「だ、大丈夫です。赤ちゃんなら……こちらに」


エリシアが腕を少し持ち上げる。

そこには、小さな胸を上下させながら、すやすやと眠るノクスの姿があった。


「……よかった……」


エリオネは力が抜け、その場に崩れるように息を吐いた。


「……本当に、間一髪でしたよ。この子も、あなたも。私の力が間に合わなければ……」

「……治癒系の……能力者……ですか?」

「はい。微力ですけど」


エリシアは控えめに頷く。


「私は、この礼拝堂でシスターをしている、エリシアと申します」

「……ありがとうございます……」


ほっとしたのも束の間、エリシアは少し言いづらそうに、言葉を続けた。


「……それで、王妃様」


その一言に、エリオネの身体がびくりと強張る。

血の気が引き、震える手で、エリシアの袖を掴んだ。


「……どうか……どうか、見逃してください……!このままだと……この子が……」


必死に懇願するエリオネの頬に、エリシアはそっと手を伸ばした。


「大丈夫です。誰にも言っていませんから」

「……ほ……本当に……?」

「ええ。実は私……王妃様のファンだったんですよ」

「……え?」

「名前も、少し似ていましたし」


あまりにも予想外の言葉に、エリオネは目を丸くする。


「……あれ……私、おかしなことを言いましたか?」

「……ふふっ……いいえ」


エリオネは、こらえきれず、涙を浮かべながら笑った。


「……思いもよらない言葉だったので」


こうして、エリオネの逃亡の夜、2人は出会ったのだ。

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